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頼りにしてます、お兄様
しおりを挟む夕食をいただいた後、私の気持ちも落ち着いたのでお兄様の部屋に訪れた。
「それで、僕のお姫様は何をそんなに考え込んでいたんだい?」
向かい側に優雅に座るお兄様は、8歳なのに今日も色気がすごい。
「あの、えっと・・・今日、書店で男の子に会ったんです。」
まだルカ様に名乗られていないことを思い出して、名前を知ってたらおかしいかもしれないと思い濁した。国王陛下の御子息が三つ子とは知っているが、誘拐対策などのために絵などは拡がっていない。だから王都に行ったことがない私が知っているのはおかしいこと。
「男の子・・・ねぇ?」
「お兄様、何かおっちゃりました?」
「いや、何も。」
何か言った気がするのだけど・・・。それに一瞬、真顔だったような・・・いや、お兄様が何もないと言うなら何もないんでしょう。
「その男の子がどうかしたのかい?」
「おすすめの本を教えていただいたのです。お礼をもうち上げたいのですが、お名前を聞きそびれてちまいまして。」
「なるほど。今日、購入したのは全てオススメされた本かな?」
「はい。」
うーん、とお兄様は考え込んだ。
あれ、こういう時はその人の特徴とか聞くものじゃないの?
「同じ年頃の男の子なんだよね?」
「はい!グレーの髪の、アメジストみたいな綺麗な瞳の男の子でした。」
もう、自分から教えちゃいました。ほらお兄様、これでどなたかわかりますでしょ?
「・・・・・・えーと、その男の子に会いたいということかな?手紙で済ますとかにしない?」
あら、なんだか会ってほしくないご様子?まぁ、繋がりが持てるだけでもいいかもしれませんが・・・第一王子に会う前にルカ様と婚約したいのだけど、それは無茶な話かしら?
「お手紙をかいたら、お兄様が届けてくれるの?」
「あぁ、責任を持って兄様が渡そう。」
「お兄様とその方はお友だちなの?」
お兄様、少し微妙な顔されてる。困ってるのね。お友だちじゃなかったのかしら。それとも王族だから知ってるけど、話したことはないとか?え、それなら手紙を渡すのも無理じゃない?
「・・・あぁ、心配しなくていい。手紙はちゃんと届けるさ。彼とは知り合いだけど・・・友だちかどうかは確認したことがなくてね。」
・・・友だちは確認したりしないと思います、お兄様。仲があんまりよろしくなかったのかもしれないわ。
「そうでしたか。では、私は絵本を読んで感想とお礼をお手紙にしますね。」
「うん、急がなくていいからできたら渡しておくれ。」
「はい、頼りにしてます。」
私の死亡フラグ回避はお兄様にかかってます!
それに将来、義兄弟になりますから今から仲良くなってくださいね。
★★★
さてさて、お兄様には急がなくていいと言われましたがそうもいきません。できるだけ早く、ルカ様との繋がりがほしいところなので。
湯浴みを済ませると、ラナにホットココアを用意してもらった。読書に飲み物は必要よね。昼間なら紅茶かもしれないけど、ノンカフェインじゃないと眠れないかもしれないし。
ルカ様が渡してくれたのは、動物が出てくる童話とお姫様と王子様が結ばれるお話の2冊だった。結構、王道なモノが好きなのね。そう思って読み始めたけど、頭まで子どもに戻っているのか、とても面白かった。
はぁ、推しに選んでもらった本。一生、大切にする。この時代にラミネートみたいなものとかあったら全ページするのに。・・・そうだ!お父様にお願いして保存魔法をかけてもらおう!ナイスアイデア!
さぁ、この調子で手紙をかいちゃいましょう。この前、丁度レターセットを買ったところですし。
「お嬢様、そろそろお休みの時間ですよ。」
「ラナ、私、今お手紙がかきたいわ!」
「今かいても、明日の朝書いてもお渡しするお時間は同じだと思いますよ。」
「私の気持ちが違うわ。」
「私が思うに、今お嬢様が手紙を書き始めると寝る時間が遅くなります。朝の弱いお嬢様は、夜更かしすると起きるのも遅いです。すると、サイラス様にお手紙をお渡しするのも遅くなるかと思います。」
ぐぬぬ・・・。
確かに今のアゲアゲなテンションで書いたら量の多い手紙になりそうだわ。書き上げるのも遅いでしょうね。
「わかったわ。今日は寝る。」
「はい、それがよろしいかと思います。明日は早めに起きられますか?」
「うん、お願い。」
「かしこまりました。」
ラナがテキパキと片付けてくれているので、私は口をゆすいで布団に入る。
今日はたくさん歩き回ったからかしら?布団に入るといつの間にかぐっすりと眠ってしまったようだった。
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