【急募】バッドエンド

文字の大きさ
66 / 81

急に一緒に帰らなくなると勘繰っちゃうよね

しおりを挟む
「申し訳ない! せっかく蓮君が恵んでくれた貴重な一粒をッッ」
「大丈夫ですよ。薬ならまだありますし」
「いや、君がくれた一粒はあの一粒だ。僕はそれを無駄にしてしまった……なんたる重罪!」

「いいから飲んでください」
「はい」

 水と薬を無理矢理渡す。円先輩は大人しくなり、すぐに飲んでくれた。まだ痛かったんだろうな。

「ところで、蓮君は食べたのかい?」
「はい。満君も食べてましたよ」
「せっかく、くれたし」
「なんだって!」

 円先輩に両腕を強く掴まれた。いッッッたくないわ。全然痛くなかった。マシュマロかな。握力八って本当だった。

「引っ込み思案で小心者な満が、自らの考えから行動を起こすなんて……! 蓮君と過ごして良い影響が出ているようだ。素晴らしい! ファンタスティック! アメ~~~~~~ジング!」

 う~~~~~るせぇ~~~~~。

 道端家って個性的じゃないと住めない仕様になってんのかな? 道端も個性的と言えば個性的だし。

「俺のおかげじゃないですよ。満君が最初から優しいってだけで」
「しかし、それを表に出すことができたのはヒーローあってのこと!!!」

 道端はこんな声量の人が一緒の家で困ることないのか。横を見たら素直に照れていただけだったので何も言うことはなかった。平和で何より。

 それより、過去に寝込んだ事実があるのに由奈の手作りお菓子ちゃんと食べてあげるの、なんか愛情感じちゃう。もしかして円先輩側もそれなりに好意を持ってたりして。どうかな。先輩に関してはいつもテンションが高くてどこまで本音なんだかよく分からないんだよなぁ。

「とりあえず円先輩も体調戻ったんなら、この話題は終わりってことで」
「うん。また何か作りたいと言っていたから、それまでに胃を強くする方法を考えておこう」
「また……!? はい、そうですね……」
「彼女は努力屋さんだから、きっと料理上手になるさ」

 だといいね。切実に願う。だって今後もあるわけでしょ。誰か倒れる前に、早急に家庭科部で教えるのが超絶上手い先輩か先生爆誕してほしい。相手は壊滅的才能の持ち主だけれども。

「そういえば目安箱に手紙が着ていたぞ!」

 円先輩がテーブルに手紙をバンッと置いた。急だな。腹痛で忘れてたんだな。新しい相談かと思ったら、先日の掃除案件の人からだった。

『対応有難う御座います! ゴミを見かけることがなくなりました。これで安心して登校できます』

「よかったですね」

 ヒーローなんて成り行きでなったし、今だって率先してやるつもりはないけれども、こうして誰かの役に立てているのは思ったよりこそばゆい。危険じゃなければこれからもやっていこうと思えてくる。

 円先輩もめちゃくちゃに笑顔だ。

「ふふふ……これが後に語られるヒーロー伝説の第一歩……この調子で困っている人々を助け、いずれは都市伝説が生まれる程に話題に」

「ならないから!!」

 そんな都市伝説はいらない。有名になりたくない。でも、円先輩はヒーロー部のつもりだから、やりたくないとはとても言えないんだなぁ……。

「そして、今日はこの他に~~~~?」
「また相談事ですか?」
「無い!! 解散だ!!」

 無いんかい。

 当然か。月に二、三件の頻度なんだから。

「じゃあゲームしましょ、ゲーム」
「すまない。僕は所用があって。アデュー」
「あ、はい。あでゅー……」

 颯爽と帰っていった。まだ円先輩の圧が部室に充満している気がする。

「急いでる感じだったね」

 こくり。

 道端も知らないのか。何の用事だろ。デートだったりして。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

学園のアイドルに、俺の部屋のギャル地縛霊がちょっかいを出すから話がややこしくなる。

たかなしポン太
青春
【第1回ノベルピアWEB小説コンテスト中間選考通過作品】 『み、見えるの?』 「見えるかと言われると……ギリ見えない……」 『ふぇっ? ちょっ、ちょっと! どこ見てんのよ!』  ◆◆◆  仏教系学園の高校に通う霊能者、尚也。  劣悪な環境での寮生活を1年間終えたあと、2年生から念願のアパート暮らしを始めることになった。  ところが入居予定のアパートの部屋に行ってみると……そこにはセーラー服を着たギャル地縛霊、りんが住み着いていた。  後悔の念が強すぎて、この世に魂が残ってしまったりん。  尚也はそんなりんを無事に成仏させるため、りんと共同生活をすることを決意する。    また新学期の学校では、尚也は学園のアイドルこと花宮琴葉と同じクラスで席も近くなった。  尚也は1年生の時、たまたま琴葉が困っていた時に助けてあげたことがあるのだが……    霊能者の尚也、ギャル地縛霊のりん、学園のアイドル琴葉。  3人とその仲間たちが繰り広げる、ちょっと不思議な日常。  愉快で甘くて、ちょっと切ない、ライトファンタジーなラブコメディー! ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

幼馴染が家出したので、僕と同居生活することになったのだが。

四乃森ゆいな
青春
とある事情で一人暮らしをしている僕──和泉湊はある日、幼馴染でクラスメイト、更には『女神様』と崇められている美少女、真城美桜を拾うことに……? どうやら何か事情があるらしく、頑なに喋ろうとしない美桜。普段は無愛想で、人との距離感が異常に遠い彼女だが、何故か僕にだけは世話焼きになり……挙句には、 「私と同棲してください!」 「要求が増えてますよ!」 意味のわからない同棲宣言をされてしまう。 とりあえず同居するという形で、居候することになった美桜は、家事から僕の宿題を見たりと、高校生らしい生活をしていくこととなる。 中学生の頃から疎遠気味だったために、空いていた互いの時間が徐々に埋まっていき、お互いに知らない自分を曝け出していく中──女神様は何でもない『日常』を、僕の隣で歩んでいく。 無愛想だけど僕にだけ本性をみせる女神様 × ワケあり陰キャぼっちの幼馴染が送る、半同棲な同居生活ラブコメ。

大好きな幼なじみが超イケメンの彼女になったので諦めたって話

家紋武範
青春
大好きな幼なじみの奈都(なつ)。 高校に入ったら告白してラブラブカップルになる予定だったのに、超イケメンのサッカー部の柊斗(シュート)の彼女になっちまった。 全く勝ち目がないこの恋。 潔く諦めることにした。

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

日本の運命を変えた天才少年-日本が世界一の帝国になる日-

ましゅまろ
歴史・時代
――もしも、日本の運命を変える“少年”が現れたなら。 1941年、戦争の影が世界を覆うなか、日本に突如として現れた一人の少年――蒼月レイ。 わずか13歳の彼は、天才的な頭脳で、戦争そのものを再設計し、歴史を変え、英米独ソをも巻き込みながら、日本を敗戦の未来から救い出す。 だがその歩みは、同時に多くの敵を生み、命を狙われることも――。 これは、一人の少年の手で、世界一の帝国へと昇りつめた日本の物語。 希望と混乱の20世紀を超え、未来に語り継がれる“蒼き伝説”が、いま始まる。 ※アルファポリス限定投稿

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

滝川家の人びと

卯花月影
歴史・時代
勝利のために走るのではない。 生きるために走る者は、 傷を負いながらも、歩みを止めない。 戦国という時代の只中で、 彼らは何を失い、 走り続けたのか。 滝川一益と、その郎党。 これは、勝者の物語ではない。 生き延びた者たちの記録である。

処理中です...