【完結】全てが嫌いな不憫Ωの少年が初恋相手のスパダリαに愛される?ふざけんなお前のことなんか大っ嫌いだ!

にゃーつ

文字の大きさ
132 / 189
6

決着6

しおりを挟む

名前を呼ぶなと言われた翔くんは、やっとれおんが怒っていることを感じることができたのか少し震え始めた。

「・・なんで、なんで、、運命の番は幸せになれるんだ。なのに、なんで。」

「・・・運命の番は確かに実在する。だが、それはただ本能的に相性が良いだけだ。才能があっても好きになれないことがあるように、人の心は本能で操作することなんてできない。君がした行動は君が言う運命の相手のれおんの心を無視した行動だったんだ。」

お義父さんのその一言がトドメを刺したのか、そこから翔くんは何も言葉を発しなかった。書類を抱えその場を去った。

僕はどうしても最後に言いたいことがあって、れおんと繋いでいた手を離し翔くんを追いかけた。

「翔くん!!もう2度と会うことはないけど、翔くんが僕のこと最初から友達なんて思ってなかったとしても初めて会った日に話しかけてくれたこと本当に嬉しかった!!!友達なんていなかった僕にとっては誰がなんと言おうと初めての友達翔くんだから!!!ありがとう!!」

翔くんがこちらを振り返ることはなかったが立ち止まってくれていたからきっと聞こえてたはず。

きっと彼にも明るい未来が来ることを願う。

誰もが運命の番に憧れる。
翔くんだってその1人だ。現れた運命の番には既に番がいたと知った時の彼の気持ちは僕にはわからない。彼のしたことは許されることではないけれど、彼にあんな行動をさせてしまう運命の番というものは恐ろしく思える。

翔くんと過ごした日は僕にとって間違えなく楽しい日々だったから。だから、もう2度と会えなくても彼が僕の初めての友達であることに変わりはない。
れおんを傷つけたことを許すこともできないからこれが最後だ。

彼の背中が見えなくなるまでその場に立ち尽くした。いつのまにかれおんが隣に来ていて、僕が離した手をそっと握ってくれていた。



「・・・れおん、僕ね、実家にいた頃より辛いことなんてないと思ってたんだ。でも、自分が傷つけられる辛さと大切な人が傷つく辛さって違うんだね。トトやココが傷つけられた時も、今回れおんが傷ついた時も、自分が殴られた時より心が痛かった。」

「うん、俺は周が傷つくことが1番苦しい。今回は、自分自身が周を傷つけてしまったことが何より許せない。」

握っている手に力がこもる。
れおんは翔くんにも怒っているけど、何より自分に怒っている。僕がもう良いよと何度行ったってれおんが自分を許すことはなさそうだ。

だからこそ、僕はどんなことがあっても変わらずれおんのそばにいようってそう誓った。
しおりを挟む
感想 44

あなたにおすすめの小説

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。

陰キャな俺、人気者の幼馴染に溺愛されてます。

陽七 葵
BL
 主人公である佐倉 晴翔(さくら はると)は、顔がコンプレックスで、何をやらせてもダメダメな高校二年生。前髪で顔を隠し、目立たず平穏な高校ライフを望んでいる。  しかし、そんな晴翔の平穏な生活を脅かすのはこの男。幼馴染の葉山 蓮(はやま れん)。  蓮は、イケメンな上に人当たりも良く、勉強、スポーツ何でも出来る学校一の人気者。蓮と一緒にいれば、自ずと目立つ。  だから、晴翔は学校では極力蓮に近付きたくないのだが、避けているはずの蓮が晴翔にベッタリ構ってくる。  そして、ひょんなことから『恋人のフリ』を始める二人。  そこから物語は始まるのだが——。  実はこの二人、最初から両想いだったのにそれを拗らせまくり。蓮に新たな恋敵も現れ、蓮の執着心は過剰なモノへと変わっていく。  素直になれない主人公と人気者な幼馴染の恋の物語。どうぞお楽しみ下さい♪

流れる星、どうかお願い

ハル
BL
羽水 結弦(うすい ゆずる) オメガで高校中退の彼は国内の財閥の一つ、羽水本家の次男、羽水要と番になって約8年 高層マンションに住み、気兼ねなくスーパーで買い物をして好きな料理を食べられる。同じ性の人からすれば恵まれた生活をしている彼 そんな彼が夜、空を眺めて流れ星に祈る願いはただ一つ ”要が幸せになりますように” オメガバースの世界を舞台にしたアルファ×オメガ 王道な関係の二人が織りなすラブストーリーをお楽しみに! 一応、更新していきますが、修正が入ることは多いので ちょっと読みづらくなったら申し訳ないですが お付き合いください!

番解除した僕等の末路【完結済・短編】

藍生らぱん
BL
都市伝説だと思っていた「運命の番」に出逢った。 番になって数日後、「番解除」された事を悟った。 「番解除」されたΩは、二度と他のαと番になることができない。 けれど余命宣告を受けていた僕にとっては都合が良かった。

6回殺された第二王子がさらにループして報われるための話

さんかく
BL
何度も殺されては人生のやり直しをする第二王子がボロボロの状態で今までと大きく変わった7回目の人生を過ごす話 基本シリアス多めで第二王子(受け)が可哀想 からの周りに愛されまくってのハッピーエンド予定 (pixivにて同じ設定のちょっと違う話を公開中です「不憫受けがとことん愛される話」)

【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】

彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』 高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。 その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。 そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?

「オレの番は、いちばん近くて、いちばん遠いアルファだった」

星井 悠里
BL
大好きだった幼なじみのアルファは、皆の憧れだった。 ベータのオレは、王都に誘ってくれたその手を取れなかった。 番にはなれない未来が、ただ怖かった。隣に立ち続ける自信がなかった。 あれから二年。幼馴染の婚約の噂を聞いて胸が痛むことはあるけれど、 平凡だけどちゃんと働いて、それなりに楽しく生きていた。 そんなオレの体に、ふとした異変が起きはじめた。 ――何でいまさら。オメガだった、なんて。 オメガだったら、これからますます頑張ろうとしていた仕事も出来なくなる。 2年前のあの時だったら。あの手を取れたかもしれないのに。 どうして、いまさら。 すれ違った運命に、急展開で振り回される、Ωのお話。 ハピエン確定です。(全10話) 2025年 07月12日 ~2025年 07月21日 なろうさんで完結してます。

隣国のΩに婚約破棄をされたので、お望み通り侵略して差し上げよう。

下井理佐
BL
救いなし。序盤で受けが死にます。 文章がおかしな所があったので修正しました。 大国の第一王子・αのジスランは、小国の王子・Ωのルシエルと幼い頃から許嫁の関係だった。 ただの政略結婚の相手であるとルシエルに興味を持たないジスランであったが、婚約発表の社交界前夜、ルシエルから婚約破棄をするから受け入れてほしいと言われる。 理由を聞くジスランであったが、ルシエルはただ、 「必ず僕の国を滅ぼして」 それだけ言い、去っていった。 社交界当日、ルシエルは約束通り婚約破棄を皆の前で宣言する。

処理中です...