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ご褒美タイム
しおりを挟む「あ、あの。本当にこんなことでいいのですか?」
"こんなこと"と言いつつ、顔を真っ赤にしたリアが恐る恐る僕の髪を撫でる。
「僕はこれがよかったんだよ。」
照れ屋なんだから、こんなことと言ったって滅多にしてくれない。
「僕たち、最近ゆっくりできてなかっただろ?だからほら、こういう時間もあっていいじゃんか。」
照れて目を泳がせている姿を、下からじっくり眺める。
あぁ、いい眺め。頭の下にはリアの膝。視線の先にはリアの顔。彼女からほんのり香るのが、僕があげた香水の匂いっていうのもポイント高い。
僕のリア。僕だけのリア。
「リーア!ほら、こっち向いてよ。なんでよそ見ばっかりしてるのさ。」
「よ、よそ見なんて」
「してたよ。僕以外を見たら、それはよそ見です。」
あまりに触り心地が良さそうで、頬をむにむにすると固まっちゃった。可愛いけど、これくらいでこんな反応だとこれから先、困っちゃうな。もっとすごいこと、本当はたくさんしたいんだけど。
リアは最近、色気が増したと言って僕と目を合わせようとしない。いや、合わせてくれるんだけど今までよりも減ったというか。
でも僕は知っている。僕が彼女を見ていない時、彼女はチラチラと僕を見てることを。それがまた可愛くて、強く言えない。彼女の気持ちを疑うこともない。
だって要するに、僕が好き過ぎて直視できないってことでしょ?
「リアは僕のこと、嫌い?」
「そんなことありません!!」
聞かなくてもわかっているが、間髪開けずに返ってくる返事が嬉しい。
「ふーん、仕方ないな。じゃあ、結婚してあげるよ。」
「……婚約の意味をご存知ですか?」
「ん?なに?僕のこと好きって?」
「言ってません。」
「え…嫌い?」
「そうじゃなくてですね!」
あぁ、僕のこんなくだらない質問にちゃんと答えてくれる、婚約者が可愛い。
少し体を起こし、彼女の後頭部に手を回す。
ちゅっ。
額に口づけを落とした。
潤んだ瞳で僕を見るリア。食べちゃいたいくらい可愛い。
たまに自分で思う。僕ってこんなに人に甘くなれる人間だったっけ?と。
人を警戒しないと生きていけず、能力はできるだけ評価されたくなくて。周りを撥ねつけるような人間だったのに。
まぁ、今もリア以外にはそうなんだけど。
「……もう僕は君なしでは生きられないと思う。」
「何言ってるんですか。」
「うん、ごめん。」
重いよね。わかってる。でも離してあげられそうにないや。
「私なしで生きようとしないでください。」
「え?」
「今更、別の誰かと生きるって言われても困ります。1人で生きると言われても、勝手についていくだけですわ。」
「…バカじゃないの?」
ゲームのストーリーを知ってるなら、僕がヤバいやつだってわかってるはずだ。そんな僕が手を離す時はよっぽどの緊急事態のはずなのに。
でも、もう言質はとれてるからね。何があっても手を離してあげない。例え緊急事態でも、手を離さないでいられる方法を考えよう。
可愛い可愛い僕の婚約者。
自ら僕に捕まりにくるんだから、たまったもんじゃないや。
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