陰キャ系ぐふふ魔女は欠損奴隷を甘やかしたい

豆丸

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長い夜の後で②

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 娼館で体を繋いだ日から、二人は毎日のように快楽に溺れた。

 行為は夕食後、嬉々としてギイトをお風呂で洗うサクヤから衣服を引き剥がし、裸にすることから始まる。そのままなし崩し的にお風呂で繋がることも、お互いの体を洗いあっい拭きあってから縺れるようにベッドに雪崩れ込むこともあった。


 サクヤはキスが好きなようで、口づけしながら下から強く穿つと法悦の顔で善く鳴き、善く喘いだ。そしてギイトの雄をギチギチに締めて中で感じ果てる。ギイトも堪らず際奥で射精した。 


 「ぐびぃ、いれて下さい」と、口から汁を垂らし懇願するサクヤはギイトの目からは可愛く見えた。あばたもエクボである。彼女にすがり求められると多幸感に胸が締め付けられる。お互いに求め合い、満たされる初めてギイトが感じる幸福だった。

 この幸福な時間を昼間から長くずっと味わいたいとギイトは思っていたが、サクヤは生成義装具の作成、販売の仕事をしていた。とうのギイトもサクヤの販売の手伝いや主だった剣技大会を勝ち進んだため、上位者のみが参加可能な王都での大会に参加する準備を進めていた。それに加え、二人はスティーブが護衛を引き受けたのだ日中から交わる時間などなく多忙を極めた。

 護衛は毎日ではなくスティーブが堅固な軍事施設から離れ参加する式典、集会、地方会議などが主だった。スティーブは声高に広言こそしなかったが、それを見ていた人々は『時渡りの魔女と魔装具の隻眼騎士』は彼の傘下に入ったのだと解釈した。

 二人を面白く思わないダクソンに式典、会議で遭遇すると「醜い魔女に欠損奴隷が。魔装具の力を借りているから強いだけだ。わしの兵士の方が志も肉体も本当は強いのだ。いい気になるなよ!」と、凄まれ絡まれるようになった。

 
 護衛中は何処からともなく現れた魔界喰虫やダクソンからの刺客、スティーブ本人に怨恨を持つ者の襲撃に遭った。ギイトは戦闘用義装具をサクヤは魔導人間と魔法を駆使して、意図も容易くこれらを退けた。

 スティーブの副官マイクは魔界喰虫の紫色に縮こまった死骸をその都度小さな壺に集めていた。珍しいから分けてほしいとサクヤが頼んだがすげなく断られた。スティーブ曰く、研究材料にするそうだ。

 

 護衛は泊まり掛けになることもあり、護衛中はサクヤを抱けないギイトをたいへん苛立たせた。魔導兵器の品評会の護衛では、興奮したサクヤはスティーブと魔導兵器談義に花が咲き、ギイトは茅の外。口説くようにサクヤの肩にスティーブは手を置く。


「触るな」
 ギイトは護衛対象のスティーブの手を払うとギロリと睨む。

 嫉妬し不機嫌になるギイトを横目で見ながらサクヤは臼黒くぐふふと笑った。ギイトに嫉妬されて嬉しいのだ。 


「……これは、これはすみませんでしたね。お二方に付け入る隙はないようですね」 
 スティーブは一瞬だけ驚いた表情をしたが直ぐにきれいな笑顔を見せた。 


「ぐふ、もちろんありませんよ。
 スティーブさんがあたしを口説いて戦闘用生成義装具の設計図を知ったとしても貴方には作れませんよ?時渡りの魔女だから出来る術式ですから」 


「……そう、時渡りの魔女だからですか?わたしでしたらサクヤさんより素晴らしい物が作れるのに、それは本当に残念です」
 スティーブは大袈裟に肩を竦めて見せた。 

「代わりに魔導人形を護衛にお貸ししますよ。あたしとギイトは24時間365日側に居られませんから。魔導人形も素晴らしいです。共に生活を送るうちに自己進化します。それに自律式で自分で物事を考え自分の正義倫理に従って主人を護衛し行動してくれます!」 
 鼻息荒く興奮して語るサクヤをスティーブは目を細め見つめた。 


「……自分の正義倫理……ね。 
 わたしは遠慮しておきます。思考停止した駒の方が使いやすい。それに人形を介してサクヤさんにわたしの日常生活を全て監視されるのはお恥ずかしいです」やんわりと拒否された。 

 サクヤは低賃金で魔導人形を貸し出していた。人形の視覚聴覚から対象者を監視し対人関係などの情報収集の役割も兼ねていた。聡いスティーブには全てお見通しだったようだが。 

「ぐひぃ、それは残念無念です。
 スティーブさんが駄目ならダクソンさんに押し売りしてきますねー」 

 サクヤは驚くスティーブの護衛をギイトに任すと会場の上段に陣取ったダクソンの元に急いだ。 



「フンッ、スティーブの犬が何しに来たんだ?とうとうわしの傘下に入りに来たのか?」 

 鼻を鳴らすダクソンは数人の屈強な部下に囲まれていた。軍人たちはサクヤが近づくとダクソンを護り警戒を強めた。敵対する勢力だと思われているのだ仕方がない。 


「スティーブさんの犬?ぐひひ、違いますよ。あたしの主人はあたしです。
 今日はダクソンさんに押し売りしに来ました。美人で魅惑的な体の強くて従順な魔導人形はいかがですか?」  


「馬鹿にするな!わしには信頼する部下が大勢おる!」
 唾を飛ばし激昂するダクソンにサクヤは後ろに従えた魔導人形を紹介した。

 それは……念入りに調べあげたダクソンの好みドンピシャに作成した金髪碧眼の美しい魔導人形だった。

 
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