ロリコンの珍事情

tattsu君

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30話 母と娘と契約者

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  怜は今、リリス宅へと来ていた。
  勿論悪魔界です。怜の帰宅はまだもう少し先だ。

  非常に凝った装飾。
  金ばかりの成金仕様とは正反対。シンプルだが、置いてあるもの一つ一つの装飾は職人が目を見張るほどである。
  悪魔界だからなのか、部屋は黒いものが多い。

「リリス!どこへ行くんだ!?」
「決まってるでしょ!お母様の所よ!」

  先程まで気絶していたはずの怜は速すぎる展開についていけていない。

「お、お母様!?ちょっとまだ、そういうのは早いんじゃないかな!?そういうのはもっと時間をかけてからだろ!?」
「何を言おうともう遅いわ!だって、この扉の先がお母様のお部屋だもの!」

  時すでに遅し。 
  家(屋敷)の中で走っていく悪魔を止めることなど無理である。

  大きな扉。
  自分が先程いた部屋よりも明らかに広いのが分かる。

  状況の把握が追いついていない怜を置き去りにして、リリスはドアをノックして部屋へと入っていく。
  手を引かれる怜も戸惑いながらもその歩を進める。

「お母様!やっとお父様が怜のことを認めてくれたわ!」

  その扉の先には魔王の嫁というのが似合いそうな女性がいた。
  落ち着いた雰囲気があるのだが、氷のように冷たい目で怜を見つめている。

「そう、良かったわね、リリス」
「うん!」
「でも、まだまだ弱いわね。正直、娘をあげるにはまだ弱いわ」

  なにか、勘違いをしている。

「いや、あのですね!契約者として認められ・・・」
「私のかわいいかわいい娘を・・・!取ろうだなんて・・・!百年早いわッ!」

  怜の話など聞く気がないのだろう。
  リリス母、サティス。リリスやその姉サキュが同じ血を受け継いでいるのが一目でわかるほどに娘と瓜二つの顔をしており、それでいて2人とは違うオーラ、いや、妖艶さを感じさせる悪魔だ。
しかし、今は先ほどの冷たい目とは違う血走ったような見開いた目を向けてくる。

  怜の中でリリス母の印象が音を立てて崩れていく。
  初めに見た落ち着いていて、冷静でありながら大人のエロさを感じさせるような印象はどこかへ投げ捨てられたのだ。

「エアルも甘いのよ・・・。もっと優秀な騎士に育ててから連れてきなさいよ・・・。なんでこんなロリコンを」

「ロリコンだけど、ロリコンじゃないです」

「お母様!怜はお父様をダウンさせたのよ!?」

「俺はロリコンじゃないです」

「でもね、人間界には危険がいっぱいなのよ?それはもう危険なのよ?」

「ロリは好きですけど、手を出す真似はしません」

「大丈夫よ!私には怜がいるし!向こうの世界で友達だって出来たのよ!?」

「力強い瞳で見守り、ダイヤモンドハートで欲望をすり潰してます」

「人間には特殊な性癖持ちが多いの!あなたは可愛いから攫われちゃうかもしれないのよ?」

「欲に負けて手を出す輩は真のロリ好きではありません。俺は認めない」

「人間如き、私ひとりでも殺せるわ!」

「確かにSMが苦手なロリマニアもいるが、大体はロリにされることなら全てが愛おしく感じるだろう」

「悪魔に属するあなたがそんなことをしたら戦争にどれだけ影響がでるのかはわかっているでましょう?」

「しかし、決して手は出さない。見守ることが重要。成長を見ることこそ至高!」

「そ、それはそうだけど…。でも、お母様!私は戦争に貢献したいの!怜と一緒に強くなって悪魔界に住むみんなの役に立ちたいのよ!」

「ロリを見てあれが大きくなったら、そう考えるやつはまだまだ神域には達していない。ロリコンならば、その子の全てを愛してあげるべきだ。なにせ、人は成長せしもの。それを業として見届けるのもロリコンの役目なんだ!!」

「・・・リリスの決意は分かったわ。あなたがそこまで言うなら許可します。」

「俺はロリコンであり、ロリコンではない。欲に溺れたロリ信仰者がロリコンだと言うならば、俺はロリコンではなく、タダの街の人間だ。だが、見る、守ることに主観を置いたロリ信仰者がロリコンだと言うならば、俺は喜んでその称号を受け取ろう!!!」

「本当!?お母様!ありがとぉ!」

  リリスは言い争いの末、勝利をもぎ取り、サティスに抱きついた。
  サティスも優しい顔でリリスの頭を撫でている。感情豊かな女性である。

  幸せそうな家族の一シーンなのだが・・・。その空気をぶち壊す男が1人。

「ふっ、世を信じて宣言しよう…俺はロリコンだ!!!!」

  この男は自分の好きなことを語り出すと、止まらなくなり、やらかすのだ。・・・こういう者のことを本当の馬鹿というのだろう。シチュエーション・ブレイカー。

  リリスとサティスは急に叫んだ怜を抱き合ったまま、冷ややかな目で見る。
  先程から一人でブツブツ呟いていたのは知っていたが、まさかそれを大声で言い放つとはおもっていなかったのだろう。なかなかの衝撃だったようだ。

「リリス・・・本当にあの男について行くの・・・?」
「・・・少しだけ自分がしんじられなくなってきたわ、お母様。」

  どんびきである。
  淫魔族の母と娘はそのジト目を怜に向けているが、怜は気にしない。さすがはダイヤモンドハートだ。自分に対する批判を受けつけない状態。それが怜のダイヤモンドのロリコンハートなのだ。

  そして、そんな怜の頭を少し嫌そうな顔でリリスがはたく。
  ペちん。可愛い音をたてると、怜は勢いよく吹き飛んで行きその先にあった壁に勢いよくぶつかる。音と現実が全く一致してない…。

「はっ!?俺は一体何を・・・」

 そして、この男も現実と発言が一致してない。それだけ自分の世界観に入り込んでいた証拠だ…。
  ちなみにだが、リリスは女性、かつ子供ではあるが淫魔族という悪魔の一族。それも、武帝エアルの血を継ぐ者。その腕力は並大抵ではない。
  悪魔界で肉体改造を行っていなければ、怜は死んでいただろう。ザクロになって。

「起きた?」
「り、リリス。俺は一体・・・」
「思い出さなくていいわ、面倒くさいから」

  リリスもサティスも目を見て会話はしない。
  ヤバイ男と目を見て会話をすると妊娠するとある過保護な悪魔が言っていたからだ。キン肉○ンである。

  その後はあたりさわりなく挨拶を済ませ、怜とリリスはサティスの部屋を出た。

「いや~初めは怖い人かと思ったけど、優しそうな人でよかったな」
「お母様は凄く心配性なのよ。お姉様の時もこんな感じだったそうよ?」

  リリスは気づいていない。
  いや、怜が本気で隠そうと思っていたので、気づけないのは仕方が無い。今の怜の胸の高鳴りを。

(・・・新しい感覚だった・・・)

  いつも共にいる幼女と色気ある大人の女性から冷たい視線を向けられ、新たな性癖に密かに目覚めていたことに。

  怜は精神、肉体ともに日々強くなっていく。だが、それと同時に彼は新境地へと突っ走っている。
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