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決着6
しおりを挟む名前を呼ぶなと言われた翔くんは、やっとれおんが怒っていることを感じることができたのか少し震え始めた。
「・・なんで、なんで、、運命の番は幸せになれるんだ。なのに、なんで。」
「・・・運命の番は確かに実在する。だが、それはただ本能的に相性が良いだけだ。才能があっても好きになれないことがあるように、人の心は本能で操作することなんてできない。君がした行動は君が言う運命の相手のれおんの心を無視した行動だったんだ。」
お義父さんのその一言がトドメを刺したのか、そこから翔くんは何も言葉を発しなかった。書類を抱えその場を去った。
僕はどうしても最後に言いたいことがあって、れおんと繋いでいた手を離し翔くんを追いかけた。
「翔くん!!もう2度と会うことはないけど、翔くんが僕のこと最初から友達なんて思ってなかったとしても初めて会った日に話しかけてくれたこと本当に嬉しかった!!!友達なんていなかった僕にとっては誰がなんと言おうと初めての友達翔くんだから!!!ありがとう!!」
翔くんがこちらを振り返ることはなかったが立ち止まってくれていたからきっと聞こえてたはず。
きっと彼にも明るい未来が来ることを願う。
誰もが運命の番に憧れる。
翔くんだってその1人だ。現れた運命の番には既に番がいたと知った時の彼の気持ちは僕にはわからない。彼のしたことは許されることではないけれど、彼にあんな行動をさせてしまう運命の番というものは恐ろしく思える。
翔くんと過ごした日は僕にとって間違えなく楽しい日々だったから。だから、もう2度と会えなくても彼が僕の初めての友達であることに変わりはない。
れおんを傷つけたことを許すこともできないからこれが最後だ。
彼の背中が見えなくなるまでその場に立ち尽くした。いつのまにかれおんが隣に来ていて、僕が離した手をそっと握ってくれていた。
「・・・れおん、僕ね、実家にいた頃より辛いことなんてないと思ってたんだ。でも、自分が傷つけられる辛さと大切な人が傷つく辛さって違うんだね。トトやココが傷つけられた時も、今回れおんが傷ついた時も、自分が殴られた時より心が痛かった。」
「うん、俺は周が傷つくことが1番苦しい。今回は、自分自身が周を傷つけてしまったことが何より許せない。」
握っている手に力がこもる。
れおんは翔くんにも怒っているけど、何より自分に怒っている。僕がもう良いよと何度行ったってれおんが自分を許すことはなさそうだ。
だからこそ、僕はどんなことがあっても変わらずれおんのそばにいようってそう誓った。
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