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しおりを挟むそんな過去があったことを知らなかった。小さい頃にそんなことがあったならトラウマになるだろうし、自分を責めてしまったんだろう。
でも、人殺しなんかじゃない。無知だったんだ。事故だ。
まだお酒も飲めない年なんだぞ?そんな子が余命を待ち望んでた?病気がわかったのは中学の頃だと聞いた。その時も神様がいてくれたなんてありがたがるようなそんな思考になることが悲しくてしかたねえ。
---コンコンッ
「はい、どうぞ。」
「失礼します。急な訪問申し訳ありません。院長に話がありまして、緊急です。」
「ちょっとあなたアポ無しで来るなんて!」
俺が走って向かったのは院長室。院長に奥さん、秘書の上山さんがいた。
俺だけの力じゃ奏多君の考えを変えることはできないから、この人の力が必要。
だってこの人は、、
「お願いします!時間をください!」
「話してみてくれ。なんだい?」
奏多君は父親似だな、話し方が似ている。穏やかで優しいところも。
「息子さんのことです。ドナーが見つかりましたが本人は拒否しています。助かりたくないと言っています。亡くなった弟さんへの罪滅ぼしだと言っています。でも、彼の状態はいいとは言えません。手術をしなければもって2年です。俺や荒木先生だけでは説得ができないかもしれない。だからお願いします!!一緒に説得してください!」
こんなに必死に誰かに頼み事をしたことがあっただろうか。
奏多君のためなら誰にでも何度でも頭下げて頼むことができる。
「遊星は、あの子に命を奪われたのよ。あの子が罪滅ぼしというならその通りだわ。」
「・・・奏多は、生きたくないと言っているのか?」
「奏多くんは、病気になったことや余命宣告を受けてことを嬉しく思ったようなんです。まだ成人もしてないんですよ?病気になった時はまだまだ子どもだったはずです。そんな子が、、、っ、こんな悲しいことありますか?」
「か、奏多は病室にいるのか?」
「はい。病室にいます。」
「上山、今日から当分仕事休みにしてくれ。どうしてもなものは奏多の病室まで持ってきてくれ、私はあの子のところへ行かなければ。」
「あ、あなた!!私やみちるのこともしっかり考えて!!遊星のことも!!」
「遊星のことは事故だ!奏多は悪くない、、っ、事故なんだ。」
「でも!!!」
「当分家には帰らない、私は奏多のそばにいる。」
そういうと院長は俺がさっきここに来た時のように病院内を走り始めた。
俺も追いかけるが、かなり急いでいるんだろうどんどんスピードが上がっていった。
---バンッ
「奏多っ!!!」
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