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第一章 囚われの日々
囚われの日常(6)
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……ユイナート様はこんなことを言っているが、何だかんだわたしは彼の事を全く知らない気がする。ユイナート様のお仕事、趣味、特技、本心など、知らないことが多すぎる。せいぜい知っていることといえば……彼がわたしを『玩具』として大切にしていることとか。
そんなわたしの内心が顔に出ていたのだろうか、ユイナート様わたしと目を合わせ、そっとわたしの頬を指で辿った。
「何を考えていたのですか? 少し、寂しそうな顔になっていますよ。直ぐに貴女の心を満たしてあげますから」
唇が重なり、しかし直ぐに彼は離れた。ユイナート様らしくない、と思っていると、肩を強めに押されてベッドに仰向けに倒れ込んでましまう。そしてユイナート様がわたしに覆いかぶさり、手をベッドに縫いつけた。
「何を考えていたか、教えてくれませんか? まさか、下町にいたその知り合いの事を考えていませんよね? 僕以外の男の事など、考えることは許しませんよ」
なんと、ユイナート様はわたしが知り合いの事を考えていると思っていたらしい。確かに知り合いは男性だったけど、彼の事を考えることすら許さないなんて、恐ろしいことだ。それに……わたしの知り合いが男性だということを知っているということは、ユイナート様は覚えていらっしゃるのだろうか。
不意打ちだったので怯えるよりも驚いてしまった。ユイナート様はわたしの表情を見たのか、少し首を傾げた。
しかしこのまま何も言わないなど許されることではないだろう。隠せば隠すほど、何がなんでも言わそうとしてくるのがユイナート様だ。
「……ユイト様のことを、考えていました」
わたしがそう言うと、ユイナート様は目を丸くした。彼がこのように感情を見せるのは珍しい。ちょっとしてやった気分になる。
……そんな気分になったのはつかの間、彼に口付けされて直ぐに気分は急降下した。
ユイナート様はごろんとわたしの隣に寝転がり、わたしの髪を触る。
「僕の事を考えていてくれたなんて、僕は幸せものですね。出来れば僕の何を考えていてくれたのかも知りたいところですが……」
ユイナート様はまた嬉しそうに微笑んでいる。……彼のいつもの笑顔とは異なり、本心からの微笑みなんだと思う。だからなのか、そんな彼の微笑みを見ていると、なんだかむずむずした気持ちになってしまう。
しばらくユイナート様は寝転びながらわたしの髪を弄ぶ。わたしは寝転んでいるせいで段々と眠気を感じてきた。
「……眠いですか?」
ユイナート様に問われ、わたしは素直に頷く。彼はわたしの頭を一撫でして、体を起こす。
「直ぐに眠気は覚めますよ」
ユイナート様がわたしの顎に指を添えて口づけをする。わたしが少し唇を開けるとすかさず彼の舌が口内に入ってくる。彼の舌が口内を撫で、くすぐったくなる。彼の舌に触れると絡み取られ、体中に熱がこもる。
彼は何度も角度を変える。頭に熱がこもり、深く考えることができなくなる。目の前もぼんやりと歪む。
「……可愛い」
ユイナート様はわたしの首元に顔をうずめ、舌で首筋を舐めた。その感触にわたしの全身はぞわりと泡立つ。彼はわたしの首筋に何度も唇を寄せ、わたしの喉から声が漏れる。わたしは彼の体を押そうとするが、彼は器用に片手でわたしの両手を掴んでベッドに押さえつける。もう片方の手はわたしの服の下に潜り込んできた。
「ふふっ。やはり良い声ですね。もっと貴女の声を聞かせてください」
その後もユイナート様の指や舌に翻弄されながら、いつものように彼の気の向くままに抱かれたのだった。
そんなわたしの内心が顔に出ていたのだろうか、ユイナート様わたしと目を合わせ、そっとわたしの頬を指で辿った。
「何を考えていたのですか? 少し、寂しそうな顔になっていますよ。直ぐに貴女の心を満たしてあげますから」
唇が重なり、しかし直ぐに彼は離れた。ユイナート様らしくない、と思っていると、肩を強めに押されてベッドに仰向けに倒れ込んでましまう。そしてユイナート様がわたしに覆いかぶさり、手をベッドに縫いつけた。
「何を考えていたか、教えてくれませんか? まさか、下町にいたその知り合いの事を考えていませんよね? 僕以外の男の事など、考えることは許しませんよ」
なんと、ユイナート様はわたしが知り合いの事を考えていると思っていたらしい。確かに知り合いは男性だったけど、彼の事を考えることすら許さないなんて、恐ろしいことだ。それに……わたしの知り合いが男性だということを知っているということは、ユイナート様は覚えていらっしゃるのだろうか。
不意打ちだったので怯えるよりも驚いてしまった。ユイナート様はわたしの表情を見たのか、少し首を傾げた。
しかしこのまま何も言わないなど許されることではないだろう。隠せば隠すほど、何がなんでも言わそうとしてくるのがユイナート様だ。
「……ユイト様のことを、考えていました」
わたしがそう言うと、ユイナート様は目を丸くした。彼がこのように感情を見せるのは珍しい。ちょっとしてやった気分になる。
……そんな気分になったのはつかの間、彼に口付けされて直ぐに気分は急降下した。
ユイナート様はごろんとわたしの隣に寝転がり、わたしの髪を触る。
「僕の事を考えていてくれたなんて、僕は幸せものですね。出来れば僕の何を考えていてくれたのかも知りたいところですが……」
ユイナート様はまた嬉しそうに微笑んでいる。……彼のいつもの笑顔とは異なり、本心からの微笑みなんだと思う。だからなのか、そんな彼の微笑みを見ていると、なんだかむずむずした気持ちになってしまう。
しばらくユイナート様は寝転びながらわたしの髪を弄ぶ。わたしは寝転んでいるせいで段々と眠気を感じてきた。
「……眠いですか?」
ユイナート様に問われ、わたしは素直に頷く。彼はわたしの頭を一撫でして、体を起こす。
「直ぐに眠気は覚めますよ」
ユイナート様がわたしの顎に指を添えて口づけをする。わたしが少し唇を開けるとすかさず彼の舌が口内に入ってくる。彼の舌が口内を撫で、くすぐったくなる。彼の舌に触れると絡み取られ、体中に熱がこもる。
彼は何度も角度を変える。頭に熱がこもり、深く考えることができなくなる。目の前もぼんやりと歪む。
「……可愛い」
ユイナート様はわたしの首元に顔をうずめ、舌で首筋を舐めた。その感触にわたしの全身はぞわりと泡立つ。彼はわたしの首筋に何度も唇を寄せ、わたしの喉から声が漏れる。わたしは彼の体を押そうとするが、彼は器用に片手でわたしの両手を掴んでベッドに押さえつける。もう片方の手はわたしの服の下に潜り込んできた。
「ふふっ。やはり良い声ですね。もっと貴女の声を聞かせてください」
その後もユイナート様の指や舌に翻弄されながら、いつものように彼の気の向くままに抱かれたのだった。
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