大砲と馬と 戦術と戦略の天才が帝国を翻弄する

高見信州翁

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第6章 反撃

5 関東平野侵攻

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    箱根要塞

    箱根要塞は今、軍勢で溢れかえっている。いよいよ皇国の反撃が始まった。

    護国省陸軍部は越後方面軍を東方方面軍に改組、東日本における全ての軍事行動の権限を集約した。石田大将は朝廷より征夷大将軍の称号を与えられた。

    東方方面軍は今、16万の大軍で小田原要塞を包囲しようとしている。鉄軌道も御殿場まで来ている。




    地形を見れば一目瞭然だが、箱根を押さえた時点で皇国軍の優位は揺るぎないものになっている。先にルシアに箱根を押さえられていたら、皇国軍は箱根を抜くのに苦労したことだろう。例え、御殿場を迂回したとしても箱根から軍がなだれ落ちて補給路を寸断することが出来る。

    なおかつ、素晴らしいことに見晴らしが良い。今、繁信は太閤殿下が小田原征伐の時に作られた一夜城跡に立っている。要塞の中が丸見えだった。

    太閤殿下の小田原征伐は征伐軍が箱根を抜いた時点で勝敗が決まっていたと言えるだろう。北条は死ぬ気で箱根を死守すべきだった。

    ともあれ、一夜城跡から小田原要塞まで何キロあるか、ご存知だろうか?

    答えは約3キロだ。

    ところで【治兵衛13】の射程距離を覚えておられるだろうか?

    5キロですね。素晴らしい!気球を上げる必要もないので、敵が対空砲を持って来ていても無駄である。ただ、新潟要塞を攻めるときはどうするのか、未だ結論は出ていない。ここで先のことを考えても仕方がない。

    今は小田原攻めに集中することにしよう。

    東方方面軍の保有大砲は1200門。包囲が完了するのを待って、攻撃開始予定だ。

    石田征夷大将軍も一緒にいる。参謀連も。周辺には山の上に砲を引き上げるために砲兵隊が四苦八苦している。大変だけども頑張ってくれ。千曲の戦いでも、その努力は報われたよね?

    それに座光寺牧場から大量の重種馬を買い付けている。砲兵隊にとっては体重と同じ重さの金と同等の価値がある。こいつ1頭で1.5トン運べる。



    お買い上げ、毎度有難うございます。座光寺家も弟の幸道が継いでいますが、牧場に精を出しています。ちょっとは儲けさせて上げなければいけないよね?

    石田大将が言う。

    「包囲完了はまだか?一気に小田原を抜き、関東に進出するぞ。」
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