憧れの騎士は幼馴染

都築稔

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カタタン、カタタン

私は馬車に揺られていた。こんなに長く乗ったのは初めてだろう。領地の端から端まで馬車で移動しても2日はかからない。でも今回は少し離れた王都へ向かっているので、1週間弱かかる。

「もうすぐ、王都内に入るわ。そうしたら、休憩として甘い者でも食べましょう。」

「いいわね。最近は何が流行っているの?」

「そうね、最近できたケーキ屋さんがあるのだけど、そこは混んでるでしょうね。私のオススメのお店があるの。そこにしましょう。」

私の少しの憂鬱を放置して、お母様とお姉様は盛り上がっていた。

私も甘いものは好き。令嬢として過ごすようになって嬉しかったことの1つは、お茶会でケーキを食べれることだった。男性は女性ほどお茶会を開かない。だから、前よりもケーキを食べれるようになって喜んだ。

前より体を動かさず、ケーキを食べすぎたために少し太ってしまったのはここだけお話し。

「ほら、ここよ。」

お姉様が連れてきてくれたのは、少し年季の入ったカフェだった。

「あら、いいところね。まだお料理をいただく前だけど、私も気に入ったわ。」

「うん、とてもいいところね。」

私はオシャレすぎるところだと緊張してしまって、きっと美味しいものを楽しめない。お姉様もそれをわかっていて、敢えてここに連れてきてくれたのだろう。

お母様は硬めのプリン、お姉様はショートケーキ、私はティラミスを頼んだ。

「ここはティラミスもあるのね。」

「えぇ。ここはコーヒーも美味しくて。」

「ティラミスにはコーヒーを使うものね。楽しみだわ。」

みんなの注文が手元に届いたところで、一口目を口に運ぶ。疲れた体に糖分が染み渡った。

「う~ん!美味しいわ!」

頬がとろけ落ちそう。

「ん゛ん゛っ。」

あら、誰かがむせたみたいね。大丈夫かしら?

周りを見回してみたけど、それらしい人はいない。

空耳か、大したことなかったかのどちらかでしょう。

「スミレ、ここ気に入った?」

「えぇ、とっても。」

「ならよかったわ。また来ましょうね。」

「はい!」

嬉しいわ。先のパーティーが終わったら連れてきてもらおうかしら?ちょっと頻度が短いかしら?

この時のお姉様にどんな思惑があったかも知らず、私はウキウキと、今思えばだらしのない顔でデザートを食べていた。

「そう言えばお母様、私のパートナーはどなたがしてくださるの?」

「ごほっごほっ!」

「…当日までの内緒です。」

「さっきから、むせてる方がいらっしゃるみたいですが大丈夫かしら?」

周りを見渡してみても、やっぱり誰もむせていた様子の人はいない。

「大丈夫よ。気にしない方がいいわ。」

「そう?」

お姉様が言うならそうなのかしら。まぁ、私が気にしたところでどうもならないものね。忘れましょう。

お姉様と一緒じゃなくても、パーティーを終えたら自分のご褒美として来よう。一人ひそかに誓い、お店を後にした。
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