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13 奏多side
しおりを挟むお通夜も告別式もたくさんの人が参列した。遊星はたくさんの人に愛されていた。そんな遊星を殺したのは僕だ。
あれからお母さんは家に帰ってきていない。少しの間おばあちゃんの家にいるんだってお父さんは言っていた。
夏休みが明けると、僕は寮に入ることになった。家から通える距離ではあるが、お父さんに寮に入りなさいと言われたからだ。
遊星を殺してしまった僕は何で生きているのか分からなかった。
お葬式の時、お母さんにどうして遊星が死んであなたが生きてるのと言われた。僕だってわからない。
そんな僕のこと神様は見ていた。神様はいたんだって思った。だって僕は心臓が悪くて移植しなければ死ぬんだもん。
遊星を殺された罪を償える時が来たんだ。ドナーが見つかったなんて嬉しくも何ともない。
でも、少しだけ。少しだけ心残りがあるのは、初めてできた好きな人が僕のことも好きって言ってくれたから恋人とのみたいなことしてみたかったなって思う。
あんなに幼い弟の命を奪っておいて僕がこんなこと望むのは間違っているけど。
小学2年生で寮に入って何度かは実家に帰らなくてはいけない日があった。その期間が苦しかった。あの家は遊星との思い出があるし、僕が遊星を殺してしまった場所でもあるから。
遊星が亡くなって3年経った頃僕には弟が産まれた。でも、一度しか会ったことはない。
「みちるに近づかせないで!!また殺される!!」
お母さんがお父さんにそう言っていたのを聞いた。もちろん、それを聞く前から近づくつもりなんてなかった。
もう、あんな思いしたくないから。
「寮に入っても、ヴァイオリンは続けられるんだぞ?」
そうは言われたけれど、人を殺した僕が、遊星から何もかも奪った僕が好きなことするなんて間違ってる。だからヴァイオリンもやめた。
学校行事や卒業式、中学校の入学式にも僕の家族は参加しなかった。そのことを周りからはかわいそうと言われたけど、そんなことないんだ。
当然の結果なんだよ。学校に通わせてもらえるだけでも奇跡なんだよ。お父さんもお母さんも僕のこと恨めしくて仕方ないはずだもん。
入院している間、早く発作が起きればいいのにって。そればかり願っていた。
発作が起きて、遊星の元へ行ければ幸せなのにって。
だからようやく僕の望んだ時が来たんだ。
「・・・ね?だから、ドナー断って欲しいんです。」
「・・・奏多、好きだよ。俺はどんなお前でも好き。」
「・・・な、に言ってるんですか、、?」
「こっち向いて?」
そう言われたから先生の方を向くと、だんだんと顔が近づいてきて気づいたら唇に温かいものが触れていた。
キ、ス、、されてる。
「ちょっと待ってて?」
「え?」
キスしたと思ったら待ってろと言って走ってどこかへ行ってしまった。
え、?なに?どういうこと?
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