あやしや菓子屋

都築稔

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あやしや菓子屋にいらっしゃい②

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朝起きて、机の上を見て確信した。

「あれは夢じゃなかったのか。」

水のペットボトルと共に置かれた金平糖。昨日の夜に変わった菓子屋に行った証拠。

「あやしい菓子屋って言ったっけ?」

名前の通り、怪しげな雰囲気の菓子屋だった。酒を飲んでいなかったら、見つけても立ち寄らなかっただろう。

「うわ、やっべぇ。」

ボーッとしすぎたらしい。すぐにでも出ないと遅刻してしまう。

素早くシャワーを浴びて、着替える。朝ご飯は食べる時間がない。金平糖を掴んでカバンに放り込んだ。

「行ってきます。」

誰が答えてくれるわけでもないが、毎日言うようにしている。もう、これは癖だ。

家から会社までバスで20分。
家賃は高めだが、朝が弱いからできるだけ近いところを選んだ。それでも遅刻しそうになってるんだから、俺の朝の弱さは相当だと思う。

まだ重たい瞼を擦る。

どこかでコーヒーを買っていこう。じゃなきゃやってられない。

座ったら寝過ごすと思い、席は空いていたが立つことにした。

カクンと落ちそうになった衝撃でメガネがずれる。

学生時代はコンタクトにしたいと思っていたが、変えたところで漫画のようにイメチェンにはならないと気付いた。そして突然女性にモテたりなんてしない。

え?そんなにモテたかったのかって?学生時代なんてそんなもんじゃないの?

あくびを噛み殺して、最寄駅で降りる。

ビル内にコンビニがあったよな。そこでコーヒー買っていくか。

なんて軽い気持ちで入って、瞬間で覚醒した。

「え…嘘だよな?」

今まで受付嬢に興味なんて持てなかったが、今日は違う。

あの人、格好は全然違うけど菓子屋の女性だ。間違いない。

「柏原、どうした?一目惚れか?」

「そんなんじゃないよ。」

同期の墨田に声をかけられて、我に帰る。

「あの人、前からいたっけ?」

「う~ん、いたんじゃない?あんな地味なのが好み?」

「だから、そういうんじゃないって。」

確かに昨日はメガネなんてしていなかったし、前髪もあんなに重く感じなかった。雰囲気は全く違う。女性の細かい違いにすぐ気づくタイプではないのだけど、どうして彼女にはすぐに気付いたのだろう。

「ほら、行くぞ。遅れる」

「あぁ、そうだな。」

なんだか彼女が気になって、横目で通り過ぎた。彼女が俺に気付いた様子はなかった。

まぁ、毎日来るであろう客の顔をいちいち覚えてるわけないか。

予定いていたコーヒーは買えなかったけど、そんなことに気がつかないくらい彼女との再会に驚いていた。

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