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征服の一歩目

第18話 冒険者

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新しく獲得したスケルトン達を強化していると、残りが半分を切った頃に俺の操るスケルトンが異常を察知した。

「ん?きたか。」

村の周りを巡回させてたスケルトンがやられた。
転移魔法が使えない場合の予定よりかなり速い、寝ずに走ったのか。

強化済のスケルトンは村の中に残し、まだ強化していないスケルトン達で警備いたせいで情報は殆ど入らないまま一瞬で倒されてしまった。

抵抗した気配はあるが、複数でまとまっていた村人スケルトンをワンパン。

ネフティー様に報告…
いや、姿を確認してからでも大丈夫か。

使っていた体を椅子に座らせてから、冒険者が近くにいるスケルトンへ憑依する。
憑依する事に慣れたのと、魔法を使って遠距離で操っているおかげで自由に憑依できるようになっている。

〈無音〉と〈気配遮断〉を使用して冒険者の気配がする方向へと進む。


「スケルトンが多すぎる。」
「1回ゼラの魔力が回復するのを待つ方がいいんじゃないか?
それか応援を求めるべきだ。」
「でも村はすぐそこなんだぞ!
俺達の両親もいる、助けを求めてるんなら早く行かないと手遅れになる!」

冒険者は3人、前衛らしき男2人と後衛の女1人で、3人とも装備はちゃんと来ているが高価な物ではなさそう。

あまりベテランには見えないが、スケルトンは手も足も出無いどころか情報を一切取る前にやられてるんだよな。

スケルトンにしても戦力的にはダル以下か?

「それが問題なのよ…
村までまだ距離がある、なのにスケルトンがいたってことは…」
「!」
「ここは撤退するべきよ。」

スケルトンの戦力が減るよりかは逃した方がいいか?
いや、判断するのはまだ早い。

俺はこの世界のステータスには隠してあるだけでレベルが存在しているのではと考えている。

基本的に強くなる方法がスキルと魔法だけでは村人と冒険者の差が大きくすぎると思うのだ。
つまり冒険者の時点で村人よりは優秀のはず。

殺るか。

「こんばんは。」
「誰だ!」

揉めていた冒険者達は急に聞こえた俺の声に警戒する。

「この先の村に何かようかな?」
「俺達は派遣された冒険者だ。
姿を見せてくれ。」

1番冷静だった男が怒鳴りそうになったもう1人の男を止め話しかけてくる。
少し間が開いて姿を現す。

「スケルトン?!」

すぐ倒すもいいんだけど、こいつらがどれぐらいの強さなのか、俺の戦闘経験を積む為にも戦っておきたい。

「スケルトンが喋るなんて普通じゃない、ユニークの可能性がある。」
「普通より、強いって事だよな…」
「強いってレベルじゃない!
ユニークって言ったら国を滅ぼしかねない化け物よ!」

戦ってないのにわかるなんて鑑定に似たスキルでもあるのか?
いやユニークと誤解してるのか?

ユニークとは魔物の中でも稀に出る強い個体の事。
最近だとゴブリンのユニークが出た時には2つの国が蹂躙され滅んだらしい。

「ハハハ、私はユニークではないぞ。」
「普通は喋らないスケルトンが喋るなんてユニークだと判断する理由には充分よ!」

3人のうち2人が冷静じゃない。
攻めるなら今だな。

「〈縮地〉!」

攻撃しようと考えた瞬間、唯一冷静だった1人が隙をみて近づき俺へと攻撃してくる。
右腕が砕かれ両脚も足払いで崩れてしまった。

「お?!」
「脆いぞ!畳み掛ければ勝てる!」

残っていた左腕で攻撃する。

片腕は持っていけそうだな。
強化済スケルトンもこっちに向かわせてるし、もう少し時間稼ぎたい。

「【シールド】!」
「ナイスだゼラ。うぉぉぉぉぉ!」

魔法で防がれた。
なるほど避けるそぶりを見せなかったのは仲間が防いでくれると確信していたから。

「〈加速〉突っ込め。」
「グッ!」

近くまで来ていた他のスケルトンに憑依する前に加速を使い冒険者達へ突っ込む。
使っていた体はバラバラになった。

「自滅、か…?」
「怪我は?」
「大丈夫、少し足を痛めたぐらいだ。」

周りを警戒しながら冒険者達は怪我を確認する。

「ユニークを倒したのか?」
「わからない。でも弱すぎなかった?」
「だが喋っていたスケルトンは倒した魔物と同じように消えたぞ?」

ゼラは辺りを見渡し何かを探していた、何をしてるかと問われる前に叫んだ。

「魔石がない!だから奴はまだ生きて…え?」

ザクッと肉が断ち切れる音が聞こえ、

「ゼ、ラ…」

力を失ったように倒れる。

「おっと、大事な体を壊された報復だと思ってくださいね?」
「クソがぁぁ!」

なんだかテンションがおかしくなってきた。
人を追い詰めるのが楽しくて仕方ない。

「おや、すみません。
ですがいい勉強になりました、次からは魔石というものを用意しましょう。」
「カリバ待て!囲まれてる。」
「さようなら。
次は一緒に頑張りましょうね。」

残った2人は負傷した仲間を守りながら戦った。
だが喋るスケルトンは何回でも蘇る、数に終わりは見えず、そのうち泥で強化されたスケルトンが現れてしまった。

この人達の体はどれぐらいのスペックかな?
剣士2人は村人より強いだろうし強化しちゃおう、もう朝も近いしね。

装備は剥ぎ取り、体はスケルトンへと変えネフティー様の休む村へと歩かせた。

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