上 下
18 / 49
征服の一歩目

第17話 速攻

しおりを挟む
朝日が昇る少し前、森の中では多くのスケルトンが列を成して歩いている。
スケルトンの中にいる女神様は少し眠そうにしながらも俺と共に目的地へとむかう。

わざわざ夜に進行している理由は、スケルトンという戦力を増やしたまではよかったのだが、数が多く隠密行動ができないことに気づいた。

次の村で冒険者を呼んで少しでも戦力を増強しつつ休憩。
その後、途中にある村を潰し村人を全てアンデットにしながら街へと侵攻する。

「大丈夫ですか?」
「大丈夫です…
ケントさんが私の召喚に応えてくれたんです。
私も頑張らないと、ケントさんにばかり負担はかけられません…」

俺は肉の体があれば泣いていたお思う。
頼られる事がこんなに嬉しい事だとは思ってもいなかった。

俺を優先し自分を追い詰め過ぎてしまう優しい女神様、俺は貴方を助けたいと心の底から思った。

「何か聞こえる…」
「若いのは武器になりそうなのを持って集まれ!」

スケルトンの歩く音がカタカタと、かなりの大きな音が鳴る。
この音が速攻で侵攻する理由の1つでもある。

暗くて周辺の様子が見えなくても、何かしらの異常が起きている事がわかったのだろう。
村の入り口には農具や剣を持った男達が集まっていた。

「新しい魔法試してみますね。」

スケルトン達が村を囲うように動く。

「【生ある者は 歩みを止める アンデットゾーン】
…魔力消費はどうですか?」
「かなり抑えられてます。
条件にアンデットの量を入れたのが大きいですね。」

俺が女神様にサポートしてもらいながら作り出したオリジナル魔法【アンデットゾーン】。
効果は範囲内にいるスケルトンの数を一定数減らすまで、中に居る人間は外に出られないというもの。

「この大きさなら40体倒されるまで大丈夫そうですね。」

余談だがゾーンにするかパーティーにするかで10分程悩んだ。
ちなみに女神様のがゾーン派。

「では行ってきますね。」

「頑張ってください。
まだ来ないと思いますが、私は念の為に村娘の振りして隠れてます。」

討伐依頼札を使い冒険者を早めに呼ぶ。
ただ転移魔法持ちの化け物が来る可能性もあるため、最悪ネフティーだけ助かるよう保険をかける。

街が近いからか騎士志望の若者が村に数人居た。
泥で強化したスケルトンがどれだけやれるか確かめるいい相手になる。

「襲え。」

カタカタ カタカタ

スケルトンに指示を出すと一斉に動き出す。

村人達も大量のスケルトンに気づいたようで応戦してる。

「このスケルトン普通じゃないぞ!」
「硬い!
力に自信ある奴だけ残って残りは家に籠もれ!」

待て、籠城されるのはかなりめんどくさい。

「ぐあぁぁ!」
「なんだコイツは!」

逃げようとした村人を優先的に〈加速〉で近ずき斬りつける。

スケルトンの数はじんわり減っていってる、村人も減ってるけど数的には押され気味だ。
これ以上の戦力低下は問題だ。

「終わらせよう。」
「喋った!?」
「まさかユニーク!」

俺は連続で〈加速〉を使いながら1人ずつ斬っていく、村人達はなんとか止めようと構えるがスキルを使用した俺の速度について来られる者はおらず止められない。

「ふぅ、あれだけ派手に動いたのに壊れないとは。
ダル体はかなり優秀だな。」

泥で補強してるとはいえ連続で〈加速〉を使って壊れないスケルトンは、基本1回使ったら壊れるスケルトンが殆どの現在でかなり優秀な部類に入る。

(こっちは終わりました。
ネフティー様は大丈夫ですか?)
(大丈夫です。
転移魔法の気配も感じませんし、冒険者が来るのは明日になるかと。)
(わかりました。
自分はアンデット作るのでネフティー様は何処かの家で休んでいてください。)
(すいません、後はよろしくお願いします。)

戦利品の確認とスケルトンの強化を始める。

魔法を使いながらだとスキルの精度が落ちるのかスキル〈成形〉が上手く使用できない。
耐久性を上げるためだから多少落ちても問題ないが少し不安ではある。

いつ冒険者が来ても良いようにスケルトンに周辺を警戒させている。

だが指示を出しただけだと逃げられる可能性も高い。
スペックが高めのスケルトンを確保できる機会はできるだけ逃したくなく、自分で使ってきる魔法を維持し続けている。

「向こうに居た時は星なんて見れなかったなぁ…」

ふと、空を見上げると星が綺麗で地球の事を思い出した。

俺、もしかしたら街に攻めた時死ぬかもしれないんだよな。
ネフティー様が生きてる限り消滅しないらしいけど怖い。

気持ちが少し落ちたせいか元の世界のことを考えてしまう。

アイツ元気にしてるかな目の前で轢かれちゃったからトラウマになってないといいけど…
家族は何してんのかなぁ…

少しだけ気持ちが落ちている。

今までスケルトンの体になれたりスキルと魔法の使い方を考えるので精一杯、自分の事を考える暇なんてないほど忙しかったのだ。
今も忙しいが、これから大規模な戦闘を行うのだから少し落ち込んでも仕方ないだろう。

絶対に帰ろう…

忘れかけていた最初の目的を再確認できたのだった。




しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

Intrusion Countermeasure:protective wall

SF / 連載中 24h.ポイント:455pt お気に入り:8

転生したら、ステータスの上限がなくなったので脳筋プレイしてみた

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:92pt お気に入り:131

異世界帰りの憑依能力者 〜眷属ガチャを添えて〜

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:85pt お気に入り:764

Freedom Fantasia Online 不遇種族、魔機人《マギナ》で始めるVRMMO生活〜

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:71pt お気に入り:423

世界神様、サービスしすぎじゃないですか?

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:7,192pt お気に入り:2,198

処理中です...