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第6章 反撃

11 咄嗟(とっさ)遭遇戦 4

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午前9時

    皇国騎兵旅団1,500    広田少将が到着。

    「来たか!待ってたぞ。」

    真田中将はこの騎兵旅団を右翼に投入。

    ちょっと待て。左翼の平澤少将が大変だと言ってなかったか?左翼に投入しないのか?

    「広田少将、一緒に池田少将(第2師団)のところに行こう。」

    右翼を守る第2師団の司令部へ急行する。

    「池田少将、広田少将が援軍に来てくれた。右翼を連携して守ってくれ。敵は当方にも騎馬隊が到着したことをまだ知らない。もう少し隠れていてくれ。敵の騎馬隊はもう一度突撃をかけて来る。広田少将は、その時横合いから突っかかってくれ。」

    「了解しました。」



ルシア前衛騎馬師団フリアネン少将

    「再編出来たか?では突撃!」

    激戦を繰り広げる皇国第2師団の横合いから突っかかるつもりだ。

    大きく左から右に回り込む。

    「全軍~、とつげきにい~、うつれえええ~。」

    そのまさに突撃せんとするルシア騎馬隊の左から、突如騎馬隊が横腹を突いて来た。

    空中に浮かぶ無数の黒い点。出た!手投げ弾だ。

    ズガガガーン!

    たちまち崩れるルシア騎馬隊。

    真田繁信曰く。

    「手投げ弾は騎馬隊が使うのが一番有効だな。広田少将に渡して正解だった。」

    騎馬隊が崩れるのを見て、ルシア歩兵に動揺が走る。





    池田少将が怒鳴る。

    「第2師団~、今ぞ~、押せ~、押せ~、押せ~!」



ルシア関東派遣軍アガペーエフ大将

    「いかん、右翼の第2師団の半分を左翼に応援に行かせろ。」

    かくて第2師団先鋒4,500のうち2,000が左翼に移動すると、平澤師団への圧力が減った。

    なんと、結局真田信繁は皇国軍左翼・平澤少将の負担を減らして見せた。


皇国第3軍団司令部前田中将

    「戦術の妙と言うべきか。いいものを見せてもらった。」

    「右翼には敵の騎馬隊がおりました。騎馬隊の機動力に対抗出来るのは騎馬隊です。しかも劣勢ですので不意をつく必要がありました。騎馬隊が崩せれば、右翼は優勢になるとおもったのです。」

    「そうすれば焦った敵司令官は戦力を右から引き抜いて左に移すか。なるほど。」    

    



 戦場はますます混迷の度を増している。
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