新カニバリズム物語集 ～美女達が美味しい御馳走になっていく～

同じ人間の男性に食される編

大繁盛の肉料理専門店

「マスター、今日のおすすめ、亜矢ちゃんのチチカブ粗挽き肉ソースのパスタ
大盛一人前を取り皿二つ付けて。あと美和ちゃんの腿肉カットステーキ二人前
も！」
「あいよ～、まいど！」
　肉料理専門店「赤将軍」は今日も大勢の客でにぎわっている。
　店のカウンター席の脇には今日のおすすめ品である「亜矢（14歳処女房州産）」
「美和（19歳処女北海道産）」「凛子（10歳処女北越産）」の三人の女の子の
生首が証拠品として掲げられていて客らはその顔を確かめながら今日入荷して
屠られたばかりのその女の子達の新鮮な肉の味を堪能している。
　
　ここは202〇年の日本の世界。しかし「本物の現実社会」のパラレル世界で
あり裏世界である日本の世界で行われている風景である。
　この裏世界はいくら現実世界の我々が行こうとしても行くことは出来ず、逆に
裏世界の人間は自由に表と裏を行き来できるのである。
　そして裏世界では表世界から攫ってきた肉質の良い人間の若い女の子を密かに
攫ってきてこれを食用として一部のレストランや料亭に提供する商売が行われて
いる。
　裏社会では主に食べ盛りの青少年や働き盛りの成人男性に若くて見栄えの良く
健康体で肉質も上等な女の子の肉が好まれているのである。
　「赤将軍本店」のマスターの新之助（３２）は今日も自慢の腕を披露し、客の
前で亜矢の右乳房を手にするとそれをナイフでスッスっとスライスしてから
それをミンチにして塩や胡椒や特製ソースと合わせて調合し、ジューっと煮詰め
てミートソースにしている。
「亜矢ちゃんのオッパイの肉からにじみ出るエキスは精力付きますよ、お客さん」
と言いながら他の店員が茹でて皿に乗せたパスタの上にミートソースをかけて
「はいよ、お待たせ！」
と提供する。
　マスターの新之助は自らが腕を振るう一流のシェフでありながら、大事な素材
である女の子の肉は自ら吟味するために若い時分から豊筑市場を見て回り、それ
に飽き足らずついに表世界に自ら出て女の子を直接現地調達する役、つまり
ハンターも兼ねていくようになった。
「あっしが自らの目で徹底的に確認して入荷した今日の三人の女の子はどれも
絶品の美味ですぜ。顔も見ての通り美形ばかりだから是非、こんな可愛い女の子
の肉を味わっているという気分で鑑賞しながら食べてあげてください」
と新之助は客に言う。
　客は若い女の子の肉が大好きな男客が殆どであり、今日掲げられている三つの
生首を見ながら食事を楽しんでいる。
　裏社会は表社会とほぼ変わらないパラレルワールドであるが、裏社会の人間の
限られた一部は表社会のことも詳しい。
　だからたまに新之助が入荷させる表社会で人気があったり有名なマスコットガ
ールや女優やらが入荷すると特に客はにぎわうのである。
　裏社会でも牛や豚肉は食されるが、舌の肥えた男性客はこぞっていう。
「一度若い人間の女の子の上等な肉を食べたらその味、食感、えぐみや癖のなさ、
栄養成分、どれをとっても他の獣肉より旨くてもう他の肉は食べれない」
と。
　ただしそれでいてそういう客も裏社会で実在している女性に対しては食欲を
向けることはなく、見た目は全く同じでも表の女性と裏の女性は完全に区分して
いるという不思議さがある。
　新之助は時々思う。
（ここで今日の目玉商品として掲げられている頭部だけになった女の子達は自分
の肉をさも旨そうに食べている同じ人間達をどのような思いで見ているのか？）
　だが新之助も自分が選び、そして天職と考えたこの仕事を止めるつもりはない。
（さて・・・明後日は表社会で最近檸檬坂グループとして人気赤丸急上昇中の
17歳のまりりんこと麻里奈という女を捕獲しに行くか・・・）

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜完＞