10 / 21
9.ドア
しおりを挟む
「な……なにもいないね……」
5人の足音だけが響く静かな廊下で三葉が呟いた。
窓から射し込めていた、太陽という名の照明は光を無くした。
恐らく雲に遮られてしまったのだろう。
「ち……千瀬さ…ん?だんだん握る力が強くなっているような」
「そ…そんなこと……ない」
千瀬は成羽と手を繋いでいるが、幸多と横並びではなく、1歩後ろに下がったくらいを歩いている。
「お、なにも……なかったな」
突き当たり、図書館の入り口に到着した。
左を見ると下へ行く階段がある。
休みということもあり、図書室の中は暗い。
「恐らく見間違いだろう……」
達真が言った。
「そ…うだといいんだけど」
三葉が廊下を見て言った。
「見間違いって何と見間違えるんだよ」
「お化け」
「それ言い方変えただけ!」
龍人と達真が話していると、
「ねぇ、中も一応見てみない?」
三葉が言い出した。
しかし、
「いいけど……閉まってるぞ多分」
そう、達真の言う通り普通の教室なら開いてるが、科学室などになると貴重な物が置いてあったりするので、使わない時は閉まっている。
「閉め忘れとかあるでしょ~。あの人なにかとおっちょこちょいだし」
「ひでぇこと言うな……」
龍人はあきれているが、たしかに三葉の言ってる事は正解かもしれない。
研究室から実験室やらを管理しているのは栗島先生というのだが、前回の授業がどこまでやったのか忘れたり、実験でも早くから準備してあるものの必ずなにかを準備し忘れたりする。
「とりあえず見ていくか」
逆に図書館の方から例の廊下を進むとまずあるのは、科学研究室。
三葉がドアに手を掛ける。
「ん、開いてないね」
何回か引き戸に力を入れるが開かない。
次に科学室。
ここは前と後ろにドアがある。
「両方開かないね」
「全部閉まってるんじゃない?」
千瀬が呟く。
その後、実験室、実験準備室……と次々と確認していく。
「後はここだな」
そして最後、生物研究室。
三葉がドアに手を掛ける。
「あ……」
すると、軽い力でドアが動いた。
薄暗い廊下にドアのローラーの音が響く。
言い出した三葉もびっくりする出来事だった。
「まじかぁ、あの人やっぱりなんかやらかすな」
「だ……誰も見てないよね」
幸多がそう言って周りを見たが誰もいなかった。
「よし、入ろう」
5人は中に入ったのであった―。
5人の足音だけが響く静かな廊下で三葉が呟いた。
窓から射し込めていた、太陽という名の照明は光を無くした。
恐らく雲に遮られてしまったのだろう。
「ち……千瀬さ…ん?だんだん握る力が強くなっているような」
「そ…そんなこと……ない」
千瀬は成羽と手を繋いでいるが、幸多と横並びではなく、1歩後ろに下がったくらいを歩いている。
「お、なにも……なかったな」
突き当たり、図書館の入り口に到着した。
左を見ると下へ行く階段がある。
休みということもあり、図書室の中は暗い。
「恐らく見間違いだろう……」
達真が言った。
「そ…うだといいんだけど」
三葉が廊下を見て言った。
「見間違いって何と見間違えるんだよ」
「お化け」
「それ言い方変えただけ!」
龍人と達真が話していると、
「ねぇ、中も一応見てみない?」
三葉が言い出した。
しかし、
「いいけど……閉まってるぞ多分」
そう、達真の言う通り普通の教室なら開いてるが、科学室などになると貴重な物が置いてあったりするので、使わない時は閉まっている。
「閉め忘れとかあるでしょ~。あの人なにかとおっちょこちょいだし」
「ひでぇこと言うな……」
龍人はあきれているが、たしかに三葉の言ってる事は正解かもしれない。
研究室から実験室やらを管理しているのは栗島先生というのだが、前回の授業がどこまでやったのか忘れたり、実験でも早くから準備してあるものの必ずなにかを準備し忘れたりする。
「とりあえず見ていくか」
逆に図書館の方から例の廊下を進むとまずあるのは、科学研究室。
三葉がドアに手を掛ける。
「ん、開いてないね」
何回か引き戸に力を入れるが開かない。
次に科学室。
ここは前と後ろにドアがある。
「両方開かないね」
「全部閉まってるんじゃない?」
千瀬が呟く。
その後、実験室、実験準備室……と次々と確認していく。
「後はここだな」
そして最後、生物研究室。
三葉がドアに手を掛ける。
「あ……」
すると、軽い力でドアが動いた。
薄暗い廊下にドアのローラーの音が響く。
言い出した三葉もびっくりする出来事だった。
「まじかぁ、あの人やっぱりなんかやらかすな」
「だ……誰も見てないよね」
幸多がそう言って周りを見たが誰もいなかった。
「よし、入ろう」
5人は中に入ったのであった―。
0
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
エリート警察官の溺愛は甘く切ない
日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。
両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉
次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢
さら
恋愛
名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。
しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。
王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。
戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。
一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる