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ノル王国の支店から届いた報告書には、第三王子だったベガル新国王の戴冠式の様子とボーロ商会が解体されたというウェスト国内で発行されている新聞の切り抜きが入っていた。
「アイツ。本当にやりやがった」
「これ偽物じゃないわよね」
「どうやったら第三王子を国王にできるのよ。普通は王位継承権を代えるなんて不可能でしょ」
「それで、ボーロ会長は捕まったのですか?」
「アイツら一体どんな手を使ったんだ」
国家機密に近い内容を近所の井戸端会議のノリで話すレイシャル達に、頭が痛いミリタ王子だったがここは本店のサロンの一室だ。
「みんな声を落として・・・」
ミリタも思わず声に出していた。
「ジジ、他にノル王国からの報告は?」
「はい。ボーロ商会が解体されウェスト王国が今すぐ食糧難になることはありませんが、ノル王国の支援だけでは賄いきれない。オーロラ商会の協力を仰ぎたいとのことです」
「もちろん、協力できることはするわ」
「ああ、シェド王国も協力する」
報告書を読んでいたウエンが話を続けた。
「それとウェスト王国内に、オーロラ商会の支店を作って欲しいらしい。キースが幼馴染のリブルという男を支店長に推薦してきている。ちなみに彼もドルトムント一族の出だ」
レイシャルも報告書を覗き込み、書かれている内容を確認する。
「なんだかドルトムント一族にオーロラ商会が乗っ取られそうだけど、キースが認めた人なら文句はないわ。ベンハーはどう思う?」
「そうだな。ボーロ商会の残党がまだいるかもしれないからな。ドルトムント一族の睨みが効く方がこちらも安心だ」
「それと元王妃のウラーラ夫人も従業員として雇って欲しいそうだ」
ベンハーは頭を掻きながら『王妃に働かせていいか』と戸惑っている。
「言い忘れたが、ウラーラ元王妃は将軍のバッカム侯爵と結婚して現在は侯爵夫人になっている」
「元王妃と将軍ってまた凄い組み合わせね」
女性陣は『きゃ!ロマンスの香りがぷんぷんするわ』とうっとりしているし、ミカエルはワイアット様と『手合わせしてくれるかな?』とふたりの世界だ。真相を知っているウエンとミリタはなんとも複雑な顔をしていた。
「それと話を続けていいでしょうか。カルロス王太子様が一度打合せをしたいと、ワイアット様達の結婚式に併せてお越しになられるそうです。キース様とリブル様、あとウラーラ侯爵夫人とご主人のバッカム侯爵もご一緒です」
「え?招待客がまた増えるの。他国の王族が参加とか意味が分からないんだけど」
「まあ、ミカエルの可愛らしさを世界中にアピールできるなら俺は何人増えても構わんがな」
「ワイアットがそんなこと言うから規模が大きくなっていくんだろ。何とか言ってくださいよ、レイシャル様!」
「まあ、陛下も張り切っているからミカエルも諦めた方がいいわ」
「そんなことを言っていたら、自分のときに後悔しますからね」
「そ、そういえば、準備は順調か?」
「ウエン王子、お陰様で着々と進んでいますよ」
ワイアット様が嬉しそうにミカエルを膝に乗せている光景が当たり前に感じるから恐ろしい。最近はミカエルも慣れてきたのか大人しくされるがままだ。それに、毎日きっちり6時に迎えに来るワイアット様と一緒に帰っていくミカエルは本当に幸せそうなのだ。
(ミカエルは収まるところに収まったって感じだけど、リリアンは大変ね)
リリアンはあのパーティー以来求婚者が後を絶たない。何か吹っ切れたリリアンは『私と戦って勝った人と結婚する』と言い出した。鼻で笑った貴族の子息達は我先にと戦いに挑んだが、ウエンが言った通り実戦経験が少ないことが足を引っ張り、リリアンに勝てた人間はまだいない。
最近、それがスカッとすると言って評判を呼び、騎士団の練習場に普段現れない令嬢までもが見学に来る始末だ。もちろん私も毎回リリアンの応援に行っているが、私を見たら手を振ってくる令嬢とも毎回会うのだ。
最近その令嬢がウエンの幼馴染だと知った。彼女が侍女に話している内容を偶然聞いてしまったのだ。
(ウエンに聞いたら幼馴染だと認識していないかったけど)
『そんなこと言いだしたら、子供の頃から同世代の貴族の連中と数十人は会っているぞ。それが幼馴染と言うなら50人以上幼馴染がいることになるな』とウエンは笑っていた。
(言われてみれば私もそうだったなあ、貴族に生れたら舞踏会に慣らすためにお茶会やら友達でもない子供の誕生日会に行かされたものね)
「ところでオーロラ商会に船を借りたいのだが、頼まれてくれるか?ウェスト王国からシェドは余りにも遠いからな」
「それは構わんが貨物用だから居心地が良くないぞ。そんな環境に元王妃が耐えられるか?」
「あっ、ベンハーいい事を思いついたわ。貨物用の船を豪華客船に作りかえるのよ!」
「豪華客船?なんだそれ」
「船を丸ごとホテルにするの。コックや客室係も雇って、ランクによって部屋の大きさや値段を設定すればいいわ」
「なるほど、それは金の匂いがするな」
「流石お嬢様、それは面白そうですね」
「そう決まったらハート男爵を呼んでちょうだい。早速打合せを始めるわ。船の稼働率は68%だから・・・暇をしている航路の船長は」
「マリオ船長がいい。あの船長は白髪・白髭で船長として見栄えがいい。なにより歌が上手い。長い航路だ、何か催し物があれば暇をしないだろう」
私は前世の記憶をパクっているだけだが、それを知らないベンハーの方がよっぽど商才がある。
「あと釣りを楽しんでもらって、釣った魚をその場で調理するとかはどうでしょう」
「あの航路だとイルカやクジラも見えるかもしれないな」
「みんな素晴らしいアイデアね。では部屋のデザインやインテリアはルビーに頼むわ」
「はい!船の内装は初めてですから楽しみです」
そう言ってレイシャル達は慌ただしく部屋を出て行くと、残されたのはウエンとミリタ、そしてジジだけだった。
「兄上、レイシャル嬢が震えていたのに気づいたでしょ」
「ああ、ボーロ商会の解体の記事を見た後からだ。気丈に振舞っているが父親を殺した奴だからな」
「ええ、そういう時は兄上が慰めるべきでしょう。1年も経っていつ告白するのです。毎日一緒に寝ている癖に手も出さないなんて兄上はインポなのですか」
「おい、ミリタ。口が過ぎるぞ・・・と言ってもお互い忙し過ぎるんだよ!毎日同じベッドに入っても朝までぐっすりだ。ワイアット達の結婚式が終わったら絶対休みを取るかならな」
「キースが来たらどんな嫌味を言われるか知りませんからね」
「ああ~、頭が痛い・・・」
「ミリタ王子、お兄様を虐めては可哀そうです」
「だって、兄上が先に結婚しないと僕たちも結婚できないなんて酷い話だよ」
「まだ、14歳でしょう。結婚には早すぎるので丁度いいではないですか」
そうなのだ。レイシャルたちがシェドに来て1年が過ぎた。全員がひとつ年を取ったのだ。ロマンチックな誕生日を一生懸命考えて用意をしていたが、レイシャルを呼びに行くとハート男爵の子供が産まれると言って出かけた後だった。
用意した食事が勿体ないと、何故かアンヌに嫌味を言われながら一緒に食べる羽目になった。
次の日朝目覚めるとレイシャルが腕の中で寝ていることにほっとはしたが、ゆっくりもできず私は仕事に向かったのだ。レイシャルが気に入っていたパールのネックレスとメッセージカードを置いて。
昼間に会ったレイシャルは、私を見つけると嬉しそうに手を振った。私は胸元に見えたパールのネックレスに、心の中で小さくガッツボーズをしたのだ。
(私だってレイシャルと早く恋人になって、いちゃいちゃしたいに決まっているだろう)
レイシャルの周りにいる人間は幸せになるようで、大男のベンハーもサリー先生をミリューから呼び寄せ結婚が控えている。
パーティーで知り合った従業員と船のクルー達も何組かが付き合い始めた。ワイアット達の結婚式まではとみんな控えているが、終われば結婚ラッシュになると言われている。ルビーはそれを見越し子供服を専門で売る店をOPENする予定だ。
(レイシャルといい感じなのに、なぜ上手くいかない。最近父上や母上が俺を見る目まで、なんだか可哀そうな子を見るようだ)
「うぐぐぐ・・・負けないぞ」
気付けばミリタもジジもとっくに部屋を出た後だった。ひとり残されウエンは強く心に誓うのだった。
「アイツ。本当にやりやがった」
「これ偽物じゃないわよね」
「どうやったら第三王子を国王にできるのよ。普通は王位継承権を代えるなんて不可能でしょ」
「それで、ボーロ会長は捕まったのですか?」
「アイツら一体どんな手を使ったんだ」
国家機密に近い内容を近所の井戸端会議のノリで話すレイシャル達に、頭が痛いミリタ王子だったがここは本店のサロンの一室だ。
「みんな声を落として・・・」
ミリタも思わず声に出していた。
「ジジ、他にノル王国からの報告は?」
「はい。ボーロ商会が解体されウェスト王国が今すぐ食糧難になることはありませんが、ノル王国の支援だけでは賄いきれない。オーロラ商会の協力を仰ぎたいとのことです」
「もちろん、協力できることはするわ」
「ああ、シェド王国も協力する」
報告書を読んでいたウエンが話を続けた。
「それとウェスト王国内に、オーロラ商会の支店を作って欲しいらしい。キースが幼馴染のリブルという男を支店長に推薦してきている。ちなみに彼もドルトムント一族の出だ」
レイシャルも報告書を覗き込み、書かれている内容を確認する。
「なんだかドルトムント一族にオーロラ商会が乗っ取られそうだけど、キースが認めた人なら文句はないわ。ベンハーはどう思う?」
「そうだな。ボーロ商会の残党がまだいるかもしれないからな。ドルトムント一族の睨みが効く方がこちらも安心だ」
「それと元王妃のウラーラ夫人も従業員として雇って欲しいそうだ」
ベンハーは頭を掻きながら『王妃に働かせていいか』と戸惑っている。
「言い忘れたが、ウラーラ元王妃は将軍のバッカム侯爵と結婚して現在は侯爵夫人になっている」
「元王妃と将軍ってまた凄い組み合わせね」
女性陣は『きゃ!ロマンスの香りがぷんぷんするわ』とうっとりしているし、ミカエルはワイアット様と『手合わせしてくれるかな?』とふたりの世界だ。真相を知っているウエンとミリタはなんとも複雑な顔をしていた。
「それと話を続けていいでしょうか。カルロス王太子様が一度打合せをしたいと、ワイアット様達の結婚式に併せてお越しになられるそうです。キース様とリブル様、あとウラーラ侯爵夫人とご主人のバッカム侯爵もご一緒です」
「え?招待客がまた増えるの。他国の王族が参加とか意味が分からないんだけど」
「まあ、ミカエルの可愛らしさを世界中にアピールできるなら俺は何人増えても構わんがな」
「ワイアットがそんなこと言うから規模が大きくなっていくんだろ。何とか言ってくださいよ、レイシャル様!」
「まあ、陛下も張り切っているからミカエルも諦めた方がいいわ」
「そんなことを言っていたら、自分のときに後悔しますからね」
「そ、そういえば、準備は順調か?」
「ウエン王子、お陰様で着々と進んでいますよ」
ワイアット様が嬉しそうにミカエルを膝に乗せている光景が当たり前に感じるから恐ろしい。最近はミカエルも慣れてきたのか大人しくされるがままだ。それに、毎日きっちり6時に迎えに来るワイアット様と一緒に帰っていくミカエルは本当に幸せそうなのだ。
(ミカエルは収まるところに収まったって感じだけど、リリアンは大変ね)
リリアンはあのパーティー以来求婚者が後を絶たない。何か吹っ切れたリリアンは『私と戦って勝った人と結婚する』と言い出した。鼻で笑った貴族の子息達は我先にと戦いに挑んだが、ウエンが言った通り実戦経験が少ないことが足を引っ張り、リリアンに勝てた人間はまだいない。
最近、それがスカッとすると言って評判を呼び、騎士団の練習場に普段現れない令嬢までもが見学に来る始末だ。もちろん私も毎回リリアンの応援に行っているが、私を見たら手を振ってくる令嬢とも毎回会うのだ。
最近その令嬢がウエンの幼馴染だと知った。彼女が侍女に話している内容を偶然聞いてしまったのだ。
(ウエンに聞いたら幼馴染だと認識していないかったけど)
『そんなこと言いだしたら、子供の頃から同世代の貴族の連中と数十人は会っているぞ。それが幼馴染と言うなら50人以上幼馴染がいることになるな』とウエンは笑っていた。
(言われてみれば私もそうだったなあ、貴族に生れたら舞踏会に慣らすためにお茶会やら友達でもない子供の誕生日会に行かされたものね)
「ところでオーロラ商会に船を借りたいのだが、頼まれてくれるか?ウェスト王国からシェドは余りにも遠いからな」
「それは構わんが貨物用だから居心地が良くないぞ。そんな環境に元王妃が耐えられるか?」
「あっ、ベンハーいい事を思いついたわ。貨物用の船を豪華客船に作りかえるのよ!」
「豪華客船?なんだそれ」
「船を丸ごとホテルにするの。コックや客室係も雇って、ランクによって部屋の大きさや値段を設定すればいいわ」
「なるほど、それは金の匂いがするな」
「流石お嬢様、それは面白そうですね」
「そう決まったらハート男爵を呼んでちょうだい。早速打合せを始めるわ。船の稼働率は68%だから・・・暇をしている航路の船長は」
「マリオ船長がいい。あの船長は白髪・白髭で船長として見栄えがいい。なにより歌が上手い。長い航路だ、何か催し物があれば暇をしないだろう」
私は前世の記憶をパクっているだけだが、それを知らないベンハーの方がよっぽど商才がある。
「あと釣りを楽しんでもらって、釣った魚をその場で調理するとかはどうでしょう」
「あの航路だとイルカやクジラも見えるかもしれないな」
「みんな素晴らしいアイデアね。では部屋のデザインやインテリアはルビーに頼むわ」
「はい!船の内装は初めてですから楽しみです」
そう言ってレイシャル達は慌ただしく部屋を出て行くと、残されたのはウエンとミリタ、そしてジジだけだった。
「兄上、レイシャル嬢が震えていたのに気づいたでしょ」
「ああ、ボーロ商会の解体の記事を見た後からだ。気丈に振舞っているが父親を殺した奴だからな」
「ええ、そういう時は兄上が慰めるべきでしょう。1年も経っていつ告白するのです。毎日一緒に寝ている癖に手も出さないなんて兄上はインポなのですか」
「おい、ミリタ。口が過ぎるぞ・・・と言ってもお互い忙し過ぎるんだよ!毎日同じベッドに入っても朝までぐっすりだ。ワイアット達の結婚式が終わったら絶対休みを取るかならな」
「キースが来たらどんな嫌味を言われるか知りませんからね」
「ああ~、頭が痛い・・・」
「ミリタ王子、お兄様を虐めては可哀そうです」
「だって、兄上が先に結婚しないと僕たちも結婚できないなんて酷い話だよ」
「まだ、14歳でしょう。結婚には早すぎるので丁度いいではないですか」
そうなのだ。レイシャルたちがシェドに来て1年が過ぎた。全員がひとつ年を取ったのだ。ロマンチックな誕生日を一生懸命考えて用意をしていたが、レイシャルを呼びに行くとハート男爵の子供が産まれると言って出かけた後だった。
用意した食事が勿体ないと、何故かアンヌに嫌味を言われながら一緒に食べる羽目になった。
次の日朝目覚めるとレイシャルが腕の中で寝ていることにほっとはしたが、ゆっくりもできず私は仕事に向かったのだ。レイシャルが気に入っていたパールのネックレスとメッセージカードを置いて。
昼間に会ったレイシャルは、私を見つけると嬉しそうに手を振った。私は胸元に見えたパールのネックレスに、心の中で小さくガッツボーズをしたのだ。
(私だってレイシャルと早く恋人になって、いちゃいちゃしたいに決まっているだろう)
レイシャルの周りにいる人間は幸せになるようで、大男のベンハーもサリー先生をミリューから呼び寄せ結婚が控えている。
パーティーで知り合った従業員と船のクルー達も何組かが付き合い始めた。ワイアット達の結婚式まではとみんな控えているが、終われば結婚ラッシュになると言われている。ルビーはそれを見越し子供服を専門で売る店をOPENする予定だ。
(レイシャルといい感じなのに、なぜ上手くいかない。最近父上や母上が俺を見る目まで、なんだか可哀そうな子を見るようだ)
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