軽音部の恋物語は音を奏でるだけでは成立しない?

ど~はん

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10.向こう側

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「ん…まぁ、特には何もないな」

「ないですね」

達真、龍人は生物研究室をうろうろする。
しかし、いたって普通。

「やはり見間違いかな?ち……千瀬はど……どう思う?」

「ん……、あ……わっ、私?そ……そうだと思う…よ。」

なぜかふたりとも動揺しているようだ。
特に千瀬は……。

「きっ……きゃああぁ~~!!!」

「ん?」

「えっ!?」

「どうした!?」

いきなり三葉が叫んで、そのまま床に座り込んでしまった。

4人は慌てて駆け寄る。

「ど……どした??」

「で……で……でっ、でっ……でた…。」

「何がでたんだ?幽霊か?お化けか!?」

「お前は話をややこしくするなっ、この際どっちでもいいだろ!」

そんなやり取りをする達真と龍人。
その会話を断ち切るように、ゆっくりと三葉は右手を挙げた。

「そ……そこ…。」

三葉の指差す先は開き戸があった。
これは準備室の入り口である。


数分前―。

「ん…こことか開いてないかな。」

他の4人が研究室の中をうろうろしている中、三葉は準備室へと繋がる開き戸の前まで来ていた。

「お、開いてた」

ドアノブに手を掛けて回す。
そのまま前にゆっくりと力を掛けると、それに合わせてドアも動いた。

「お…お邪魔しま~す」
 
ゆっくりと開いていくドア、その向こう側がだんだん見えるようになってきた。


その時…。

「え……」

ドアが約半分くらい空いたとき、三葉の視界にあるものが侵入してきた。

白い服、顔?だろうか、覆い隠すような長い髪そしてなんといっても人の形……。

「きっ……きゃああぁ~~!」

三葉は咄嗟に叫んで、振り向きドアノブを掴んでいる右手はそのままで、ドアを勢い良く閉めながら準備室から距離を取ろうとする。

しかしあまりの出来事に全身の力が抜けてしまい、床に座り込む形になってしまった。


そして現在―。

龍人が右腕を、達真が左腕を肩に掛けて、三葉を支えるように立たせる。
恐らくまだ力が抜けてしまっている状況なのだろう。

「大丈夫か?」

「成羽~すまんが準備室見てくれ」

「お…俺!?」

「だって俺らこの状態だし」

達真と龍人は三葉を支えている。
様子を見れるのはこの場合、成羽と千瀬が見てくるのが最適だろう。

ということで、ドアの先に行くことになった成羽と千瀬。

「開けるぞ」

右手は塞がってるので、左手でドアノブに手を掛ける幸多。

そしてドアを開けると……、

そこには―。



※すっかり、ホラー要素が強くなってきているこの作品です。
しかし、あくまでも軽音部で夢を追い求める成羽と千瀬の恋物語であることをお忘れなく……。


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