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第5章 混乱
9 銃剣
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後藤団右衛門、三条の戦いの生き残りだ。命からがら越後方面軍に逃げ込んだ。団右衛門は榊原の軍にいた。中尉で第1大隊の第1中隊の第1小隊長だ。ルシア軍の総攻撃を受けた時、火縄銃の装填が間に合わず、押し切られてしまった。肉薄されると銃兵は弱い。銃以外に武装がないからだ。団右衛門自身は武士だから刀を腰にさしていた。だが、百姓出身の兵どもは持っていない。ルシア軍が迫ってくる中、ある伍長が団右衛門に願った。
「小隊長、使わないなら腰の小刀を貸してくだせえ。」
「うむ、使え。」
「ありがとうごぜえやす。」
彼は小刀を受け取ると、大事そうに捧げた後、火縄銃の筒先に小刀を縛り付けた。にこりと笑うと言った。
「こうすれば短い小刀も長く使えやす。」
突撃して来るルシア軍。乱戦になった。その伍長と再会することはなかった。榊原隊はあえなく、壊乱してしまった。
団右衛門は刀を杖にしながら逃げ延びた。当時、越後方面軍司令部は善光寺付近にあった。団右衛門は善光寺にたどり着くや、言った。
「三条の戦いの戦況報告と意見具申がある。参謀長に合わせてくれ。」
「参謀長真田繁信である。よく生き延びた。戦況を聞かせてくれ。」
「はっ、自分は中央の榊原隊におりました。そして・・・ルシアが総攻撃を。銃兵は肉薄されたら無力です。兵の1人が言いました。小官の小刀を貸して欲しいと。小官は貸してやりました。すると彼は小刀を銃の筒先に結びつけたのです。」
「ほう?撃った後は槍として使ったか?」
「はっ、銃を装填する時間がないときでも肉弾戦が出来るよう、兵にも筒先に取付可能な剣を持たせてやって欲しいと考えます。」
「うむ、良い思案だ。割り切って槍兵を廃止したが、肉弾戦になったら兵にはどうしようもないな。だが、断っておく。小官が槍兵を廃止したのは歩兵突撃を許さない弾幕を張れる自信があるからだ。そこらへんのことを理解して用兵しないから、三条の戦いのようになる。」
近寄って団右衛門の肩を叩く。
「その兵の名前は何という?」
「甚五郎でございます。」
「では今後、銃に付ける剣のことを【ダンジン】と呼ぼう。団右衛門の【ダン】と甚五郎の【ジン】をあわせて【ダンジン】だ。」
「ダンジン・・・ありがとうございます。」
「鍛冶屋をよべ~。団右衛門、【ダンジン】の詳細を決めようじゃないか?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
銃剣は別名バヨネットと呼ばれ、フランスのバヨネット地方で農民同士の争いで初めて使われたそうです。
興奮した農民が銃口にナイフの柄を突っ込んで使ったとか。
「小隊長、使わないなら腰の小刀を貸してくだせえ。」
「うむ、使え。」
「ありがとうごぜえやす。」
彼は小刀を受け取ると、大事そうに捧げた後、火縄銃の筒先に小刀を縛り付けた。にこりと笑うと言った。
「こうすれば短い小刀も長く使えやす。」
突撃して来るルシア軍。乱戦になった。その伍長と再会することはなかった。榊原隊はあえなく、壊乱してしまった。
団右衛門は刀を杖にしながら逃げ延びた。当時、越後方面軍司令部は善光寺付近にあった。団右衛門は善光寺にたどり着くや、言った。
「三条の戦いの戦況報告と意見具申がある。参謀長に合わせてくれ。」
「参謀長真田繁信である。よく生き延びた。戦況を聞かせてくれ。」
「はっ、自分は中央の榊原隊におりました。そして・・・ルシアが総攻撃を。銃兵は肉薄されたら無力です。兵の1人が言いました。小官の小刀を貸して欲しいと。小官は貸してやりました。すると彼は小刀を銃の筒先に結びつけたのです。」
「ほう?撃った後は槍として使ったか?」
「はっ、銃を装填する時間がないときでも肉弾戦が出来るよう、兵にも筒先に取付可能な剣を持たせてやって欲しいと考えます。」
「うむ、良い思案だ。割り切って槍兵を廃止したが、肉弾戦になったら兵にはどうしようもないな。だが、断っておく。小官が槍兵を廃止したのは歩兵突撃を許さない弾幕を張れる自信があるからだ。そこらへんのことを理解して用兵しないから、三条の戦いのようになる。」
近寄って団右衛門の肩を叩く。
「その兵の名前は何という?」
「甚五郎でございます。」
「では今後、銃に付ける剣のことを【ダンジン】と呼ぼう。団右衛門の【ダン】と甚五郎の【ジン】をあわせて【ダンジン】だ。」
「ダンジン・・・ありがとうございます。」
「鍛冶屋をよべ~。団右衛門、【ダンジン】の詳細を決めようじゃないか?」
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