悪役令嬢の面の皮~目が覚めたらケモ耳旦那さまに股がっていた件

豆丸

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ただ、貴方だけ③

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「はわわ~。癒されます」  
 甘く怠い体に、たゆたうお湯が心地よい。
  
 いろいろあって体液まみれぐちょんぐちょんに汚れた私と旦那さまは、只今大浴場を満喫中です!
 明け方近くにお風呂の準備してくれたシャーリングさんたちに感謝です。 
  
 ミミさんとリンクさんに回数制限をいいわたされた旦那さま。私の中に出すのは制限の3回を厳守したんだけど。でも、それで4日ぶりで溜まっていた旦那さまが満足するはずもなく………おっぱいやお尻や手口、はては髪の毛。いろんな場所におちんぽを擦り付けられ、出されましたとさ。

 ううっ、髪の毛も性的対象になるなんて、知りたくなかったです。 

 旦那さまを背もたれにしてお風呂の中で大きく伸びをした。 
 伸ばした私の手から水滴が旦那さまの獣耳に落ちて、旦那さまは嫌そうに耳をプルプルさせる。  
 猫的反応がたいへんかわいらしいです。

「……ヴィー、耳の中に水が入るので止めてください」旦那さまは私の名前が長くて言いにくいのか、短縮して呼ぶようになった。いつのまに? 

「はぁい。ごめんなさい」 
 こてんと謝り、獣耳の水滴を優しく払う。注意されて軽く睨まれても、激しい交わりの後なので全く怖くない。 
 
「素直な貴女は悪くないです」
 旦那さまの視線も何処か甘ったるい。チュッとおでこにキスを落とされ、ぎゅっと後ろから抱き締められてます。
 
「むう、悪くないだけですか?」 
 拗ねた声を出せば、旦那さまは肩口から首筋にすりすりと頬を擦り付ける。また、マーキングしてますね?安心して下さい!私は旦那さまのモノですよ!  
 
「私の悪くないは………好む、ということですよ」
 旦那さまは臭いを擦り付けながら、大事な隠し事を伝えるかのように小声で囁く。
 
 旦那さまからの『好む』頂きました!とっても嬉しいです。
  
「私も旦那さまが好きですよ」
「……毎日聞いています。貴女は好き以外の言葉を知らないのですか?」
  
「うーん……好き以外ですか?」
「ええ……いい加減飽きました。他の言葉も聞きたいです」
 問われた意味がわからない。好意を伝える言葉のバリエーションを増やせということですかね?
  
 旦那さまカッコいいっ。 
 旦那さま美しい。
 旦那さま筋肉。うーん、どれが正解ですか? 
  
 旦那さまは私の髪を手櫛で鋤くと、耳介と耳たぶをすりりと撫でた。
 僅かに下がった眉尻。上がった口角。柔和なアイスブルーの眼差し。はう、旦那さまがなんだか甘いです。糖分が染み渡ります。 

「んっ、耳くすぐったいです。旦那さまはなんて言われたら嬉しいですか?」 
 
「…………前の貴女が……結婚式で誓わなかった言葉です」 

 それってーー。

 シャーリングさんから、お姉さんが結婚式の出席を断固拒否したので、花嫁不在の前代未聞の式を執り行ったと聞いています。
 王命での強制結婚。お姉さんの気持ちもわからなくないけど、旦那さまどれだけ恥ずかしくて辛かったんだろう?ずーっとお姉さんに拒否され続けてどれだけか悲しかったか……想像するだけで胸が苦しい。 

 くるりと旦那さまに向き直る。旦那さまの両手を固く握りしめ誓います。 

「私、風花ことヴィヴィアンは病めるときも健やかなるときも、ただ貴方だけを愛することを誓います」首を伸ばしその唇に誓いのキスをする。 

 だったら私が与えますよ!呆れるほど溢れる無限の愛を。 

「旦那さま愛してますよ」
「ーーっ!」 
 旦那さまの瞳が大きく大きく見開かれ、端正な顔が一瞬泣きそうに歪む。私は、震える唇にもう一度キスをしてからへらりと笑った。
 旦那さまは泣きそうな顔を見られたくないのか、私の肩を掴むとぐっと抱き寄せた。裸の胸と胸が重なり一つになる。とくんとくんと暖かな旦那さまの心臓の音。

「……私も…ヴィーを愛しています」
 少し掠れた旦那さまの言葉が甘く甘く胸に残る。気だるい余韻と幸福感に浸り心地よくて。旦那さまに安心して体を預けていると、だんだん眠くなってきて瞼が落ちていく。 
 
 夜中起きて、貪られ疲労と眠気で私は限界だった。

「……旦那さま、眠く、て。夢の中でも、貴方に会い…た……ブクブクブク……」  

「っ!!ヴィーっ!!沈んでいます!夫と子供を残して勝手に死なないで下さい!」 
  
 あわや居眠りで溺死するところを旦那さまに無事に救助されましたとさ。



 
◇◇◇ 

 
 旦那さまが領地周りから帰って3日後。 

 『マダム・フローラ』 
 王都貴族街の一等地に優美に佇む王族・貴族御用達の服飾店に私と旦那さま、シリウスの家族は買い物に来ています。念願の買い物デートです。
 一回は既製品のお店、2階は完全予約制のオーダーメイド店。とても人気があり予約を取るのも難しいそうです。 
 そんな超有名店の予約をタスクさんが旦那さまのお休みに合わせて取ってくれたのです! 
 
「こんな急に使えるツテってタスクさんの人脈凄いですね~」
 
「タスクのアレは……人脈というより人の粗捜し、脅しに近い物です」感心する私と違い、旦那さまは渋い顔です。
 
 お、脅し?タスクさんは裏で何をしているんですか?若干遠い目になる私。

「はぁ……今回ばかりはタスクに感謝しないといけないようです。ここで家族で建国際の礼服が作れます」ため息を付きながら感謝するというなんとも器用な旦那さま。 
 
「おとうしゃま、マアマといっちょ!ぼくうれしい~」私と旦那さまの間で手を繋ぐシリウスはニコニコとその場でジャンプしてはしゃぎます。 
  
 そうです!三人でお揃い親子コーディです。もちろんお揃いの布で作ってもらいますよ。
 
 

「ようこそいらっしゃいました英雄シオン・マクガイヤ様一家ををお出迎えでき望外の喜びですわ。店長のフローラです」
 細いメガネをくいっと上げてフローラさんが微笑んだ。

「私の部下が無理をお願いして、すいませんでした」 
 旦那さまが頭を下げるとフローラさんは慌てた。高慢な貴族を相手にすることが多く、旦那さまみたいな丁寧な貴族は珍しいのかも。 

「まあ恐れ多いですわ。頭を上げて下さいませ。たまたま高貴なお方からキャンセルを頂きましたので、マクガイヤ様をお迎えできた所存です」
 
 ちょうどタイミングが良かったみたい。その高貴なお方に感謝です。フローラさんに案内されて試着室でそれぞれ細かく採寸してもらいました。

 次は服のデザインと布地を決めないとですね!旦那さまの美貌を十分引き立て、なおかつシリウスのかわいらしいを存分に押し出せる!そんな素晴らしい一品を追求しますよ~。

 私は鼻息荒く、フローラさんに相談しました。
 

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