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一話
しおりを挟むここはある神社、そんな所に一人の娘がいた。
ザッ…、ザッ…
「…ふう、疲れた。」
彼女の名前は御門千紗、ここの神社の一人娘だ。
この神社には彼女しかいない。
両親は事故で死に、兄は二年前から音信不通になってしまった。
だから、彼女がなんとかするしかなかった。
だが、この子もまだ高校生になったばかり、まだ本の子供なのだ。
「……ここの掃除、昔は楽しかったんだけどな…、今じゃ当たり前になっちゃった。」
ぽつりと、そんな言葉を残して庭掃除を終える。
(次は…)
着々と仕事をこなしていく彼女、その姿はまるで子供とは思えないほど頼もしかった。
だが、夜になると話は別だった。
「お父さん…、お母さん…、なんで…」
彼女は、事故のことを忘れることは出来ずにいた。
あれから十年もたっているのに、だ。
しかもこんなにも夜を怖がるのは理由があった。
両親が車の事故を起こしたのは夜で、彼女もその車に乗っていたのだ。
その車の中で見てしまった、人では無いものが見えてしまったのだ。
もちろん、そんな事がほかの人に信じてもらえる訳が無く、ただの衝突事故として片付けられた。
そして今日、5月16日は彼女の誕生日、そしてあの事故が起こった日でもある。
「…誕生日おめでとう、私…、プレゼント、何がいいかなぁ…」
彼女がこう言うのも、寂しさを紛らわせるためと、天国の両親に伝えるためである。
「そうだ…、私、プレゼントは家族にしよう、出来るだけ多い方が楽しそうだよね、…でも、叶わないだろうな…、変なこと言ってないでさっさと寝よ!…おやすみ、お父さん、お母さん、お兄ちゃん」
そう言って彼女は目をつぶった。
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