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訪問者 れおんside
しおりを挟む「れおん様、榊様ご夫妻が周様にお会いしたいと訪ねてこられています。」
「・・・さすがに周に会わせられない。俺が行く。マンションの応接ルーム使わせてもらおう。コンシェルジュに許可とっといて。」
増田の家の奴らも恨めしいが、周を抱いてきた奴らだって俺は1人残らず潰したい。
だが、榊は他の奴らとは少し違うように感じていた。
昨日のパーティーで増田宗二の悪事をばらした直後、南家と繋がっていたい奴らはわかりやすく媚を売っていた。誰が加担していたか、誰が周を抱いたのか情報を持っていたからな。騙されたんだとか周が誘っただとか言ってきた奴もいた。
その奥さんたちも冷たい目をしていた。
だが、榊夫人は真っ青な顔で
「増田さんのとこの息子さんっていうのは剛さんのことですか?」
そう聞いてきた。違うと言うと、
「今その方がどこにいるかわかりますか?謝罪しなければいけません。取引を辞められても仕方ない。榊家が潰れても、路頭に迷うことになるのも仕方ない。でも、謝罪しないのは違う。一言謝りたいのです。」
そう言ってきた。
他の奴らとは会わないが、この人からは話を聞いてみようと思った。
問題は周にいうかどうかだ。
昔のことは思い出して欲しくない。
どうしたらいいだろうか。
いや、言おう。周のことなんだ。あいつ自身知っておく権利がある。
---コンコン
「はい?れおん?」
熱は下がったようでトトとココと遊んでいたようだ。
楽しんでいるところにこんな話をするのは悪いなと思いつつも昨日のことも全て話した。
「僕も会う。」
「・・・は?いや、お前の家族の次にクズなんだぞ?」
「僕のことだ。会わなきゃいけないと思うんだ。れおんにばっかり頼りたくない。対等でいたい。だめ?」
周は強い。それは前からわかっていたことだ。でも昨日今日でそれをもっと強く感じた。
「わかった。ただし、しんどくなったらすぐ引き上げるからな?お前が黙ってても俺がそう判断したらお前が拒否しても、強制終了する。それが条件だ。」
「わかった。」
そう言った周の目は真っ直ぐだった。
車椅子に乗せようと思ったのに歩いて行くというからまた困ったものだ。
周は結構頑固なところがある。
そこがまた可愛い。
「開けるぞ?夫婦揃ってるんだからな?怖かったら帰るか?」
「大丈夫だってば。・・・でも、そばにいてね。」
「もちろん。」
そうして扉を開ける。
夫婦2人揃って座らずに待っていたようだ。
周も入ってきたのを確認すると同時に、床に頭をつけ謝罪を始めた。
俺も周も驚きを隠せない。
上流階級の人間で土下座をする奴なんてほとんどいない。
しかも俺や周よりも一回りも二回りも年上の2人がだ。
唖然と立ち止まっている俺の横を周が通りすぎ、2人の前にしゃがみ込む。
「僕、榊さんには感謝してるんです。」
・・・何だって?
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