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招いていないお客様①
しおりを挟むううっ、顎が舌が痛い。
口を閉じるのも開くのも違和感がある。はうー、顔の筋肉痛ってあるんですね。
……手コキの方がまだ楽だったよ。おフェラを舐めていましたすいませんっ!
存分しないはずのフェラチオの神に懺悔したい気分。友人が「フェラ、マジっでしんどい!」と、愚痴っていた気持ちがわかったよ。彼氏自慢のマウンテンじゃなかったんだね~。
旦那さまの媚薬が抜けるまで、フェラし続けた私の夜服は私の涎やら旦那さまの出したモノで当然どろどろで。旦那さまはぐったり疲れきって、口が開きっぱなしの私を簡単に清めるとお風呂場に運んでくれた。もちろんお姫様抱っこっ。半分寝ていたのでうろ覚えなのが、悔しいところです!
待機していた侍女頭リンスさんが痛ましそうに私を見つめた。リンスさんは旦那さまに何か言いたそうな視線を向けてから、お風呂で私を丁寧な手つきで綺麗に洗ってくれた。
ちなみにリンスさんは兎獣人ミミさんの長女。ミミさんをそのまま若く細くしたようで可愛いい。とても良く似ている親子。
人に洗われるのに慣れていなくて恥ずかしいけど、今回ばかりは甘えた。
リンスさんに夜遅くにありがとうとお礼を言ったら、「もう、明け方です。奥様……頑張りましたね」と、褒められた。
「えへへ……旦那さまを助けるのは当然ですよ」
にっこり笑って答えるが、目は半分も開いていない。
「……奥様は本当にお変わりなられたのですね。……私どもに触られても、話掛けられてお怒りになりません。シリウス様にも穏やかに接し、優しくお世話されています。
奥様が誠心誠意、シオン様に尽くされるなら私たち侍女一同も奥様を守り立てていきたいと思います」リンスさんはしなやかに微笑んだ。
あとはほとんど覚えていない。
いつの間にか服を着せられ髪を乾かされ、自室に運ばれ泥のように眠っていたので。
◇◇◇
次に目を覚ました時には、お日様は既に高くお昼を過ぎていた。
午前中の予定は全て中止にして、休ませてくれたみたい。
アゴの痛みは少しは楽になったけど。……扱いていた手も筋肉痛になってしまった。
痛い手を擦っているとノックもしないでスージーさんがどかっと部屋に入ってきた。
「奥様!やっとお目覚めかい。昨夜はシオン様から媚薬を抜く手伝いして活躍したって聞いたぜ」
「スージーさんおはよう……活躍って、そんなに大したことはしてませんよ~」
「あん?口淫したって聞いたぜ」
「し、しましたが……」
「たいしたもんだぜ!
ちんこってクセェからさ、獣人は鼻が効くから口淫しない雌が大半なんだ。よっっぽどその相手にベタ惚れか、服従してるかだな。
アタシ……奥様のこと少し見直したぜ」
スージーさんは照れ臭そうに鼻を掻く。
それって……私が旦那さまにベタ惚れしてます!フェラまでして完全服従しちゃったよ!と、屋敷の人たち全員が知ったと言うことですか、そうですか……。
だから、リンスさんは急に私をもり立てるなんて言い出したんだ。彼女の発言の真意を理解したよ。
スージーさんが遅い朝食を部屋に運んでくれた。 食事を噛むと、顎が痛い。いつもより柔らかい食べ物が多いのは配慮してくれたんですねっ。ああ、ありがたい~。
やっぱり今日1日、私はお休みでした。やった!お勉強しなくてのんびり出来るぞ。
旦那さまも騎士団はお休みで、既に昼前に起き自室に籠り書類整理をしているそうです。
さすが仕事熱心な旦那さま。こっそり眼鏡姿拝みに行こうかなぁ。
「シリウス様っ!奥様はお疲れですから、いけませんよ!」ミミさんの静止の声と共に、シリウスくんが部屋に飛び込んできた。その後に続くミミさん……誰も部屋のドアをノックしない。
「ミャウ」
シリウスくんは、私の顔を見て嬉しそうに一鳴きすると定位置の膝の上でくるりと丸くなる。
おろおろするミミさんを大丈夫と笑顔で制し、ゴロゴロ喉を鳴らすシリウスくんを撫でた。
はう、癒される~。
お行儀悪いですが、食べつつシリウスくんのもふもふ毛皮を堪能します。
「シリウスくん!ママは今日お休みなので一緒に遊べますよ~。何かしたいことありますか?お散歩にしますか?」
「ミャウミャウ~っ!!」
気の早いシリウスくんは私の膝から飛び降りるとスカートの端を噛んで引っ張った。
シリウスくんを抱き上げるとお気に入りの庭園に向かう。
途中、玄関から旦那さまの声が聞こえるので一目顔を見ようといそいそと通ると……あれ?あの黄色のとんがり耳、大きなしっぽは……見知ったもふもふを見かけて。
玄関ホールで顰めっ面の旦那さまとお話しているのは、タスクさんだった。
「タスクさんこんにちは~」
「シリウス坊とヴィヴィアンさん。お邪魔していますよ。シオン隊長しつこいから昨夜はたいへんだったでしょう?」
ニヤニヤ笑顔で私に挨拶をする。ええ?この人も知っていると……。プライベートは何処ですか~?
「タスク……下世話な話は子供の前で止めて下さい」
冷たく睨む旦那さまと不思議そうに小首を傾げるシリウスくん。
「そうですよ止めて下さい!」
護るようにシリウスくんをぎゅうと抱き締めると、タスクさんは目を細めた。
「ふーん……シリウス坊を大切にし出したって話、眉唾かと思ってたけど、本当なんだね?
……良かったな坊、来週の2歳の誕生日はママからお祝いしてもらえるな」
「え??来週お誕生日なんですか?」
「そうです。貴女は息子の誕生日すら忘れたのですか?」
忘れたと言うかそもそも誕生日知らないですから……さすがにシリウスくんの前で言えるわけもなく。
「……ミャー」
「ごめんなさいシリウスくんっ!!」
寂しそうに鳴いて耳を下げるシリウスくんに謝るしかない。うう、不甲斐ない母でごめんよ。
「忘れたお詫びに、私が誕生日ケーキを作りますよっ!フルーツの飾り付けは一緒にしましょうね?」
弟たちにせがまれ誕生日に関係なく一緒にお菓子を作りをした。少し前の話なのに懐かしく感じるなんて。
「ミャウミャウミャウ~っ!!」
シリウスくんは興奮したのか、背伸びして私の頬をペロペロ舐め回す。
うふふかわいい~。
「ーーくっ、シリウス嬉しいのはわかりますが頬を舐めすぎです」
「へぇ、ヴィヴィアンさんケーキも作れるんだ。凄いね、俺の誕生日にも作ってよ」
「作らせません………タスク、戯れ言は終わりにして下さい。それより早く王城に行きましょう。馬鹿どもが好き勝手、王に進言する前に」
「まあ、王様小賢しいから大丈夫だと思いますよ。
隊長の指示通り、昨夜のうちに日付けと時間入りの抗議文を王宛に届けさせたので、朝イチには目を通している筈です」
「楽しみですね………聖女が王にどんな言い訳をしているのか拝見しにいきましょうか?」
旦那さまは底冷えするような黒い笑みを浮かべています。
え?今からお出かけですか?
シリウスくんとお見送りしようと旦那さまの後ろを付いて玄関前に出ると。そこには既に馬車が待機していました。
「旦那さま!いってらっしゃいお気を付けて」
どんなに離れて寂しくとも、にっこりと笑顔で見送りますよ。
旦那さまが馬車に乗り込もうと、入り口に足を掛けた。何故かその足がピタッと止まり、旦那さまはくるりと私の方に向き直った。
「ヴィヴィアン嬢……昨夜は、こほんっ。助かりましたご協力ありがとうございます。これから後始末に王城に行きますので、妻の貴女に留守をお願いします」
な、なんとっ!塩しかくれなかった旦那さまが私にお礼を言って、頭を下げて。お願いしますと言いましたよーーっ!!
そして、いきなりの妻発言きましたよー!
と、糖分ーーっ。(微糖)
微糖でも嬉しいっ!!
嬉し過ぎて軽く倒れそう。
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