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第342話 【閑話】エリカの予感
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今日はフリーノース領都のマーガレット様に『シャルル魔道具販売所』と運送について説明に行く予定です。
シャルル様は“シャルルの渦”の件でシェリー様にお会いしに向かわれるそうなので、シャルル様から王領の都市長分の“シャルルの風”を届けていただき、『シャルル魔道具販売所』と運送についても説明をしていただくことになっています。
きっとシェリー様も喜ばれるでしょうね。
「さてグリシャ、私達もそろそろフリーノース領都へ向かいましょうか…」
「そうですね」
XX XY
「サマンサ様、ようこそおいでくださいました」
「突然の訪問、申し訳ありません」
「そんなこと…、どうぞこちらへお座りください」
勧められた長椅子に座りマーガレット様と対面します。
グリシャは私の後ろに控えていますが、いつも魔動力車を運転してくれているサンディとローザは別室で待機をしているはずです。
メイドの方がお茶の用意をしてくださると、そのままマーガレット様の後ろに控えられました。
「マーガレット様、ようやく“シャルルの風”を販売することになりましたので、各都市長とお嬢様の分をお持ちしましたよ」
「あ、ありがとうございます。エリカも“シャルルの風”を気に入りまして自分専用の物が欲しいとうるさくって…」
「それはそれは…、お待たせいたしました」
「それで今日はお話がありまして、すでにエンターシャ様、ローレン様にも同意していただいておりますが、これからフリーノース領でも“シャルルの風”の販売をご希望でしたら『シャルル魔道具販売所』という直販店を設けてもらいたいのです」
「直販店と言うことは商人などを介さないということですね」
「仰るとおりです」
「発明者のシャルル様は領民が購入し易い価格で、領や都市によって価格に差がないように考えておられます」
「高潔な方ですね。あの魔道具ならかなり高値で売れるでしょうに…」
「マーガレット様…」
「わ…分かっていますよ。『シャルル魔道具販売所』については理解しました」
「それから、運送についてです」
「各領分は各領の責任において受け取りに来ていただくことにしています」
「マーガレット様が各都市で“シャルルの風”を販売するのであれば、まず領都で一括して受け取っていただいてから各都市の『シャルル魔道具販売所』に好きなように分配していただくことになります」
「なるほど…、確かに分配をお任せするわけにはいきませんね」
「分かりました。私も納得です」
「ありがとうございます」
「そうだわ、サマンサ様。そのシャルルという者は女性なのですか? 男性なのですか? エリカがそんなことを聞いてきまして…」
「それにエリカにシャルルという方がオーリエさんの知り合いだと伝えると会ってお話してみたいと言うものですから…」
「私もぜひお会いしてみたいと思っています。それで…」
「……、シャルル様は…、男性です」
XX XY
「シャルル様、来てくださって嬉しいです」
「もうすぐ“シャルルの風”を販売することになるから、王領の都市長さん分の“シャルルの風”を持ってきたんだ」
「わざわざありがとうございます」
「“シャルルの風”は商人などを介さないので、王領で販売するために『シャルル魔道具販売所』という直販店を設けて欲しいのだけど…」
「なるほど、もっともですね」
「それから運送についても王領から受け取りに来てもらいたいんだ」
「いずれ王都から各都市に分配してもらうことになると思うからね」
「分かりました。シャルル様の仰るとおりに…」
「良かった。サマンサ様も他の領都に説明に行っているんだよ」
「それからシェリー様に相談があるのだけれど、この間登録してもらった“シャルルの渦”なんだけど…」
「あれはとっても便利な魔道具ですね。調理責任者も喜んでいましたよ」
「それがどうかされたのですか?」
「良かったら王都でも生産してもらえないかなぁと思ってね」
「えっ、王都でですか!?」
「ルージュ領都の僕の魔道具製作所でも少しは生産するつもりだけれど、今はほとんど“シャルルの風”で手一杯だしね、他の領分は今のところ生産できそうにないんだよ」
「シェリー様が任せられる魔道具製作所があるなら、マイヤお姉さんのところのように任せて、『シャルル魔道具販売所』で販売してもらえればいいのだけれど…」
「それは願ってもないお話ですね。シャルル様に任せていただけて嬉しいですよ」
「信頼できる魔道具製作所を検討しておきますね」
「ありがとうございます」
「そんな…、“シャルルの渦”は食文化を変える画期的な魔道具ですよ。それを王都で生産できるなんてこちらが感謝したいぐらいです」
「シャルル様の期待に応えられるように頑張りますよ」
XX XY
「エリカ~、エリカ~」
サマンサ様がお帰りになり、私はエリカ用にいただいた“シャルルの風”を小脇に抱えリビングに入ります。
「お母様、私はここにいますがどうかされたのですか?」
「あなたが欲しがっていた“シャルルの風”をサマンサ様からいただきましたよ」
「うれし~、私専用なのですね」
これで髪を洗う度にお母様の“シャルルの風”を使わせてもらうこともなくなります。
「フフ…、良かったわね」
私から“シャルルの風”が入った箱を受け取ると本当に嬉しそうにしています。
エリカの髪も私の“シャルルの風”を使って乾かすようになってから艶やかになっているのです。
「エリカ、サマンサ様に聞いたのだけれど、なんとシャルルさんは男性なのだそうよ」
「えっ!?」
やっぱり…。
私はなぜか男性が発明した物だと思っていたのです。
こんなに女性のことを考えられた魔道具を発明される方ならきっと素敵な方なのでしょう。
シャルルさんが男性ならお知り合いのオーリエさんが益々羨ましく思えてきますね。
私ならすぐにパートナー候補になってもらいますよ。
「それでシャルルさんはおいくつなのですか?」
「お会いすることは出来るのですか?」
「残念ながら年齢については教えてもらえませんでしたし、お会いする確約も取れていません」
「縁があればいつか会えるとしか…」
「そうなのですか…」
なぜだか出来るだけ早くお会いした方が良いように感じます。
「シャルルさんはとても忙しい方なのだそうです」
男性で忙しいって…、商人でもあるまいし。
ルージュ領都におられる事が少ないとサマンサ様もおっしゃっていましたね。
「だったらまだお若いのかもしれませんね」
私よりも少し年上ぐらいでしょうか…。
「そうだわ、お母様、シャルルさんにフリーノース領都への招待状をお送りしておいた方が良いのではないでしょうか」
「時間が出来れば来ていただけるかもしれませんよ」
「そ、そうですね」
どうもエリカはシャルルさんに興味を持っているようです。
私達が知っている男性とはずいぶん違うようですし、あの魔道具を発明するほど聡明なのですから興味を持たない方がおかしいでしょうね。
私もぜひお近付きになりたいところです。
シャルル様は“シャルルの渦”の件でシェリー様にお会いしに向かわれるそうなので、シャルル様から王領の都市長分の“シャルルの風”を届けていただき、『シャルル魔道具販売所』と運送についても説明をしていただくことになっています。
きっとシェリー様も喜ばれるでしょうね。
「さてグリシャ、私達もそろそろフリーノース領都へ向かいましょうか…」
「そうですね」
XX XY
「サマンサ様、ようこそおいでくださいました」
「突然の訪問、申し訳ありません」
「そんなこと…、どうぞこちらへお座りください」
勧められた長椅子に座りマーガレット様と対面します。
グリシャは私の後ろに控えていますが、いつも魔動力車を運転してくれているサンディとローザは別室で待機をしているはずです。
メイドの方がお茶の用意をしてくださると、そのままマーガレット様の後ろに控えられました。
「マーガレット様、ようやく“シャルルの風”を販売することになりましたので、各都市長とお嬢様の分をお持ちしましたよ」
「あ、ありがとうございます。エリカも“シャルルの風”を気に入りまして自分専用の物が欲しいとうるさくって…」
「それはそれは…、お待たせいたしました」
「それで今日はお話がありまして、すでにエンターシャ様、ローレン様にも同意していただいておりますが、これからフリーノース領でも“シャルルの風”の販売をご希望でしたら『シャルル魔道具販売所』という直販店を設けてもらいたいのです」
「直販店と言うことは商人などを介さないということですね」
「仰るとおりです」
「発明者のシャルル様は領民が購入し易い価格で、領や都市によって価格に差がないように考えておられます」
「高潔な方ですね。あの魔道具ならかなり高値で売れるでしょうに…」
「マーガレット様…」
「わ…分かっていますよ。『シャルル魔道具販売所』については理解しました」
「それから、運送についてです」
「各領分は各領の責任において受け取りに来ていただくことにしています」
「マーガレット様が各都市で“シャルルの風”を販売するのであれば、まず領都で一括して受け取っていただいてから各都市の『シャルル魔道具販売所』に好きなように分配していただくことになります」
「なるほど…、確かに分配をお任せするわけにはいきませんね」
「分かりました。私も納得です」
「ありがとうございます」
「そうだわ、サマンサ様。そのシャルルという者は女性なのですか? 男性なのですか? エリカがそんなことを聞いてきまして…」
「それにエリカにシャルルという方がオーリエさんの知り合いだと伝えると会ってお話してみたいと言うものですから…」
「私もぜひお会いしてみたいと思っています。それで…」
「……、シャルル様は…、男性です」
XX XY
「シャルル様、来てくださって嬉しいです」
「もうすぐ“シャルルの風”を販売することになるから、王領の都市長さん分の“シャルルの風”を持ってきたんだ」
「わざわざありがとうございます」
「“シャルルの風”は商人などを介さないので、王領で販売するために『シャルル魔道具販売所』という直販店を設けて欲しいのだけど…」
「なるほど、もっともですね」
「それから運送についても王領から受け取りに来てもらいたいんだ」
「いずれ王都から各都市に分配してもらうことになると思うからね」
「分かりました。シャルル様の仰るとおりに…」
「良かった。サマンサ様も他の領都に説明に行っているんだよ」
「それからシェリー様に相談があるのだけれど、この間登録してもらった“シャルルの渦”なんだけど…」
「あれはとっても便利な魔道具ですね。調理責任者も喜んでいましたよ」
「それがどうかされたのですか?」
「良かったら王都でも生産してもらえないかなぁと思ってね」
「えっ、王都でですか!?」
「ルージュ領都の僕の魔道具製作所でも少しは生産するつもりだけれど、今はほとんど“シャルルの風”で手一杯だしね、他の領分は今のところ生産できそうにないんだよ」
「シェリー様が任せられる魔道具製作所があるなら、マイヤお姉さんのところのように任せて、『シャルル魔道具販売所』で販売してもらえればいいのだけれど…」
「それは願ってもないお話ですね。シャルル様に任せていただけて嬉しいですよ」
「信頼できる魔道具製作所を検討しておきますね」
「ありがとうございます」
「そんな…、“シャルルの渦”は食文化を変える画期的な魔道具ですよ。それを王都で生産できるなんてこちらが感謝したいぐらいです」
「シャルル様の期待に応えられるように頑張りますよ」
XX XY
「エリカ~、エリカ~」
サマンサ様がお帰りになり、私はエリカ用にいただいた“シャルルの風”を小脇に抱えリビングに入ります。
「お母様、私はここにいますがどうかされたのですか?」
「あなたが欲しがっていた“シャルルの風”をサマンサ様からいただきましたよ」
「うれし~、私専用なのですね」
これで髪を洗う度にお母様の“シャルルの風”を使わせてもらうこともなくなります。
「フフ…、良かったわね」
私から“シャルルの風”が入った箱を受け取ると本当に嬉しそうにしています。
エリカの髪も私の“シャルルの風”を使って乾かすようになってから艶やかになっているのです。
「エリカ、サマンサ様に聞いたのだけれど、なんとシャルルさんは男性なのだそうよ」
「えっ!?」
やっぱり…。
私はなぜか男性が発明した物だと思っていたのです。
こんなに女性のことを考えられた魔道具を発明される方ならきっと素敵な方なのでしょう。
シャルルさんが男性ならお知り合いのオーリエさんが益々羨ましく思えてきますね。
私ならすぐにパートナー候補になってもらいますよ。
「それでシャルルさんはおいくつなのですか?」
「お会いすることは出来るのですか?」
「残念ながら年齢については教えてもらえませんでしたし、お会いする確約も取れていません」
「縁があればいつか会えるとしか…」
「そうなのですか…」
なぜだか出来るだけ早くお会いした方が良いように感じます。
「シャルルさんはとても忙しい方なのだそうです」
男性で忙しいって…、商人でもあるまいし。
ルージュ領都におられる事が少ないとサマンサ様もおっしゃっていましたね。
「だったらまだお若いのかもしれませんね」
私よりも少し年上ぐらいでしょうか…。
「そうだわ、お母様、シャルルさんにフリーノース領都への招待状をお送りしておいた方が良いのではないでしょうか」
「時間が出来れば来ていただけるかもしれませんよ」
「そ、そうですね」
どうもエリカはシャルルさんに興味を持っているようです。
私達が知っている男性とはずいぶん違うようですし、あの魔道具を発明するほど聡明なのですから興味を持たない方がおかしいでしょうね。
私もぜひお近付きになりたいところです。
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