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征服の一歩目
冒険者ギルドside 異変
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皆に慕われている冒険者ギルド長。
元Sランク冒険者であり、世界に6人しかいないLランクに最も近かったと言われる男。
ただの冒険者であった頃は口より先に手が出る事で有名な男であったが、大きな街の冒険者ギルド長となり冒険者とは違う忙しい毎日を送っていた。
今日も錬金ギルドの職員と揉めつつも回復ポーションを仕入れた。
なりたての冒険者、ギルドの為に。
ふぅ…
相変わらず錬金ギルドの奴らは守銭奴だな年々回復ポーションの値段を上げやがって。
「戻ったぞぉ~。」
今日は何事もなく終わればいいんだが、アレを見る限り無理だろうなぁ。
冒険者ギルドの受付嬢達が焦った様子で近づいてくる。
これは国からの呼び出しか、冒険者が問題を起こしたか、どちらにせよ面倒な事が起きた事は間違いない。
「ギルド長、近くの村で討伐依頼札が使われました。」
「うわぁ…」
想像の10倍はめんどくせぇ~。
討伐依頼札って名ばかりで依頼元に行ったとしても既に全滅してる事が殆どで、むしろ山賊達に罠として使われ冒険者を危険に晒しているだけの物。
しかも値段も高く、使われる時は本当に危険度が高い場合のみ。
Bランクパーティですらギルドが強制的に課さなければ受けないほど。
冒険者の視点から言わせてもらえば、これを作った奴は馬鹿としか言いようが無い。
「場所は?」
受付嬢の1人が地図を持ってきて指を指す。
「此処にある村です。」
ん?おかしいな。
その村に札を売った覚えは無いんだが…
「今この街にいる最高位冒険者は?」
「Bランクパーティー疾風が居ますが、現在は怪我の療養中です。」
胸騒ぎを感じている。
元Sランクの勘というべきか、どうにも嫌な予感が止まらないのだ。
「俺が行くしかないか?」
この予感は並大抵の事ではない。
「その、ギルド長は国王に呼ばれています…」
あの野郎…
「冒険者に声掛けは?」
「してますが全員に断られています…」
「やはりか。」
皆が断るのには理由がある、どんなに強い魔物でもどんなに数を多く倒しても冒険者には一定の報酬しか入らない、討伐依頼札の嫌なところだ。
命を賭けたガチャのような物、楽な時もあれば死ぬ時もある。
「国王にrーーー」
「俺達が行きます!」
国王に連絡をと言おうとした所で1人の青年の声が聞こえた。
「おい待てよ、流石に危険すぎるだろ。」
「此処は俺の故郷なんだ、頼む…」
男2、女1の3人パーティー、確かCランクになったばかりの期待の新人達だったはず。
「受けてくれるのはコチラとしては助かるのですが、大丈夫ですか?」
受付嬢は心配している。
故郷がどのようになっているのかわからないのだ、もし滅んでいる村を見てしまっても大丈夫なのかと。
「受けます。」
「そちらのお二人は?」
リーダーの男はやる気に満ちている。
「リーダーが言うなら仕方ない、仲間だからな。」
「やるわよ…」
良いパーティーだな、これから強くなるぞ。
「待て!」
「ギ、ギルド長。」
大きな声を出した事により一気に静かになるギルド。
いつもの事なので大して気にはしない、俺は胸ポケットから魔道具を取り出して投げ渡す。
「無理だと思ったらそれを使えギルドに連絡できる。
あぁ、タダでやるから安心しろ。」
「ありがとうございます!
2人とも行こう。」
3人の冒険者が走っていくのを見守っていると、ギルド職員の1人が近づいてきた。
「良いのですか、あの魔道具はかなり高いでしょう?」
「別に良いさ。
俺が見込んだ奴等だ有名になったら、高い店で奢らせるんだからプラマイ0。」
「相変わらずですね。」
アイツらならAランク、もしかしたらSにも届くかもしれないな。
だが、今回の件でどうなるか。
冒険者には良い事ばかり経験していては上へは這い上がれない。
元Sランク冒険者である俺も過去に家族が殺されているし、大国の闇も飽きるほど見ている。
皆が憧れる上位冒険者は有名になればなるほど厄介事が舞い込んでくるのだ。
「王都への馬車は手配してあります。」
「わかった。
俺が留守の間ギルドを頼むぞ。」
「かしこまりました。」
俺が国王から呼び出されるのは初めてではない。
現国王とは旧知の仲であり、魔物の討伐など個人で依頼される事もあった、それは引退した後も続いている。
「そういえば近くの森から魔物が逃げる様に出てきていると報告がありました。
現在調査中ですが原因が分かり次第連絡いたします。」
「お前も堅苦しくなったな昔みたいにナンパでもしてくればどうだ?」
「立場が変われば人も変わりますよリーダー。」
お互い目を合わせて笑う。
「帰ってきたら良い感じな店に一緒に行くか!」
「結構です。
それにギルド長は帰宅後には溜まっている書類仕事ですよ、まぁ一杯なら付き合いますがね。」
王都行きの馬車が到着する。
「じゃ行ってくる。」
「職員にお土産期待してますよ、とびきり高くて美味い奴をね?」
「経費で落ちるか?」
「そんなわけないですよ、貴方の奢りです。」
奢りか。
ギルド職員には軽く食える物、奴には好きな高級ワインでも買って行ってやろう。
「出してくれ。」
「了解しました!」
元Sランク冒険者であり、世界に6人しかいないLランクに最も近かったと言われる男。
ただの冒険者であった頃は口より先に手が出る事で有名な男であったが、大きな街の冒険者ギルド長となり冒険者とは違う忙しい毎日を送っていた。
今日も錬金ギルドの職員と揉めつつも回復ポーションを仕入れた。
なりたての冒険者、ギルドの為に。
ふぅ…
相変わらず錬金ギルドの奴らは守銭奴だな年々回復ポーションの値段を上げやがって。
「戻ったぞぉ~。」
今日は何事もなく終わればいいんだが、アレを見る限り無理だろうなぁ。
冒険者ギルドの受付嬢達が焦った様子で近づいてくる。
これは国からの呼び出しか、冒険者が問題を起こしたか、どちらにせよ面倒な事が起きた事は間違いない。
「ギルド長、近くの村で討伐依頼札が使われました。」
「うわぁ…」
想像の10倍はめんどくせぇ~。
討伐依頼札って名ばかりで依頼元に行ったとしても既に全滅してる事が殆どで、むしろ山賊達に罠として使われ冒険者を危険に晒しているだけの物。
しかも値段も高く、使われる時は本当に危険度が高い場合のみ。
Bランクパーティですらギルドが強制的に課さなければ受けないほど。
冒険者の視点から言わせてもらえば、これを作った奴は馬鹿としか言いようが無い。
「場所は?」
受付嬢の1人が地図を持ってきて指を指す。
「此処にある村です。」
ん?おかしいな。
その村に札を売った覚えは無いんだが…
「今この街にいる最高位冒険者は?」
「Bランクパーティー疾風が居ますが、現在は怪我の療養中です。」
胸騒ぎを感じている。
元Sランクの勘というべきか、どうにも嫌な予感が止まらないのだ。
「俺が行くしかないか?」
この予感は並大抵の事ではない。
「その、ギルド長は国王に呼ばれています…」
あの野郎…
「冒険者に声掛けは?」
「してますが全員に断られています…」
「やはりか。」
皆が断るのには理由がある、どんなに強い魔物でもどんなに数を多く倒しても冒険者には一定の報酬しか入らない、討伐依頼札の嫌なところだ。
命を賭けたガチャのような物、楽な時もあれば死ぬ時もある。
「国王にrーーー」
「俺達が行きます!」
国王に連絡をと言おうとした所で1人の青年の声が聞こえた。
「おい待てよ、流石に危険すぎるだろ。」
「此処は俺の故郷なんだ、頼む…」
男2、女1の3人パーティー、確かCランクになったばかりの期待の新人達だったはず。
「受けてくれるのはコチラとしては助かるのですが、大丈夫ですか?」
受付嬢は心配している。
故郷がどのようになっているのかわからないのだ、もし滅んでいる村を見てしまっても大丈夫なのかと。
「受けます。」
「そちらのお二人は?」
リーダーの男はやる気に満ちている。
「リーダーが言うなら仕方ない、仲間だからな。」
「やるわよ…」
良いパーティーだな、これから強くなるぞ。
「待て!」
「ギ、ギルド長。」
大きな声を出した事により一気に静かになるギルド。
いつもの事なので大して気にはしない、俺は胸ポケットから魔道具を取り出して投げ渡す。
「無理だと思ったらそれを使えギルドに連絡できる。
あぁ、タダでやるから安心しろ。」
「ありがとうございます!
2人とも行こう。」
3人の冒険者が走っていくのを見守っていると、ギルド職員の1人が近づいてきた。
「良いのですか、あの魔道具はかなり高いでしょう?」
「別に良いさ。
俺が見込んだ奴等だ有名になったら、高い店で奢らせるんだからプラマイ0。」
「相変わらずですね。」
アイツらならAランク、もしかしたらSにも届くかもしれないな。
だが、今回の件でどうなるか。
冒険者には良い事ばかり経験していては上へは這い上がれない。
元Sランク冒険者である俺も過去に家族が殺されているし、大国の闇も飽きるほど見ている。
皆が憧れる上位冒険者は有名になればなるほど厄介事が舞い込んでくるのだ。
「王都への馬車は手配してあります。」
「わかった。
俺が留守の間ギルドを頼むぞ。」
「かしこまりました。」
俺が国王から呼び出されるのは初めてではない。
現国王とは旧知の仲であり、魔物の討伐など個人で依頼される事もあった、それは引退した後も続いている。
「そういえば近くの森から魔物が逃げる様に出てきていると報告がありました。
現在調査中ですが原因が分かり次第連絡いたします。」
「お前も堅苦しくなったな昔みたいにナンパでもしてくればどうだ?」
「立場が変われば人も変わりますよリーダー。」
お互い目を合わせて笑う。
「帰ってきたら良い感じな店に一緒に行くか!」
「結構です。
それにギルド長は帰宅後には溜まっている書類仕事ですよ、まぁ一杯なら付き合いますがね。」
王都行きの馬車が到着する。
「じゃ行ってくる。」
「職員にお土産期待してますよ、とびきり高くて美味い奴をね?」
「経費で落ちるか?」
「そんなわけないですよ、貴方の奢りです。」
奢りか。
ギルド職員には軽く食える物、奴には好きな高級ワインでも買って行ってやろう。
「出してくれ。」
「了解しました!」
応援ありがとうございます!
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