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「ミカエルじゃないか。ハネムーンから戻ったのか?」
本店に着くとベンハーとサリー先生、サマリとセリーヌのカップルが試着に訪れていた。
「サリー先生、お久しぶりですね」
「御無沙汰しております。ミカエル様、この度はご結婚おめとうございます。ベンハーから聞けば素晴らしい結婚式だったとか。私も見たかったですわ」
「ありがとうございます・・・」
「おっ、一丁前に照れているな。どうだったハネムーンは?ワイアットとやりまくったか?」
「お前~!何言っているんだよ」
「やめなさい!女性の前で・・・本当にこの人と結婚していいのか未だに迷うわ」
「それはないだろ。俺が悪かったから機嫌を直してくれよ、俺はお前がいないと生きて行けないんだから、なっ」
「は~、すぐこの調子なんだから。私もすぐに絆されてしまうから駄目なのよね」
この男はミリューの本店でサリー先生と出会ってから『色々な場所へ交渉に行くので語学を教えて欲しい』と言ってずっと文通をしていた。一度からかってやろうとデートを付けたことがあったが、その時ふたりは路地裏でエスト商人に絡まれていた。ベンハーなら助ける必要はないだろうと様子を見ていると、案の定ベンハーはエスト語で男どもをやり込めたのだ。
サリー先生は『頑張って勉強したのね』と感動していたけど、何を言ったかは良く分からなかったと言っていた。俺は知っている、ベンハーがエスト商人に言ったのは『お前らのちんぽを引っこ抜いて女にしてやろうか』だった。サリー先生は余りにも下品な言葉過ぎて、意味が理解できなかったのだ。
その日からふたりは正式に付き合いだしたが、ベンハーには『絶対に秘密をばらすなよ』と釘を刺されている。墓場まで持って行くつもりだが、墓場がいっぱい過ぎてちゃんと埋まるだろうか。
(なにが言葉が分からないだよ。国外や野盗が出るような場所でも平気で交渉に行く癖に)
オーロラ商会の実質No.2のベンハーは貴族より強い発言権を持つとまで言われているが、未だに自覚はないようだ。その人間味あふれる魅力がたまらないと一部に熱狂的なファンがいる。そのファンからは『アニキ』と言われ慕まれている。
「サマリ様、私もベンハーのように人前で好きだと言われたいです~」
「いや、私はベンハーと違うから無理だ。期待しないで欲しい」
「じゃあ~。誰も見ていないところだったら1日1回は好きだと言ってもらえますか?」
「ああ、善処しよう」
こちらもセリーヌに落とされたサマリがほんのりと顔を赤らめているから気持ち悪い。
サマリは毎日のようにセリーヌに告白されていたが、堅物すぎるサマリはその都度丁寧に断っていた。しかし、ある日セリーヌは強硬手段に出たのだ。サマリが自分の部屋に戻ると裸のセリーヌがいた。童貞のらしくあっさりと喰われた口だ。まあ、セリーヌも処女だったのである意味お似合いのふたりだ。
ふたりの甘い雰囲気に段々恥ずかしくなってきたミカエルがとうとう口を開いた。
「早く試着して来いよ」
「そうだな、行くか」
そう言いながらサロンに入ると、目の前には完成されたウェディングドレスが並んでいた。7着もあるとなかなかの迫力だ。二組のカップルを祝福するように窓から零れる日差しがサテンのドレスを照らしだしていた。
「・・・すごく素敵。これ全部ウェディングドレスなのね」
「レイシャル様。素晴らしいドレスですわ」
「みんなよく来てくれたわね。さあ、入って」
そう声をかけられると一直線にドレスに駆け寄ったふたりを見て『こりゃ、時間がかかるな』と苦笑いをしたベンハーとサマリだった。
「どれにするか迷うわ」
「自分達で用意したらこれほどの高級なドレスは作れないものね。レイシャル様のお蔭で最高の思い出ができそうです」
女性陣が賑やかに話しているなか、男性陣は別部屋に案内され寸法を測るだけであっさりと終わった。男性は女性が決めたドレスに色やデザインを合わせるので今は待機だという。
***
その間にベンハー達は予め予定されていたノル王国のカルロス王太子とリブル、バッカム侯爵とウラーラ侯爵夫人との打合せに入っていた。ミカエルとサマリも参加したが、キースはいない様だ。
「リブル、大体の予定は決まったか」
「はい。まず私が先にウェスト王国に入り、新たな支店になる場所を探します。バッカム卿が当たりを付けてくれているのでさほど時間はかからないでしょう」
「ノル王国も港の整備が後数日で終わる。そうすれば大型船が10隻は停泊できる予定だ。シェドから我が国を経由してウェストに入ればいいのではないか?」
カルロス王太子はノル王国でも切れ者で通っている。シェドと同盟を組むなり港の整備を始めたのだ。
「その方が積み荷を大量に送れるので、そう言ってもらえると我々も有難い。ところでボーロ商会は今どうなっているのですか」
バッカム卿が静かにカップを置き話し出した。こちらも男の色気が半端ない人物だ。
(なんだか世界中のイケメン勢ぞろいだな・・・)
「ボーロ商会自体はボーロ氏が逃亡して力は残っていない。ほとんどは理由も聞かされず働いていた下っ端ばかりだからな。それよりオッド卿の暗殺に協力していた騎士達が問題だ。ボーロ氏とつながっていたのは、国境を守る第四騎士団の連中だというところまでは掴んだ。数名は拘束しているが残りが姿をくらしてる。捜索は続けているがウェスト王国とノル王国の間にあるオーガの森は避けた方がいいかもしれん」
「そうなるとやはり海路の方が安全という訳か。ウェスト王国の港の規模は?」
「恥ずかしいことだがさほど大きくはない。大型船の停泊は難しいかもしれん」
「では沖から小型船を使って積み荷を降ろすしかないな、リブル小型船を15隻ほどウェスト王国に向わせろ。今の時期は波も穏やかだ、到着までに1カ月~2カ月といところか」
「はい。すぐに手配をします」
「ところでボーロ氏の行方は分かっているのですか?」
ベンハーもオッド卿に可愛がられてこの地位に着いた。自分の目の前にもしボーロ氏が現れれば、自分が殺してしまうのではないかと思うぐらいオッド卿が殺された怒りが残っていた。
「ドルトムント一族が見張りを続けています。ボーロ氏は国王が拘束されるとすぐに逃亡を図りましたが、妻子に見捨てられ今は遠い親戚を頼って身を隠しています。何時でも殺せますが、レイシャル様の希望を聞くまでは監視だけに留めています」
ノル王国のカルロス王太子はウエン王子の野性味あふれる美形と違って、絵本にでてくる王子様のような風貌だがやはり一国の王になる人物だ。
女性なら誰でも見惚れるような笑顔で微笑んでいるが、ノル王国からの帰国の際にオッド卿が暗殺されたことに相当腹が立っているのだろう。ボーロ氏の話になった途端威圧感が半端ない。
(時折漏れる殺気で鳥肌が立つな。勘弁してほしいぜ)
ベンハーも若い頃は喧嘩に明け暮れていたが、この部屋にいる人物とレベルが違う。
(リブルもウラーラ侯爵夫人もドルトムント一族だからか、この空気でも平気な顔をしてやがる)
ウラーラ侯爵夫人と目が合うと、何もないように微笑みかけられた。
一見穏やかに打合せが進んでいるが、こんなに威圧感を感じる交渉は初めてだ。どこの世界もトップを張る奴はおっかねえとしみじみ思うベンハーだった。
本店に着くとベンハーとサリー先生、サマリとセリーヌのカップルが試着に訪れていた。
「サリー先生、お久しぶりですね」
「御無沙汰しております。ミカエル様、この度はご結婚おめとうございます。ベンハーから聞けば素晴らしい結婚式だったとか。私も見たかったですわ」
「ありがとうございます・・・」
「おっ、一丁前に照れているな。どうだったハネムーンは?ワイアットとやりまくったか?」
「お前~!何言っているんだよ」
「やめなさい!女性の前で・・・本当にこの人と結婚していいのか未だに迷うわ」
「それはないだろ。俺が悪かったから機嫌を直してくれよ、俺はお前がいないと生きて行けないんだから、なっ」
「は~、すぐこの調子なんだから。私もすぐに絆されてしまうから駄目なのよね」
この男はミリューの本店でサリー先生と出会ってから『色々な場所へ交渉に行くので語学を教えて欲しい』と言ってずっと文通をしていた。一度からかってやろうとデートを付けたことがあったが、その時ふたりは路地裏でエスト商人に絡まれていた。ベンハーなら助ける必要はないだろうと様子を見ていると、案の定ベンハーはエスト語で男どもをやり込めたのだ。
サリー先生は『頑張って勉強したのね』と感動していたけど、何を言ったかは良く分からなかったと言っていた。俺は知っている、ベンハーがエスト商人に言ったのは『お前らのちんぽを引っこ抜いて女にしてやろうか』だった。サリー先生は余りにも下品な言葉過ぎて、意味が理解できなかったのだ。
その日からふたりは正式に付き合いだしたが、ベンハーには『絶対に秘密をばらすなよ』と釘を刺されている。墓場まで持って行くつもりだが、墓場がいっぱい過ぎてちゃんと埋まるだろうか。
(なにが言葉が分からないだよ。国外や野盗が出るような場所でも平気で交渉に行く癖に)
オーロラ商会の実質No.2のベンハーは貴族より強い発言権を持つとまで言われているが、未だに自覚はないようだ。その人間味あふれる魅力がたまらないと一部に熱狂的なファンがいる。そのファンからは『アニキ』と言われ慕まれている。
「サマリ様、私もベンハーのように人前で好きだと言われたいです~」
「いや、私はベンハーと違うから無理だ。期待しないで欲しい」
「じゃあ~。誰も見ていないところだったら1日1回は好きだと言ってもらえますか?」
「ああ、善処しよう」
こちらもセリーヌに落とされたサマリがほんのりと顔を赤らめているから気持ち悪い。
サマリは毎日のようにセリーヌに告白されていたが、堅物すぎるサマリはその都度丁寧に断っていた。しかし、ある日セリーヌは強硬手段に出たのだ。サマリが自分の部屋に戻ると裸のセリーヌがいた。童貞のらしくあっさりと喰われた口だ。まあ、セリーヌも処女だったのである意味お似合いのふたりだ。
ふたりの甘い雰囲気に段々恥ずかしくなってきたミカエルがとうとう口を開いた。
「早く試着して来いよ」
「そうだな、行くか」
そう言いながらサロンに入ると、目の前には完成されたウェディングドレスが並んでいた。7着もあるとなかなかの迫力だ。二組のカップルを祝福するように窓から零れる日差しがサテンのドレスを照らしだしていた。
「・・・すごく素敵。これ全部ウェディングドレスなのね」
「レイシャル様。素晴らしいドレスですわ」
「みんなよく来てくれたわね。さあ、入って」
そう声をかけられると一直線にドレスに駆け寄ったふたりを見て『こりゃ、時間がかかるな』と苦笑いをしたベンハーとサマリだった。
「どれにするか迷うわ」
「自分達で用意したらこれほどの高級なドレスは作れないものね。レイシャル様のお蔭で最高の思い出ができそうです」
女性陣が賑やかに話しているなか、男性陣は別部屋に案内され寸法を測るだけであっさりと終わった。男性は女性が決めたドレスに色やデザインを合わせるので今は待機だという。
***
その間にベンハー達は予め予定されていたノル王国のカルロス王太子とリブル、バッカム侯爵とウラーラ侯爵夫人との打合せに入っていた。ミカエルとサマリも参加したが、キースはいない様だ。
「リブル、大体の予定は決まったか」
「はい。まず私が先にウェスト王国に入り、新たな支店になる場所を探します。バッカム卿が当たりを付けてくれているのでさほど時間はかからないでしょう」
「ノル王国も港の整備が後数日で終わる。そうすれば大型船が10隻は停泊できる予定だ。シェドから我が国を経由してウェストに入ればいいのではないか?」
カルロス王太子はノル王国でも切れ者で通っている。シェドと同盟を組むなり港の整備を始めたのだ。
「その方が積み荷を大量に送れるので、そう言ってもらえると我々も有難い。ところでボーロ商会は今どうなっているのですか」
バッカム卿が静かにカップを置き話し出した。こちらも男の色気が半端ない人物だ。
(なんだか世界中のイケメン勢ぞろいだな・・・)
「ボーロ商会自体はボーロ氏が逃亡して力は残っていない。ほとんどは理由も聞かされず働いていた下っ端ばかりだからな。それよりオッド卿の暗殺に協力していた騎士達が問題だ。ボーロ氏とつながっていたのは、国境を守る第四騎士団の連中だというところまでは掴んだ。数名は拘束しているが残りが姿をくらしてる。捜索は続けているがウェスト王国とノル王国の間にあるオーガの森は避けた方がいいかもしれん」
「そうなるとやはり海路の方が安全という訳か。ウェスト王国の港の規模は?」
「恥ずかしいことだがさほど大きくはない。大型船の停泊は難しいかもしれん」
「では沖から小型船を使って積み荷を降ろすしかないな、リブル小型船を15隻ほどウェスト王国に向わせろ。今の時期は波も穏やかだ、到着までに1カ月~2カ月といところか」
「はい。すぐに手配をします」
「ところでボーロ氏の行方は分かっているのですか?」
ベンハーもオッド卿に可愛がられてこの地位に着いた。自分の目の前にもしボーロ氏が現れれば、自分が殺してしまうのではないかと思うぐらいオッド卿が殺された怒りが残っていた。
「ドルトムント一族が見張りを続けています。ボーロ氏は国王が拘束されるとすぐに逃亡を図りましたが、妻子に見捨てられ今は遠い親戚を頼って身を隠しています。何時でも殺せますが、レイシャル様の希望を聞くまでは監視だけに留めています」
ノル王国のカルロス王太子はウエン王子の野性味あふれる美形と違って、絵本にでてくる王子様のような風貌だがやはり一国の王になる人物だ。
女性なら誰でも見惚れるような笑顔で微笑んでいるが、ノル王国からの帰国の際にオッド卿が暗殺されたことに相当腹が立っているのだろう。ボーロ氏の話になった途端威圧感が半端ない。
(時折漏れる殺気で鳥肌が立つな。勘弁してほしいぜ)
ベンハーも若い頃は喧嘩に明け暮れていたが、この部屋にいる人物とレベルが違う。
(リブルもウラーラ侯爵夫人もドルトムント一族だからか、この空気でも平気な顔をしてやがる)
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