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白蛇です
しおりを挟む――青天の霹靂とはこの事を言うのだと思う。
しがない貧乏貴族の私こと、リュネ・ゴードン、16歳、魔法学園二回生。えーと、只今を持ってリュネ・アルフォンドに姓が変更になった。
そう、結婚よ!結婚っ!!
「病めるときも健やかなる時も如何なるときも、神の与えたもうた困難を夫婦二人力をあわせで乗り越えて頂きたい」と、偉い神父様が祝福の言葉を私たちに捧げる。
ああ、神父様……病めるときって、新婦が既に病んでるときはどうすれば良いのですが??
ため息を吐く代わりにチロリと先の割れた細長い舌を揺らし、白い鱗をくねらせる。小さな眼は血のような赤。
新郎の目線の高さに合わせ作られた椅子。その座面の上、繊細なレースと宝石をあしらわれた白いクッションに置物のように置かれた白蛇……今の私。
頭には人形遊びのような小さな純白のヴェールを乗せられてる。まるで新婦みたいに……みたいじゃなくて新婦なのよ!
ことの始まりはファーリ学園の実習、変身魔法の失敗。簡単な変身魔法なはずだった。みんなは犬とか猫とか可愛らしい動物に変身していたのに、不思議なことに私は蛇だったの。それも雪のように真っ白な蛇!
先生や友達の驚く声が聞こえて、戻ろうと解除の呪文を唱えたのに戻らない!
魔法の先生や高名な王宮魔道師が呪解しようとしたけど出来なかった。
枯れ枝の大賢者様にも見てもらったの。大賢者様が言うには人を模していただけで、白蛇の姿が本来の私の姿なんだそうよ。
私、泣いたわ。絶望したわ。
16年間人として生きてきたのに全否定されたみたいで。だって蛇よ。可愛い洋服も着られないし、恋だってしたかったのにーー。
泣きじゃくる私にお手紙が届いた。
白蛇の私をお嫁にもらいたいってーー。
そんな馬鹿なって思ったわ。
多額の支度金に貧乏領地を建て直せると両親は諸手を挙げて泣いて喜んだ。蛇な娘で良ければどうぞどうぞと私を差し出したーーそれが1ヶ月前のお話。
白蛇は、世界を創造した神に仕える聖獣。悪しき魔王を倒すため聖女を守護する聖なる騎士にその身を犠牲にし刀身に変え力を与えた。魔王を倒した後に騎士は恩に報いため白蛇騎士団を設立した。今でも聖女を擁立するクリステル国は白蛇騎士団に守護されている。だから、白蛇はクリステル国で聖女に次いで神聖で尊いとされている。くねくねでウニウニの爬虫類なのに。いまだに鏡の自分の姿に悲鳴をあげちゃうのに。
(ーー蛇と結婚なんて罰ゲームみたい)
私は斜め隣の新郎の様子を伺う。私に手紙をくれた彼を。
異例の早さの結婚式でも表情筋をピクリとも動かさない。感情が全く読めない端正な横顔。黄金色のさらりした髪に長い睫毛に縁取られた、空色の瞳。形の良い鼻にきつく結はたれた意志の固さそのもののような唇。綺麗な男の人。思わず見惚れてしまう。そして思う、こんな蛇な新婦でごめんなさいと謝罪したい。
見目麗しい彼は白蛇騎士団隊長スタン・アルフォンド、確か年は26歳。聖女を守護した騎士の末裔でアルフォンド家の次期当主。独身。顔良し家柄良しのこんな優良物件がこの歳まで独身だったかのいうとちゃんと理由がある。
守護騎士に力を与えた白蛇は雌だった。騎士に一目惚れした白蛇は力の対価に守護騎士との婚姻を望んだ。
騎士は聖女を深く愛していたけど、聖女は勇者と相思相愛だったの。彼は愛する聖女の幸せを願い世界を守るため白蛇と契約をかわした。
白蛇以外と婚姻しないならば未来永劫アルフォンド家を守り、クリステル国を繁栄に導くとーー。
だから代々、騎士の末裔のアルフォンド当主は白蛇以外との婚姻を許されておらず、子を残せるのは第二子以降で、その子供たちの中から次の当主が選ばれてきた。
当主は結婚は許さなかったけど、愛人や側室を持つことは許されていた。
だけど、愛人、側室に不慮の事故や不審死が相次いで、白蛇様が嫉妬しているからと噂されて、誰も成りたがらなくなったのよ。
もちろん、スタン様も健全な男性だから一夜を望む数多の女性と遊んでいると思うわ。
素敵な男性なのに、優良物件なのに好きな人と結婚出来ない。絵に書いた餅みたいに美味しそうなのに食べられないなんて。挙げ句の果てに、白蛇の私と結婚なんて不幸以外ないじゃない!王命だからといって酷い話だと思う。
来賓の上座に満足そうに鎮座するのは国王陛下。ご自慢の髭を撫でつつ私たちの結婚式を眺めているわ。国を挙げて大々的な聖獣と守護騎士の婚姻、国には絶対に必要なことなんだろうけど、スタン様を生け贄として献上している事実は忘れないでほしい。
(私が白蛇なばかりに……無理やり結婚させられておかわいそうに)
私の葛藤を置き去りに式は滞りなく進んでいく。粛々と神父様が誓いの口づけを促す。えっ?冗談ですよね?蛇と口づけなんて私だってしたくないもの。
「っ、神父様ーー誓いの口づけは!そう……割愛で……蛇で、気持ち悪いと…思うので」
驚いて上げた声はことのほか大きくて、王様をはじめ結婚式の参加者の視線が私に集まる。形容しがたい緊張感に後半の言葉は尻窄みになってしまう。
シンと静まり返る式場、気まずさに白い鱗をカタカタさせていると、影が差しさっと小さなヴェールが取り除かれた。目の前には無表情の新郎が立っていた。
な、何かしら?
「………ええ??」
驚き固まる私の冷たいおでこにプニょんと柔らかい感触が落ち、直ぐに離れた。
ふわっ!おでこにキスされた。
異性にキスされたの始めてだわ。
蛇だけど、鱗の色は変わらないけど、羞恥に心の中で悶絶した。イケメンとキスしちゃた。
「白蛇様は唇は恥ずかしいそうです。額でご容赦して下さい」
眉をピクリとも動かさない鉄面皮新郎さまは事も無げにそう言った。
……手慣れているのかしら?
そうよ。この顔面偏差値だものキスの一つや二つ大丈夫なんだわ。それに蛇とキスするなら唇よりおでこの方がまだマシだもの。私なら、蛇とキスなんておでこでも泣いちゃうわ。さすが白蛇を守護に持つ騎士団隊長様だと言うことね。
「なんと罰当たりな……古を準え厳格な式を踏まえて頂きたい」
不満そうな神父様を勇めたのは国王陛下だったわ。
「続きは初夜に致したいのだろう?良い、わしが許す」
何処までも御機嫌な王様は、がははと笑い信じられない事を言ったの。
初夜??
蛇と初夜なんて有り得ないわ!正気を疑うもの。この結婚は白い結婚一択なのに。
結婚式後、緊張した面持ちの侍女にお風呂に入れられ、薔薇の香りの精油を塗られた。ナイトドレスを模したらしいケープをくくりつけら夫婦の寝室押し込まれた。広いベットには先に湯浴み後のただならない色気駄々漏れのスタン様が座っていらした。
白いガウンから僅かに覗く胸筋に、その逞しさに思わず生唾を飲む。
私が蛇じゃなくて普通の女の子だったら、土下座してでも一夜を頼みたいぐらいだわ。スタン様は相変わらずの無表情、冷ややかさすらある。蛇と初夜だものそうなるよね。
「……白蛇様に嫁いで来て頂き大変うれしく思います。時に白蛇様は男性との行為は初めてですか?」
「…はい、初めてです。スタン様」
スタン様と面と向かってしっかりお話するのも初めて。声すら凛と澄んでいる。
良い声に感嘆しつつ内容が内容なだけに畏まり、ベットの端っこにちょこんとトグロを巻いた。
「私のことはスタンとお呼び下さい」
「それでしたら私のこともリュネと呼んで下さい」
「しかし、聖獣である貴女を呼び捨てなど畏れ多い」
暫しの押し問答の末、お互いを呼び捨てにすることでなんとか落ち着いたわ。
再び、お互い緊張した面持ちで向き合う。そう初夜らしいから。
スタンは何か言いたそうに口を開きかけ押し黙るを繰り返してる。
その様子に耐えきれずに、私から早口で捲し立てた。
「言いたいことは分かってます。この結婚は白い結婚だって!私だって蛇と初夜なんて無理ですから。お情け下さいとか言いません。だから……安心して下さいね」
「……リュネ」
「スタンは蛇な私に構わず、愛人、恋人をお持ちになってくださいね。私は嫉妬しませんから勿論娼館通いもして頂いて結構です」
「………。
そうですか……分かりました。私には抱かれたくないと言うことですね」
美しい鉄面皮が僅かに顔を諫める。
あれ?……手放しで喜ぶと思ったのに。もしかして不満なのかしら?
手慣れてるスタンは蛇の抱きかたおも知っているということ?
私の小さい蛇の体に抜き差し出来る箇所はあるのかしら?
ひっ!まさかお尻の!
しっぽの付け根の総排泄腔をちらりと覗く。小さいわ小さ過ぎるわ。無理よ。
貴族娘として閨の教育を受けたけど、蛇としての致し方は学んでいないもの。
流石、白蛇を守護獣とするアルフォンド家だわ……深いのね。
妙なところで感心しているとスタンは大きくため息を一つ吐くと、私に言ったわ。
「今日はお疲れでしょう。夜も遅いので休みましょう。私の隣に来て下さい」
そう言うと広いベットに横になり、左脇下のベットをトントンと叩いた。
添い寝!
蛇と添い寝ですか?流石アルフォンド家の……以下略。
驚きつつ、疲れていた私は観念してスタンの隣にシュルシュル移動するとぐるりとトグロを巻き、そっと目を閉じた。
脇の下は狭くて、暗くて温かい。
適当な湿気が蛇な私に居心地が良い。ふわりとスタンの雄の臭いに鱗がぞわわとする。
……鉄面皮で何を考えてるか分からないけど、蛇を受け入れられる寛容で美しい人。
折角嫁いだのだから、この人の役にたちたい。固く誓った夜になった。
◇
アルフォンド家に嫁いで早3ヶ月、白蛇の私の世話をするのは主にスタンの役目だそうで。まず朝起きると鱗が痛まないように蛇用の精油を塗られ、朝食を給餌される。鶏の卵を丸飲みする私を表情を変えず見守る。侍女が顔をひきつらせてるのにも関わらずである。
朝食後は、スタンの腕に巻きつき、一緒に白蛇騎士団に向かう。
騎士団員の鍛練を見学し、その昔白蛇が守護騎士に与えたという伝説の白蛇剣の柄に巻き付く。そうすると石化した剣の刀身が蘇りスタンが使用可能となる。
白蛇剣と化した私と魔物討伐に行き、日が沈む前に帰宅し白蛇に戻った私と一緒に湯浴みをする。未だに美しい裸体に赤面しつつこっそり堪能もしている。目の保養だわ。
夕飯を食べその後スタンは書類仕事をする。私はお膝の上で本を読んだり、お話(私が好きなことをだらだらと話し、スタンはただ頷く事が大半だけど)をして就寝する。私に遠慮しているのか愛人の影どころか娼館に行こうともしていないみたい。優しい人だわ。でも男の人的に大丈夫なのかしら?
我慢しなくて良いと言っているのに、無理したくともキチンと役割は果たすもの。白蛇剣なりますから。
スタンが白蛇の私と結婚した理由は白蛇剣を使うため。魔界の森に近く魔物の多いクリステル国において魔物の襲撃は日常茶飯事。
毎日の魔物討伐は欠かせない。この3ヶ月は白蛇剣の力で一掃してるので魔物による被害は激減している。国王も国民も万々歳である。
そうーー1人を覗いては。
「……くっ、や、やめろ!止めてくれっ!」
夜、毎日のようにスタンはうなされているの。美しい鉄面皮が苦悶に歪み。毛穴からぶわわと汗を掻いて喉をかきむしる。
「スタン!大丈夫ですか!落ち着いて下さい」
悪夢から呼び覚まそうと、定位置の脇の下からにゅるりと這い出るとその苦痛に歪む顔をペロペロ舐める。
悲しいかな蛇な私は優しく抱きしめることが出来ないから。
「……ぐっ!はっ!…はあっはぁ……リュネですか? くっ……ここは?また……夢。
……起こしてくれたのですね?感謝します」スタンは苦しそうな息のまま、前髪をくしゃりと握る。私は器用に水差しに絡み付くと、斜めに傾けコップに水を注ぎ、取手にしっぽを絡めスタンに差し出した。
受け取ったスタンは一気に水を煽り息を整える。
「また……いつもの夢ですか?」
「そうです。
魔物に食い殺される夢です」
この2ヶ月スタンは夢のなかで討伐した魔物に食い殺されているという。鮮やかで鮮明な生々しい夢。まるで実際に手足を食いちぎられて臓物を啜られるような音に痛みの感覚、恐怖が日ごとにスタンの精神を蝕んでいってる。その美しい鉄面皮には疲労の色が濃く見えた。痩けた頬に、虚ろな瞳。目の下の深いくま。
「……枯れ枝の賢者様はなんと言われているのですか?診て頂いたのでしょう?」
「……それは……。
……呪い…だと」
苦渋を滲ませスタンは呟いた。
「呪い?まさか魔物……ですか?」
「ああ、白蛇剣で屠った魔物が成仏出来ず私を怨み、夜毎精神を食っているそうです」
「そんな……スタンまで死んでしまいます!
どうしたら?
そうだわ……賢者様なら呪いに対処する方法を御存じなのでは?スタンお聞きになりましたか?」
「………教えて頂きましたが……方法が」
スタンは言いにくそうに押し黙り。下を向き、両手でズボンを掴んだ。
鉄面皮の眉間に皺が深く刻まれる。それ様子から彼が物凄く葛藤しているのが分かる。生死が掛かっているのに何を迷う事があるのかしら?
「方法があるなら教えてください!私に出来ることなら何でもしますので」
私は蛇なりに白い胸を張った。そのあと直ぐに後悔すると知らずに……。
◇
私は鍛え上げられた裸のスタンのお腹の上いた。意を決して白い細身をくねらせスタンの大事な部分に巻き付いた。
柔らかく横たわる陰茎を冷たい鱗でゆっくりしごいていく。緊張のためか恐怖のためかぶるりと震える筋肉質な太もも。
滑りが足りなくて、上手に擦れない。蛇用の精油をしっぽを使い器用にスタンの陰茎に垂らすとスタンの逞しい腰がビクッと動いた。
美術品のような男性の上に蛇。倒錯的な光景。 い、いたたまれない。
呪いを解くためなんだから、お互い我慢だわ。私はなるべくスタンの体を見ないように擦ることに集中した。
賢者様に教えて頂いた方法ーー。
呪いを解くためスタンは完璧な白蛇の加護を賜らないといけない。それには私たちが心身ともに本当の夫婦になることなんだそうで。
……本気ですか?
誰か嘘だと言って下さい!白蛇なのに、いや白蛇だから加護を受けるんだろうけどもさっ!
轟々と吹き荒れる葛藤。
何でもするって言いましたし、スタンに死んでほしくない。試してみて駄目ならまた考えてみましょう。逃げ道を自らに作りスタンの陰茎に向き合う。
「……ス、スタン、い、痛くないですか?」
初めて過ぎて力加減が分からない。
それでも精油の力を借りて、蛇の長い全身を使いスタンの陰茎に巻き付き、にゅるりにゅるりとすべすべした鱗で擦り続けると少しづつ芯を持ち硬くなる。
どくりと脈打ちながらゆっくり大きく膨らんでいく。
「ふっ、冷たい、う……ふっ!だっ、大丈夫です…っ、はぁ、これは、続けてください」
……ずちゅ、ずちゅ、ぬる、ぬる、にゅちゃ……と、薄暗い寝室に衣擦れの音と聞きなれない水音が響く。
蛇が捕らえた獲物を締めるがごとく、ゆるゆると陰茎を擦る。
水音とスタンのくぐもった声が徐々に大きく艶やかになる。硬く太くはち切れそう。巻き付いた白い鱗から僅かに覗く赤くそそりたつ陰茎がいやらしい見える。
「痛くないですか?」
「……くっ、…ふっ!ん、んっ!」
スタンの鉄面皮の目尻が赤く染まり、快楽に耐える苦悶の表情に、吐く吐息が妙に熱くて。その変化を与えているのが私だと思うと嬉しくて。もっとその表情を見たくてきつく陰茎を締めてあげてしまう。はあっとスタンが艶を大きく吐いた。
獲物を捕獲した蛇の本能か、締めた鱗越しにびくりびくりと陰茎が震える感覚に血液が逆流する。この獲物を喰らいたいと強く思う。
ふと見ればつるりとした陰茎の先端からいやらしく雫が零れた。ハクハクと開いてしまった小さな穴から次々と溢れてくる。
濃い雄の匂い不思議だけど美味しいに見える。
「……失礼します」
目を細め狙いを定めてると蛇首をもたげた。くぱっと裂けるほど大きな口を開けて、滴る先端に食らいついた。
「はぁ、リュネっ!!っ!あ、ああっ!!」
川面から魚が跳ねるようにスタンがベッドの上で大きく跳ねた。
長くて太い陰茎を全部飲む込むために、スルリと締め付けを解きながら、牙が当たらないように注意しつつ、卵を飲み込む要領でスタンの雄々しい陰茎をずるりと根元まで飲み込んでいく。
やっぱり、大きい。顎なくて良かったわ。外れる心配がないもの。
やがて目の前にスタンの髪の色と同じ下栄えと硬い感触。全部飲み込めたみたい。
硬くて熱く拍動して、先走りがなんだか甘い。口のなか、いや体の中いっぱい占拠されてしまった。蛇だからか苦しくない、。寧ろ嬉しい。獲物を補食出来た歓喜にぶるりと鱗を喉元震わせる。
「は、あ、あーっ、凄いっ。ぬるぬるで、柔らかい。こ、こんなのは、あっ、くっ、」
びくりびくりと震えるスタンはベッドのシーツを掴むと身悶えた。鉄面皮を脱ぎ捨てて快楽に喘いでいる。
可愛い……私の獲物さん。
咥えたまま口腔内を蠕動させる。ぬるぬるの粘膜でカチカチに勃起した陰茎を長い全身を生かし奥に飲み込んでは口元まで吐き出しを繰り返し上下に擦る。
ぬぽぬぽーーしゅるん。
端から見たら白蛇が陰茎に食らいつき、食べている恐ろしい構図。
「はっ、す、ごく。気持ちいいっ。食べられてしまうっ」
それでも愉悦に押し流されたスタンは腰を振るように動き、断末魔のように喘ぐ。ついに、ぐわしと私の体を掴むと夜のお供のように使い始めた。じゅぼじゅぽと私を使って擦ってる。
(苦しいわーーでも……スタン、堪っていらしたのね。蛇と結婚したばかりに、おかわいそうに)
「ぁ゛あ゛」
普段の鉄面皮からは信じられない激情をぶつけられる。私の口の中硬い陰茎はびゅるりと甘く熱く弾けた。ただ、口腔壁に叩きつけられた大量の子種を受け入れることしか出来ない。
ーーー。
「リュネ……大丈夫ですか?これに吐き出して下さい」
スタンは私を心配してタオルをそっと差し出してくれた。気だるそうで目尻が赤く呼吸も荒い、まだ艶が存分に残っています。
飲みたい…。
「…んっ……不思議、美味しいです」
以外なほど甘くてトロトロで濃厚な子種。吐き気なんてしなくて全部飲んでしまった。もっと欲しくてベロりと先の割れた舌で口の周り舐めた。
あれ?嚥下した体が熱くて苦しい。痒いような全身がむずむずしてきた。鱗を震わせるとずるりと表皮が剥がる。ふるふる震わせ続けるとしっぽのさきからずるりと一枚脱げていく。衣を脱ぐように干からびた蛇の殻を脱ぎ捨てた。どうやら脱皮したみたい。
そうして私は、座布団に乗るサイズから大型犬の大きさに成長していた。
「……白蛇って子種を飲むと大きくなるんでしょうか?」
頭やしっぽをふりふり、赤い舌を出して自分を観察していると、なにやらスタンがぶつぶつ囁いていた。
「……この、大きさなら……可能でしょうか?」
「可能?何がですか?」
答えるより早くスタンは成長した私の体を掴むをくるりとひっくり返した。白いお腹が天を向く。
「きゃっ、スタン!」
驚き体をくねらせる私のしっぽの付け根を押さえつけた。両手で何かを探すように鱗をまさぐる。
ま、まさかっ!嫌な予感しかしない。
「………ここですか?」
スタンは鱗に隠れていた総排泄腔を見つけ、指先でつついた。
恥ずかしい穴を暴かれ、指で触られてる。ぷにぷにと穴を押す男の人の指の感触、柔らかい入り口を確認するとつぷりと指先が入り込んできた。
「うひゃあ!」
あり得ないお尻の穴でもあるのに、羞恥に身悶え舌ををしゅるしゅる鳴らす。
スタンは真剣な表情で私の総排泄腔を広げにかかる。頑なな入り口を解すようにくるりと中で指先を回転させ、ゆっくりと出し入れさせる。 スタンの指はいくら大きくなったからと言っても私の穴には大きく太かった。擦られる度にぴりりと中がひきつる。裂かれてしまう。痛みに悲鳴をあげる。
「ひっ、痛いし、濡れてませんし、無理無理無理ですよーっ!」
「大丈夫です。痛みの無いようにしっかりとほぐします」
スタンはいつの間にか手に持っていた小瓶からピンク色の液体を私の総排泄腔にたっぷりと垂らした。甘美な花の匂いのする液体だった。それを馴染むように何度も何度も擦り続ける。
塗りつけられる度に甘く体が痺れてくる。体が熱くてふわふわする。穴が緩みスタンに指を入れられても痛くない。寧ろ、心地よいと沢って欲しいと思い始めてしまう。息が上がり体の奥が蠕動する。
私……気持ちよくなってるのかしら?
「そ、それわぁ?」
出た声は驚くほど舌足らずで甘い。
「我が家に代々伝わる白蛇用の媚薬入りの精油です。痛みを和らげる作用もあります」
「そんな、あっ、ものまでぇ、あるの?いつの間に準備したんですか?あんんっ!!」
熱くてびくりびくりと震える体。
「結婚初日には準備していました。やっと使うことが出来ます」
まさか……スタンは初日には致すつもりだったのかしら?蛇と?
そっとスタンの下半身に視線を送った。ああ、見なければよかったわ。一度吐精した筈なのに、臍を突いてそそりたつ陰茎。その大きさ禍々しさに怯む。
「やっぱり無理無理無理無理ーっ!」
裂ける未来しか見えない。
「大丈夫です。先っぽしか入れません」
「ヤりたいだけの男の常套句じゃないですか?」
「ヤりたいですし、呪いで死にたくもありません」
スタンの指がたっぷりの精油で緩んだ穴に深く指を差し入れた。精油の効果で根本まで入れられても痛くない。狭い腔内で粘膜がさざ波を打つとスタンの指をくううと締める。
「あんっ!あ、ああっ!ひっ!」
更に一本指を増やし粘膜を押し広げて抜き差しされる。媚薬のせいで掘られることが気持ちいい。白く甘い痺れが毒のように全身に回り何も考えられない。ゆっくり時間をかけて小さな穴が緩んで拡張されていく、スタンの形に合うように。
やがて……スタンの指を四本受け入れた私は快楽の波に飲まれた。
「あ、あぁ゛ん」
尿だか愛液だかわからない分泌物を総排泄腔から巻き散らかしてびくんびくんと私は果てた。
私の分泌物を浴びて汚れたスタンはそれでもうっそうと微笑んだ。
「ーーっ、やっとひとつになれます」
緩んだ広がった汚れた穴にぐりりと陰茎の先を押し付けた。硬くて熱くて拍動している。
逃げようと蛇首を振るけど、両手でがっちりと体を鷲掴まれていた。
握りこぶしのような大きさの先が私を割り開いて侵入してくる。指なんかと比べものにならない質量で。
「はっ、狭い」
「ひぎ、お゛、ん゛あぁ゛あ゛」
断末魔のような悲鳴。
確かにみしりと私の軋む音が確かに聞こえた。下を見れば入り口が極限まで広がりちぎれそう。あ、今少し裂けたわ。
媚薬により痛みはない。ただ全て内臓を押しやられて潰されるようで重く苦しい。
この圧倒的な存在に下腹部を食い破られそうだわ。グリグリと硬い陰茎が内腔を押し広げてる。挿ったのはこん棒のような陰茎の僅か数センチだけなのに、もうお腹いっぱいいっぱい。こんなの無理だわ。
苦しくて呼吸すら忘れてびくりびくりと震えることしか出来ない。
ーー蛇なのに虫の息なんて。
「ああ、リュネ。先だけですが、温かく気持ちいいです」
陰茎を挿入したスタンはうっとりと呟く。
「私を受け入れてくれてありがとう」
恍惚の顔で言われても。受け入れてって無理やり挿れましたよね?
私のおでこにキスを一つ落とすと鷲掴んだままゆるゆると抽送を開始した。
杭のような陰茎を小さな穴で咥えさせられて身動き出来ない。ガンガンと中に深く入ろうと突き上げてくる。割けちゃうから止めて。
スタンは先っぽの抽送だけでもどかしいのか、私をベッドに押し倒すと陰茎を両手で上下して扱き始めた。先っぽはぐりりと私の中に嵌め込んだままで。
「無りぃー、あぁ゛あ゛」
体重をかけられて、また入った。
苦しい、媚薬の効いている体はそれでも粘膜を蠕動させる。体が熱く押し上げられるたびに苦しさと甘いうずきの両方が生まれて、頭の中で弾けて混ざる。総排泄腔が甘くわななく、咥えた獲物をもっと奧にと離したくないと言うように。
「はぁはぁ、名残惜しいですがそろそろもう、奧に出します」
射精に向け忙しなくなった手と腰の動き。
ああ、やっと終わるの?
ラストスパートを激しく揺すられお腹に苦しいほどの子種を受けた。
こうしてーー。
私と心身共に本当の夫婦になりスタンの呪いは解かれた。
私も五体満足で生きて帰れたことに涙したて、遅れてきた私のとんでも初夜は終わったのだ。
このときの私はまだ知らないーー。
スタンが私の体を大きくしようと毎日子種を飲ませようと画策することを。
人間の大きさに成長した私が毎夜スタンの陰茎を根本まで咥えさせられるちゃうことに。
そして、卵を産んで子沢山になることを。
終わり
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気を付けていますが、誤字脱字などがある為、あとからこっそり修正することがあります。
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MayonakaTsuki
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