軽音部の恋物語は音を奏でるだけでは成立しない?

ど~はん

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11.白いもの

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「お邪魔しまーす…。」

成羽はゆっくりとドアを開けていく。
ドアが開いていくと同時に……、

「痛いんですが~。」

千瀬の握る強さが次第に強くなっているらしい。

「き……気のせいだよ、成羽が落ち着いてないだけ……。」

千瀬はそう言いながら少しずつ露になっていくドアの向こうの景色を見た。



その瞬間……。






「きゃあああ!」

千瀬は三葉と同じくらいの声量で叫んだ。
 
「いったぁぁぁあい!」

そして右手で手を繋いでいる成羽の右腕を、叩くように思いっきり掴む。
そのまま幸多の背後に隠れる千瀬。

「痛い痛い……いててててっ、肩が死ぬ肩がぁ!」

背後に隠れるのはいいが、成羽の右腕は後ろに引っ張られ、肩があらぬ方向へ曲がろうとしていた。

「あ……。」

そんな中ドアがすべて開き、見えてしまったものがあった。

「まじ……かよ……。」

成羽は目を大きく開けて、見えてはいけないものを見続けた。

「ヤバいヤバい……出たぁ出たってばぁ!」

千瀬が身を小さくして呟いた。

「千瀬…………あれって……。」

「幽霊だって!」

千瀬が叫ぶ。

「おいっ、どうした!?」

龍人がそれを聞いて言った。

「千瀬、見てみろよ。」

「見たって!なんであなたはそう冷静にしてられるのっ。」

「もう一回見てみろって……。」

成羽が静かに言った。

「えっ?ん……じゃあ…。」
 
成羽の後ろから、目を瞑りながら恐る恐る顔を出す千瀬。

「み……みるよ。」

「おう。」

千瀬がゆっくり目を開けると……。
 
「きゃっ……、え?」

やはり、見えてはいけないもの…と一瞬思った。
しかし、千瀬も成羽同様ずっとそれをみていた。

「あれってさ……、まさか。」

「うん……あれ……だね。」

成羽と千瀬はそれの前まで行ってみた。
そして、

「どうやらそうっぽいな。」

それの黒いものを掴んでゆっくり上げてみた。

「やっぱりな、これは……。」

「そ……そうだね。人体…の。」

「骨格の模型だ。」

そう、この幽霊騒ぎの正体は骨格模型だったようだ。

でもなぜ幽霊に見えたのか…、

「大丈夫か!?」

三葉がやっと立てたようだ。
龍人と達真が2人の様子を見に入ってきた。
そして成羽の掴んだものを見ると……、

「お…おい、幸多…お前それ……。」

「あぁ、鬘だな。」

骨格模型が顔を覆うほどの長い髪の幽霊に見えたのは鬘が原因だったよだ。

「じゃあ、その白いのは……。」

人体の骨格模型の体には白いものがあった。

それは骨ではなく……、

「白衣だな。」

白衣だった。

「ま……まさか幽霊って……。」

「こいつだな。」

『なんだよぉ~。』

と全員が声を揃えて言ったのだった―。
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