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波乱のホームパーティー3
しおりを挟む「ライト様はなんだかんだルカ様に優しいですわよね。」
俺の婚約者、カエラが少し揶揄うように言った。
「まぁ、なんだかんだ可愛い弟だからね。」
「初めて聞きましたわ。あの方を可愛いと仰るのはエミィだけかと思ってました。」
「…初めて言ったからな。」
ルカは俺なんかよりずっと優れている。俺がこんな性格になったのは、品行方正な兄と天才の弟に挟まれたからかもしれない。
実際、小さい時は羨ましいと思っていた。また、それと同時に誇らしかった。
これまでの件についても、ルカの功績は大きい。きっとルカがいなければ、どうにかなっていたはず。せめて、ルカが苦手な社交は俺がしようと思ってるなんて本人には内緒だ。
…カエラにはバレてるかもしれないけど。
「ライト様のお召し物も素敵ですね。」
ここで突然、アメリア嬢からのボールが飛んできた。
「そうか?」
「ええ!この色使い、リアン様にしかできないと思います。」
おいおい、カエラと揃えてきてんだからさ。それはカエラは似合ってないってことかな?俺だって婚約者のことには沸点低いんだからな。
この媚び方…もしかして、俺も射程範囲に入ってる?そういや、俺もメインキャラクターとやらに入ってたっけ。めんどくせぇな。
「私が選びましたのよ。」
ズイッと、カエラが会話に入り込んできた。
うんうん、お前だって俺が取られたくないよな。強気な発言ばかりしてるけど、一途で乙女な一面があることもちゃんと理解している。そして、そんなところが可愛いと思ってたりする。
「あら、そうなのですね!カエラ様のセンスは抜群ですのね。」
そうだぞ。俺だって、ダサかったら拒否してるっての。
「ありがとう。」
「こいつも、似合ってるだろ?」
「…えぇ、とっても。」
言わせた感はあるが、よしとしよう。きっと、いい婚約者と認めるような発言は避けようとするだろうからな。
「リアンも惚気るようになったんだね。」
「うるせぇ。」
「もう、口が悪いよ。」
「ライト様とリアン様は仲良いのですね。」
「まぁね。…そういえばルカは?」
「エミリア様と休憩に行かれましたわ。」
「そうなんだ。」
「ライト様も疲れましたか?少し休憩されますか?」
さっきから、俺たちの会話に入り込もうと必死な彼女。二人で休みたいという魂胆もバレバレだ。
他の人たちは俺たちに挨拶したら、邪魔にならないように離れてくれる。でも彼女は挨拶してからずっといる。
「そうね、そろそろお腹が空く頃よね。お昼にしましょうか。」
気を利かせたマリアンヌ嬢が提案する。
食事は席が決まっているし、立ち歩いたり会話の邪魔をされることもない。
「そうしようか。」
「じゃあ、俺はルカたちに伝えてくる。」
「私もお供しますわ。」
「じゃあ、僕たちは使用人に指示を出してくるから。アメリア嬢はゆっくりしててね。」
ライトの遠回しな「ついてくるな」という発言に気付いたのだろう。口元を少し引き攣らせたが、笑顔で見送ってくれた。
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