契約に失敗した俺は……。

ど~はん

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56.嵐の前の静けさとは

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「発射準備、完了しました。」

「よし、撃てぇ!」

田川二等陸佐の号令とともに、無数のミサイルが青い空に向かって進んでいく。

「ミサイル……かっ。」

サハクィエルの矢によって貫かれた傷は、応急処置だとしてもダメージは大きかったようだ。

無数のミサイルは、真姫に向かって飛ぶ。

「おっと、あぶねぇ。」

あっという間に真姫を包み込む黒煙。
激しい閃光に、次々と響く巨大な爆発音。
元一等空佐である仲部をも巻き込みそうな勢いの自衛隊の攻撃。

『全ミサイル、目標付近での爆発を確認。』

『よし、一時離脱せよ。』

『了解。』

数機の戦闘機は、次々と仲部の頭上を通りすぎて行く。

『あたら……ない。』

「そんな遅い攻撃、私にはいくら仕掛けても当たらない。」

アズラーイールとサハクィエルの激しい攻防も一息ついたらしい。

ゆったりと風に流されていた黒煙だが、やがて激しさが増してくる。

「しぶといな……。」

黒煙は回転を始める。
嵐のように。

「次装填で待機!いつでも撃てるようにしておけ。」

「わかりました。全隊、次装填で待機!」

田川二等陸佐は、嫌な胸騒ぎから待機させることを決断した。

黒煙の渦は小さくなっていく。
まるで黒い玉のように、圧縮されるかのように。

「…………。」

そんな状況に、何も言わず強い視線を当て続ける仲部。

「メディックの状況は?」

「先ほど離脱したとのことです。」

「うむ、ならばF-2x(架空)を待機させるように言っておいてくれ。」

「了解しました。」

田川二等陸佐はこの作戦の総司令を任されている。
本作戦では航空自衛隊をも動かすことが可能なのである。

そして、その時はやってきたのである。

黒煙、そして周りの空気を圧縮したような黒い球体は、周りにすべてのエネルギーを放出するように破裂した。

「……ぐっ……。」

顔を覆うように右腕を顔に当て、細くした目で、ぼやけながらも放出の中心を捕らえる仲部。

「ミサイルだぁ?まったく……鬱陶しいな。」

そこには赤いオーラを全身に纏った真姫がいた。

紫に光った目は冷たい視線を発している。
やや上からな大きい態度は消え、変わって現れたのは『殲滅』という二文字がふさわしいであろう力強く圧倒的存在感。

その存在感はアズラーイールの存在すら消し去りそうであり、またどちらが天使でどちらが契約者なのかわからなくなってしまうほどであった。

「殺す……。」

いや、天使ではない。

悪魔と言った方がふさわしいだろう。
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