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第2章
図書館デート
しおりを挟む「待って、僕が払うよ。プレゼントさせて。」
カゴに入れる前に、ジェイドに手を止められる。
「いや、いいよ。」
アクセサリーをもらうなんて、なんだか恋人同士みたいじゃん。私ばっかりもらうわけにもいかないし。
「ううん。買わせて欲しいんだ。それにこうすれば、アカリは他にも欲しいものを見れるでしょう?」
優しく、でも強引に手からネックレスが奪われた。
彼はきっと優しさからいってくれてるだけで、意識してるのは私だけだ。
「・・・ありがとう。」
男性からアクセサリーをもらうなんて、きっと最初で最後のことだ。ありがたくもらっておこう。それとこの店でジェイドにあげるプレゼントを買ったら、もらってばっかりでもなくなるよね。
乙女心がくすぐられるようなものばかりが並んでいて迷う。店内をくるくると回って、便箋と筆記用具を買うことに決めた。
この世界は鉛筆やシャープペンシルがない。割と現代日本と同じものがあったりするので、少しガッカリしたことが記憶に新しい。でもこうやってガラスペンを見てみると綺麗で、インクと合わせて集めたくなる。沼だな。
ペン先が金属製のものは割と長持ちするらしいが、私は断然ガラス派。今まで家で使っていたのは、金属製のシンプルなものだが、いつかガラスペンを買いたいと思っていた。
ペン先の少し上、丸い部分に金魚や花、クラゲなんかが描かれているものを見たときは感動した。
ジェイドには・・・うん、これにしよう。さっきも緑を選んでたし、きっと好きな色なんだ。何より翡翠色の瞳によく似合う。
そう思って手に取ったのは青緑のガラスペン。全体に散りばめられた金色が水面に映った星みたいで綺麗だ。自分のものはそれと同じ黒を選ぶ。
こっちは夜の星空みたいね。
お揃いなんて恋人っぽいが、アクセサリーより渡しやすい。友だち同士でお揃いを持つこともあるし・・・と自分を納得させた。
★
「はい、私からはこれをプレゼント。」
お店を出たところで、先程レジで別に包んでもらった包みを渡す。
「え、いいの?」
ジェイドは、私が好きな柔らかい笑顔になった。
突然のその笑顔は反則だよ!
「大切に使うね。ありがとう。僕からも、はいどうぞ。」
「ありがとう!毎日つけるね!」
家にある服はシンプル目な色合いのものが多いから、きっと合うだろう。
これをつけておけばジェイドがいつもそばに居てくれているみたいだから・・・なんて言葉は、本人に言えない。
「そろそろッ!・・・お昼の時間だね。公園に向かおうか。」
くるんと方向転換をしたジェイド。
「うん、お腹減っちゃった!行こっか。」
置いていかれまい、と思わず腕に抱きついてしまった。しまった!っと思った時にはもう遅い。恐る恐るジェイドを見ると、違う方向を向いて気にしてないようだった。
なんだか寂しいけど、まぁいいか。
嫌がられないことをいいことに、腕を組んだまま歩き出す。
「ねぇ、今日は何を作ってくれたの?」
「・・・内緒。こういうのは、開けてからのお楽しみだよ?」
「うーん、まぁそっか。楽しみだなぁ!」
お弁当を作って出かけるなんて、デートみたいだ。ジェイドはきっと、そんな風に考えてないだろうけど。私もジェイドにお弁当作ってあげたいなぁ。次に村へ行くときとかに作ってもいいかも!
「今向かっている公園は、年中花が咲いているんだ。とても綺麗だそうだよ。」
「へぇ、なんだかデートスポットみたいね。あ、早めに行かないと場所がなくなったりしない?」
そう言って彼の顔を見て、驚いた。顔が真っ赤になっている。
あれ、私変なこと言ったかな?・・・あ!
さっきからデートっぽいとか恋人っぽいとか考えすぎて、口に出しちゃったよ!ジェイドはきっと私が喜ぶと思って連れておってくれるだけで、デートとか考えてなかっただろうに!あぁ、私ってこういうやらかし多くない?
「・・・んん゛ッ。・・・そうだね。確かに言われてみれば、早めに行かないと場所が取れないかもしれない。せっかく行ったのに場所がなかったら悲惨だ。急ごうか。」
なんでもなかった風に返答してくれたけど、耳が赤いまんまですよ?ジェイドさん。
「そ、そうだよね~。うん、急ごっか!」
今、私の顔も赤いんじゃないだろうか。
お昼ご飯は何かな~?なんて考えてた時まで戻りたい・・・・・・。
応援ありがとうございます!
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