異世界から元の世界に派遣された僕は他の勇者たちとは別にのんびり暮らします【DNAの改修者ー外伝】

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第151話 【閑話】王宮内の思惑

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「アニーお姉さま、無事に臓器移植が済んで良かったですね」

「そうね、まだ必要な治療が残っているから完治という訳じゃないけれど、生死に関わる病状からは脱したわ」
「キャンディスにも迷惑を掛けたわね」

「そんなこと…」

「それより、あなた諜報機関を使って人探しをしているそうね」

「えっ!」

「バレバレよ…。一応第一王女なんだから…」

「じゃあ、女王様やお母様達も…?」

「おそらくとっくにご存知よ。目的が人探しだから静観されていたのでしょう」
「気を付けなさい、テリィも知っていると思うわ」

「テリィお兄様も…」

何も言われないのは、おそらく第二王女の私がすることに興味を持たれていないからでしょう。

「それで、どんな方を探しているの? 日本人の男性としか聞いていないのよねぇ」

「もぅ、ここだけの話ですよ。シャルル様という方です」

「シャルル? 日本人よね? 格好良いの?」

「とっても! 今までにお会いした男性の中で一番ですね。細身なのに筋肉質でとっても逞しい感じです」
「それに話し方もとっても穏やかで…」

「そんな男性が?」
「もしかしてキャンディスのパートナー候補なの?」

「そんな…わけ…」

そう言いかけると最後に“ない”とは言い切れませんでした。

「じゃあ、私が貰おうかしら…。候補も決まっていませんし…」

「ダ、ダメですよ」

「やっぱり~」

「そ…そういう訳ではなくて彼には既にたくさんのパートナーがいるのです」
「私達より美人なのですから…」

「それは凄いわね。私は病弱だったから元々自信は無いけれど、キャンディスよりも美人だなんて…」

「アニーお姉さま、上には上がいるのです。世界は広いのですよ…」

「でも、見つかったら私にも会わせてよね」

「え~、どうしようかな~」

「キャンディス、そんな事を言っても良いのかしら。お母様(女王様)に調査を止めていただいても良いのよ」

「ひ、酷いです、アニーお姉さま」

「フフ…、冗談よ」
「キャンディス、あなたは私を気にせずパートナーを決めて女児を設けるのよ」

「えっ、アニーお姉さま?」

「もし私に何かあってもこの国の女系文化を守っていかないとね」

どうもテリィは男系にするという野心を抱いているようですから…。



XX XY



「くっそっ、アニーの臓器移植が成功したか…」

臓器が再生できれば移植自体は簡単な事だと分かっていたが…。

「ですがテリィ様、まだ完治されている訳ではありません」

「だが、後は時間の問題だろ」

完治すればパートナーの選定も始まるだろう。

「だからこそ、まだ先の話です。女王様もまだ若くてご健在なのですから…」
「アニー様を気にされるのなら早く婚姻され、お世継ぎを設けて女王様や国民にアピールされた方が…」

「……」
確かにアニーを気にしていてもダメか…。
先に女児を設けておけば自分の代で王になれなくても、次の代で私から連なる家系が本流になる可能性もあるか…。
そして女系を廃止して…。

しかし、私の様に男の子であれば、私自身が王族でいられなくなる可能性も…。

それに仮にアニーに問題があったとしても、キャンディスが女の子を設ければ私の立場が…。



XX XY



「キャンディス様!」

「どうしたのジョルジュ? そんなに慌てて…」

「はい、シャルル様の情報を得ることが出来たそうです」

「本当ですか!?」

「はい、間違いなく…。シャルル様もオーストラリアでキャンディス様にお会いしたことを覚えておられたそうです」

「そ、それでどうすれば会えるのかしら?」

「諜報部から連絡先を受け取っています」
「何でもシャルル様から直接お渡しするようにとのことだそうです」
「こちらです…」

「……!」

「キャンディス様、大丈夫でしょうか?」

「フフ…、問題ないわ」

受け取った封書を開けると、簡単な挨拶と連絡先が書かれていました。
(今すぐには連絡できないわね…、日程を考えないと…)

「キャンディス様、こちらの身分を知られてしまうことになりましたが良かったのでしょうか?」

「仕方が無いわ。シャルル様なら知られても問題ないわよ」

ポロは心配していますが私の本心です。
シャルル様は私の立場なんて気にされる方ではないわ。



XX XY



「プリシラ…」

「ローズマリー女王様…」

「フフ…、公務中ではないのだから普段通りで良いわよ」

「そうでした」

「キャンディスの事を聞いたわよ。探している男性が見つかったそうね」

「もうご存知なのですか?」

「あなたも知っているのでしょ?」

「まぁ、娘の事ですから…」
「それにしても勝手に諜報機関を私用に使って…」

「まぁ、人探しぐらいなら良いじゃない。ちょうど諜報員も日本にいたそうですから…」
「でも、どんな男性なのでしょうね。キャンディスはパートナー候補にしたいのかしら…?」

「どうでしょう。先にアニー様にパートナーを決めて頂かないと…」
「手術も成功したのですよね」

「生活には問題ないくらい元気になって良かったけれど完治ではありませんからね」
「分かっているのでしょ?」

まだ卵巣と子宮の再生治療が残っているのです。
卵巣を治さない限りパートナーは…。

「……はい」
「でも、これまでの事を考えれば卵巣などの再生ぐらい簡単なものですよ」

「そうね、私もまだまだ退位するつもりもないですからね」

「そうですよ」

「それはそうと、キャンディスの探し人はシャルルといったかしら?」
「日本人だそうだけれどフランス人みたいな名前ね」

「そうですね。外見は黒色の髪と瞳だそうですけれど、どういった系譜なんでしょう…」

「もちろん会うわよね?」

「えっ、ローズマリー様、私はキャンディスの母ですから会うつもりでいますけれど…」
「女王様が気軽に一般人と謁見をされるのは…」

「何も公務ではないのです。王族の一員として会うだけよ」

「ハァ~、珍しくキャンディスから会いたいと言った男性ですから、あまり無茶ぶりをしないで下さいね」
「キャンディスは第二王女という立場ですが、私は幸せになってくれればそれで良いのですから…」

「あなたそれで幸せだったの?」

「……さぁ、どうでしょう…」

王子は偶然生まれてくる存在ですが、第二王女が用意されるのは王族の伝統なのです。

テリィの母親であるスザンヌ様が先に女の子を産んでいたら、私とキャンディスは王族の立場ではいられなかったことでしょう。

「それにしても、テリィが良からぬことを考えているようです」

「私の耳にも入っています。でも、第四次世界大戦以前の国王は性別に関係なく直系嫡子だったのですよね?」

「そうみたいね」

異星人の侵攻は当時ほどではありませんが、グレイが男性を支配し操る事が分かってから、王族以外にも政治の中枢や大企業の要職等は今も女性が就いている事が多いのです。

「まぁ、アニー様が完治されましたら全て解決ですよ」

「プリシラは簡単に言うわね」

「フフ…、だって今の私は王族に属していても、第二王女の母というだけの立場ですから…」
「代が変われば気軽に旅行がしてみたいですね」

「もぅ、長く続けてやるんだから…」

「女王様、酷いですよ~」



XX XY



「テリィ様、………、……(ボソッ)」

「へぇ~、キャンディスの探し人が見つかったのか…」

「どうやらそれ以上の事は秘匿されているようで分かりかねます」

「まぁ、どこぞの平民には興味は無いけれど、王宮へ来ることになれば顔を見てやろう」

キャンディスの事だからきっとアニーにも会わせるはずだ。

その場で偶然を装って俺の婚約者を見せつけておけば、アニーやキャンディスに優位に立てるかもしれないな。
たまには婚約者に俺の格好良いところでも見せておくか…。

「テリィ様、公式ではありませんが第二王女であるキャンディス様のご招待となりますので、あまり品の無い行動は…」

「分かっている」

でも、キャンディスがそいつをパートナーにし、先に女の子を設けてしまったら…?
今後はキャンディスのパートナーにも注意しておかないとな…。



XX XY



「ご主人様、バネッサ様が【淫紋】を完成され2回目依頼をされてきました」

「こっちもそんな頃か…」

「千宮様よりは遅かったですけれどね…」

「いつも順番通りになる訳じゃないよ」

お風呂を購入されたから“ピンクローター”を渡していなかったんだよね…。

「マスター、イギリス行きはどうするのですか?」

「まだプッシーの報告が済んだばかりだから、先にラスベガスに行くよ」

キャンディスから連絡が無い限り行っても仕方がないのです。
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