DNAの改修者

kujibiki

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第11話 友情の証

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『魂へ形を変えるともう話すことは出来ない。何か言い残したことは無いか?』

「そうだなぁ、おっさんにはいろいろ世話になった。良い転生先も見つけてもらったようだし感謝している」
「たくさんの女性と楽しく暮らせるように頑張るから、おっさんもこの経験を話題にして素敵な女性をゲットしてくれ」

『はっはっはっ、そうだったな。色々話を盛って500年は独り占めしてやろうかな』

「他の男性から疎まれるんじゃないか。ほどほどにな」

『女性型には好かれてなんぼだから関係ない。合コンに引っ張りだこになるかな』
おっさんがニアニア笑っているような気がした。口はないけれど…。

最初はうざかったけど、このおっさんとは種族の垣根を超えた友達になれたかもしれない。
もう会う事はないと思うと少し寂しい気がするが、俺の話題で女性と楽しく出来るのを願うことにしよう。

「最後に、おっさん…、握手してもらっていいか?」
俺はそう言いながら右手を差し出した。

『あくしゅ?』

「そう、俺の右手と、おっさんのこっちの手でお互いに握り合うんだ」
さすがに握手のことは知らないみたいだ。

『何の意味があるのだ?』

「ただの友情の証だよ」

『友情だと…、友達になるという事か?』

「まぁ、もう会う事は無いだろうけどな。お別れの挨拶でもあるんだ」

おそるおそる右手を差し出してくるおっさん。
俺はガシッと握り、さらに左手をおっさんの右手の甲に添えてやった。

思ったとおり空気人形を握ったような感触だった。
意外に体温が高いのか温かく感じる。
なにか心残りがなくなってスッキリした気分になった。

『!?』

「なっ!?」
おっさんの右手が肘辺りまで真っ白になっていた。

「大丈夫か?」
「握手はまずかったのか?」

『…いや、大丈夫だ問題ない。死神系の者たち以外に触れられたのが初めてなので身体がビックリしたのだろう。こんな現象が起きるとは…』

「なんだ、また初めてかよ…」
なんだかおっさんの色々な初めてに関わった気がするな。

「まぁ、これも貴重な話題になるんじゃないか? 良かったな? 友達として最初で最後のプレゼントだ」
話題がプレゼントっていうのもあれだが…。

『うむ、感謝するわが友よ』
『お前の転生がすばらしいものになるように最善をつくそう』

「ありがとう、おっさん、いや友よ。さよならだ」

『ああ、さよならだ。楽しいひと時をありがとう』
『では…、封印!!』

その言葉を聞いたあと、俺は玉が置いてあった方に吸い込まれるような感覚に落ちていった。



『もう自我はないだろう、友よ』

『……、それにしても何色に光り輝くかと思えば、こんなに大きな黒光りとは…。初めて見たぞ』

『ハハッ…お前は最後まで我に話題を残してくれたのだな』

『では、いくぞ…転生!!』
パシュ!

……
ガラン・ゴロン・パシュ
ガラン・ゴロン・パシュ
……

再びその音しか聞こえなくなった空間に戻るのでした。



XX XX XX XX XX XX

ようやく、俺とおっさん(二人)との話は終わりです。
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