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謝罪
しおりを挟む「僕、榊さんには感謝してるんです。確かに辛かったです。毎日自分に言い聞かせて、何も感じないように言い聞かせても行為は辛かったし、嫌だった。奥さんのいる前で言うことじゃないけれど、僕を抱いた人全員嫌いです。奥さんも子どももいるのにって。」
奥さんは泣いている。
「周さん、、ごめんなさい、主人が100%悪い。どんな罰も受けます。お金で解決できることではないけれど、いくらでも払います。許さなくていい。でも、謝らせてください。」
「周くん、本当に申し訳なかった。妻に怒られて、どれだけのことをしでかしたのか今は罪悪感でいっぱいだ。妻の意見と同様、許さないでくれ。死ぬまで償っていくつもりだ。私は君の心を傷つけた犯罪者だ。」
あのことが知られたら、僕はたくさんの人から責められると思っていた。なのに、謝ってくれている。
それに、
「榊さんに感謝してるって言ったでしょ?」
「恨まれることはしたが感謝されるようなことしていないよ。」
疑問しかないような目で僕を見る榊さん。人の目が嫌いだった。この人のことも、誰も彼も嫌いだった。
でも、今はこの人に感謝してる。
「僕、行為は大嫌いだしホテルの部屋に入るまで吐き気も止まらないし、だんだん涙も出なくなる自分も嫌だった。でも、仕事の日はお風呂に入れた。数時間ベッドで眠ることもできた。榊さんは唯一、必ず夕飯も朝ご飯も用意してくれた人。それで生きることができてた。僕にご飯くれてありがとうございました。口封じとか、罪悪感とかからくれただけかもしれない。ご飯くらいって思うかもしれないけれど、毎日お腹空かせて、今日、明日の食べ物が手に入るかも分からない状況だった僕にとって、あの食事が今日まで僕を生かしてくれてるんだ。だから感謝してるんです。」
そう言ってる途中に奥さんが泣き崩れてしまった。奥さんからしたら知らないところで旦那さんが10代の子供を抱いていて、そのせいでれおんのことも敵に回しちゃって、僕を恨んでもおかしくないのにこうして謝ってくれる。そんな人もいるんだな。
「っ、、すまなかった。本当に、すまなかっ、、た。細い体だったから、罪滅ぼしのように、食事を用意、してたんだ。そしたら、喜んで食べてて、なによりも、嬉しそうに、何一つ残さず、食べるから。だから、会う時は毎回、用意してた。あの家にそんな、事情があるなんて、気づいてやれなくてすまなかった、、私がしたことが1番謝りたいことだが、そのことも、謝らせてくれ、、」
「・・・周、俺は誰1人許す気もないし、取引すらしないつもり。でも、この人たちに関しては、周が決めていいよ。どうしたい?」
どうしたい、、か。
「・・・榊さんは、今はまだ無理だけど、いつかは感謝の方が大きくなるといいなって思ってるよ。」
「そっか。榊さん、奥さん、顔あげてください。南財閥は一旦取引を再開します。ですが、これは周の心の広さのおかげなことしっかり覚えておいてください。
俺も、パーティーで他の方が自分の身の心配をする中1番に周に謝りたいと言った夫人には感心させられました。」
最初は許されるような人間ではない。と取引の再開を拒否した2人だったが、僕とれおんで軽く説得し納得した。
榊さんと仕事するの楽しそうだな。
僕の中で昨日のパーティーから何か異物が取れたように心が軽いし、いろんなことに興味が湧く。
応援ありがとうございます!
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