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心配
しおりを挟む僕のために泣いてくれたことが嬉しくて仕方なかった。
「泣き止んだ?」
そう聞くと、まだ目に涙を溜めているのに頷く鈴木くんが可愛くて仕方なく感じたんだ。
「もう大丈夫、、ありがとう。」
「・・・・・・」
「・・・・・・あの、さ。僕、増田くんのこと、守る!!」
・・・・なんて?
「守る?どういう、こと、、、?」
「僕がいじめから守る!!」
「ん?いや、だめだよ!!!鈴木くんまで何かされるかもしれないんだよ?」
「僕、自分がされて嫌なのに、自分が見て見ぬ振りする側に回る方が嫌だ。」
あ、、、。
それは以前僕が思ったことと同じだった。僕もそう思っていた。
真っ直ぐな目で僕と同じ意見を言ってくれる鈴木くんをもう否定できなかった。
「ぼ、僕も守る、、。僕も鈴木くん、守る。」
「じゃあ僕たち友達?」
「え、、?と、友達、、。うん、友達。」
正直少し怖い。初めてできた友達とこんな風になってしまっているから、またそうなってしまったらどうしようってそればかり考えてしまう。
「僕、友達できたの初めて!!!僕ね、昔から貧乏って言われてなかなか友達できなくてね、それにね、Ωだからね、それでも友達できなくてね、だから嬉しい。」
かわいい、、、。
無邪気にはしゃいで嬉しい嬉しいと言ってくれる鈴木くんが可愛くて仕方ない。
なにこの子、、小動物みたい。
「Ωなの?」
「・・・うん、そうなの。見えないでしょ?発情期もまだ来てないし、来る気配もないし、多分欠陥品なんだよ。」
ボサボサの髪やメガネがそう見せているだけで、メガネの奥の瞳はすごく綺麗な色してるけどな。
「僕も発情期が来たのは最近だよ?ね?僕みたいに遅い人もいるから気にしない方がいいよ。それに僕、今の番のこと好きになれたから発情期が来たみたいなもんだし、鈴木くんも好きなαとかできたら来るかもよ?」
「・・・うん、、、。」
ん?どうしたんだろう。なんかまずいこと言っちゃったのかな?
「僕、αに乱暴されかけたことあって、、、。それからαが怖いんだ。去年はαが怖くてなかなか学校にも来れなくて。今は教室にいるくらいは大丈夫になったけど、まだ怖くて。」
少し体が震えながら過去のことを話してくれた鈴木くんをぎゅっと抱きしめる。
「ごめんね、辛いこと話させてごめんね。」
「ううん。ちょっと乱暴されただけなのにトラウマになっちゃった僕が弱いだけだから。」
「違うよ。鈴木くんは悪くないんだよ。Ωは確かに弱い立場に見られるかもしれないけどね、僕たちだって好きに生きていいし、1人の人間だもん。これはね、僕の番が僕に教えてくれたんだよ。ね?こういう風に考えてるαもいるんだから、そいつらが悪かったんだよ。」
「・・・うん。ありがとう。」
「僕、鈴木くんのこと大好きになっちゃった。」
「僕も。」
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