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後悔 鈴木ハルヒside
しおりを挟む僕は今、これまでの人生で1番なんじゃないかってぐらい自分の行動に後悔している。
増田周君、僕が貧乏人だと言われていた時に助けてくれた子。
家が貧乏で、弟が3人に妹が3人の7人兄弟だから初めは高校に行かずに働こうと思ったが、中学の担任の先生が特待制度のあるここを勧めてくれてここに通えている。だから、貧乏だと言われても否定できなかったし耐えることしかできないと思った。
青井翔くんの運命の番を奪ったとか言われてて、クラスでひどいいじめにあっている子。
この4日、こんなの間違ってるって思って増田くんに話しかけようとしたけれど、できなかった。
中学の頃のトラウマがフラッシュバックして、周りが怖くて何もできなかった。
そんな自分が嫌になりながら通った今週最後の金曜日、事は起こった。
増田くんが階段から落とされたんだ。僕は階段を降りたあとで、大きな音がして振り返ると増田くんが倒れていた。
転がり落ちた後体が痛いんだろう、なかなか起き上がれないでいる彼をみんなクスクスと笑っていて、気持ち悪く感じた。怪我をしている同じクラスのクラスメイトを笑うなんて、信じられない。
そう思っているのにみんなの流れに任せて移動教室まで来てしまった僕はなぜ彼を助けなかったんだって後悔している。
「じゃあ授業始めるぞ~、・・・・増田欠席か、珍しいな」
先生が増田くんの欠席を確認すると何人かがニヤニヤと目を合わせていた。
僕はこの人たちと同じだ。増田くんを傷つけた。いいのか?それで、いいのか?
嫌だ。こんな奴らと同じだなんて嫌だ。
---ガタンッ
「なんだ鈴木、急に立ち上がるな。」
「せ、先生、すいません、お腹が痛いので保健室に行きます!!!」
そう叫んだのと走り始めたのは同時だった。走って階段まで行くと彼は手すりに捕まりながら歩いていた。こんな痛々しい状態でも、必死に歩いていた。
でも、彼の頬には涙が流れていた。
ごめんなさい、こんなになるまで見て見ぬ振りしてごめんなさい。増田くんは僕を助けてくれたのに。ごめんなさい。
彼にハンカチを差し出して、保健室に行くと病院に行ったほうがいいとのことだった。頭打ってたら大変だもんな。なのに、増田くんは家に連絡されるのが嫌みたいだ。だけど、何かあったらきっと家族も心配するから僕は無理矢理先生に連絡しにいってもらった。彼と2人きりになって謝りたかったっていうのもある。
泣いてる彼にまた、ハンカチを差し出したのは僕なのに彼に謝るうちに涙を流した僕の方が増田くんに涙を拭いてもらっていた。
「鈴木くん、助けてくれてありがとう。」
そう言ってもらえて余計に涙が出た。
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