【完結】全てが嫌いな不憫Ωの少年が初恋相手のスパダリαに愛される？ふざけんなお前のことなんか大っ嫌いだ！

8

電話

れおんが仕事に行ったあともなんだかだるくてずっとゴロゴロしていた。朝ごはん用意してくれてるのに、食べる気にならなくてまだ手をつけられてない。

すると、

---プルルルッ

ん？電話なってる。

手に取ってみるとハルヒからの電話だった。

「もしもし」

「もしもし周！自己採点した？」

「ううん、まだ。なんか、体調悪くてさ。」

「え！？大丈夫なの！！」

「うん、とりあえず。」

今日はれおんもいないし、橋本さんもお休みでいないから1人でちょっと寂しかったからハルヒの電話嬉しいや。

「熱は？」

「微熱が昨日から続いてて、あとはなんか気持ち悪いのと、だるい。」

「・・・」

「ハルヒ？」

急に電話で黙ってしまった。いつも明るく話すのが大好きなハルヒにしたら珍しいな。

「ねぇ、家には入らないから15分後に下まで降りて来られる？ゆっくりでいいから。」

「うん、、別に大丈夫だけど、、、。」

今でもこの家に他人を入れることはできない。れおんは呼んでいいよって言ってくれたけど、きっとまだ怖いだろうから。

15分後きっかりに姿を見せたハルヒの手にはドラッグストアの袋があった。

「お見舞いに来てくれたの？」

「これ、、」

手に持っていた袋を差し出した。お見舞い買ってくれたのかな？本当、優しいんだから。

やけに軽いから何かと思い中を見て、すぐさまハルヒの顔を見た。

「試してみた方がいい。周1人のことじゃないんだし。」

その可能性は全然考えてなかった。

袋の中身はΩ用妊娠検査薬

「僕は兄弟が多いからお母さんの妊娠も何度も見てるし、Ωだからってお母さんから色々教えてもらってた。周の今の症状は妊娠の初期症状と似てる。風邪かもしれないけど、検査しといた方がいいよ。」

ハルヒはただこれを買って渡してくれるためだけに来たようで、じゃっ！と言って帰って行った。

エレベーターで部屋に戻ってる間、静かな箱の中で僕1人の心臓がバクバクとうるさく鳴っていた。

可能性が頭によぎったらそのことで頭はいっぱいになった。

すぐにトイレに入り、袋の中身を開ける。使ったことはないから使い方を見ながら1人で検査をする。

結果が出るまでの数秒間、これまでで1番緊張したかもしれない瞬間だった。

うるさいくらいに心臓が鳴りながら恐る恐る見た検査薬には、陽性が示されていた。

「陽性、、ぇ、、、赤ちゃん、、？」

れおんとの、赤ちゃんが僕の中にいる。そう知った時のこの感情はなんだろう。この感情に名前なんてつけられない。

検査薬を両手でギュッと抱えながらトイレの中でただただ涙を流した。