貴族令嬢、転生十秒で家出します。目指せ、おひとり様スローライフ

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第四章

初心にかえって

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「基本書は全部覚えたけど、応用の魔法書は必要じゃないところはさらっとしか読んでなかったから、もう一度ちゃんと読み込もうかな」

 この家に魔法書は数冊しかない。そのどれもがサイからもらったものだ。この程度なら二日もあれば読み込めるだろう。サイの家には、天井まで届く本棚いっぱいに魔法書が置いてあった。

「魔法書も増やそう。知識があるに越したことはないから」

 魔力が底無し、詠唱無しでも魔法を発現できるため、最近勉学が疎かになっていた。せっかくの良い機会なので、基本に立ち返ることにした。いくら力があっても、知識が無ければ間違えることは多々ある。

「今必要じゃないことでも、いつ役に立つか分からないからね」

 前世も今世も読書を趣味とはしていない。しかし、魔法に関することなら興味のある分野だ。リルには珍しく、ベッドと仲良くすることなく魔法書を読み進めた。反対に、普段昼寝を邪魔する方のチョコがいびきをかきはじめた。

「魔法石って爆弾にもできるんだ?」

 二冊を読み終えたところで、魔法石に関することと、植物の加工の仕方について知識が足りないことを理解した。魔法石はほとんど読み飛ばしていたので当然だが、植物については魔法薬を作るにあたって読んでいたので、他の箇所にも書かれていたことに気が付き反省した。

「まあ、植物の方は補填程度だからいいとして、魔法石の方は結構面白そう」

 魔法が使えない人の為の魔法石という印象だったが、使い方によっては武器にもなるらしい。武器は必要無い。ただ、これを何か別のものに使用できるかもしれない。

「爆発するものは作っても保管しないようにしよう。間違って爆発したら大変だから」

 他にも、水魔法を込めて魔法石を投げて破裂させると小さな湖を作ることができる等、魔法石の応用方法が書かれていた。

「水が降らない地域の緊急用に使えそう。魔法石っていろいろなことができて楽しいかも」

 ここにきて新たな魔法の楽しみを発見できた。魔法はまだ未知の領域が多いらしく、まだ魔法士としてベテランではないリルでも創作することが可能だ。

「魔石から解体して今手元にあるのが十個。ということは十回実験ができる」

 あとでギルドに持っていく予定の四個を魔法袋に仕舞い、リルは魔法書を片手に作りたいものリストを作成した。

「爆弾はいいや。水魔法と、熱と……」

 危なくなさそうな魔法石を次々に試していく。あっという間に九個の魔法石が完成した。

「やった。なんか初心者に戻った感覚。でも、これどうしようかな」

 魔法石を持ち上げて観察する。綺麗な薄紫色に自分の姿が映る。

 ピリリリ。

「うわッ」

 急に鳴り出した音に魔法石を落としそうになる。両手で掴み、ほっとしたのもつかの間、音の正体に気付いたリルが冷や汗を垂らす。

「……魔力感知器だ」
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