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14 旧友との再会
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ガルシアは偵察に行った仲間が戻ってこないことが 頻発していることを不審に思い。
その場所に建っている家のことを調べることにした。 誰一人戻って来ないなど 異常だ。
久しぶりに街を歩きながら 知らぬ間に月日が流れている事を感じる。 昔は三歩先も 見えないほど闇が深かった。 だが今は、鎧戸の隙間から 家の灯りが漏れ、夜だというのに人影がある。
自分から進んでバンパイアに なりたいと言った。 後悔は無いが・・。
指定されたパブに入ると、既に 人間の協力者が来ていた。
生ぬるいエールを飲みながら 報告を聞く。
美味しくは無いが懐かしい味だ。
「あの家はザイラスという男が住んです。 他に使用人の女が二人」
ザイラスという名に聞き覚えがある。
誰に聞いたんだろう? 思い出そうと眉間に皺を寄せる。
「流れ者らしく 詳しいことを知っている者はいませんでした」
「 使用人の方は?」
「 そっちも同じで雇われたのは10日ぐらい前なんで情報がありません。判ってるのは名前だけです」
「 何と言う?」
「娘の方がオリビア。中年の女の方がビジュです」
「・・・」
情報が、なさすぎて判断に困る。 それに、流れ者というのも気になる。
犯罪者で逃げ回っているのか? それとも、ただ旅行しているだけか?・・ 旅行?
そうだ。メローネ様から聞いたんだ。
世界中 旅してる男がいると。
あまりに昔で忘れていた。
*****
ザイラスがバンパイアに協力を求めると知って 断固反対する。 一人で戦うのが大変なのは 百も承知している。 でも、だからと言っても危険すぎる。
「 絶対駄目です。バンパイアは駄目です」
バンパイアに とって人間は 餌だ。
その餌に バンパイアが味方するなど、あり得ない。
「オリビア、心配無い」
「 いいえ、これだけは譲れません」
ザイラスが私の肩に手を置く。しかし、オリビアは その手を払いのける。
下手に情けをかけたら、逆恨みした相手が復讐しに来るかもしれない。
それなのに見逃すなんて。何を考えてるの?
オリビアは不満げに その理由を聞く。
「 どうして止めをささなかったんですか?」
「 強いからだ」
「なっ!・・」
ザイラスの答えに絶句する。
強いから見逃した?そんなのおかしい。
意味不明。 あり得ない。
「男は戦いの中で拳を交えて、初めて相手を理解出来るんだ」
「・・・」
全く、理解できないとオリビアは首を横に振る。私には分からない世界だ。
「 男は拳で語り合うんだよ」
ポポが、そう言って目の前に肉球を突き出してポーズを決める。オリビアは、そんなポポに冷めた視線を向ける。
「オリビア。大丈夫だ」
ザイラスが 私を安心させようと言うが無理なことだ。
「 大丈夫じゃありません。だって、バンパイアですよ」
オリビアはザイラスの手を包み込むと その瞳を見つめる。
(どうか 私の言う事を聞いて)
二人とも無謀なことをしようとしている。私なんかの為に命を無駄にして欲しくない。
しかし、ザイラスが手を引き抜くと 逆に私の手の上から包み込む。
「 オリビア、心配無い。バンパイアになりたくて、なった者もいるが 、大概の者が勝手にバンパイにされたんだ。 その事実を受け入れ者もいれば、 あがらう者もいる。 ジョルノは後者で、バンパイアを憎んでいる」
「・・・」
言いたいことは分かるけど・・。信じるには・・。
もし裏切ったら?そう考えると安心できない。
だからといって頭ごなしに反対しては 何も解決しない。
「 どうして、確信できるんですか?」
「 オリビア。こんなこと言うのも変だが、あいつには正義の心がある。だから、信用して私に任せて欲しい」
「・・・」
そこまで言うのだから、これ以上私がとやかく言えることではない。
「・・ザイラスが信じるなら、私も信じます」
オリビアは分かったと頷く。
人間を襲うかもしれない相手を信じるなど出来ない。
でも、ザイラスを信じることは出来る。
明日の予定を話し始めた二人を見ながら、以前は同じ日の繰り返しだったのに城を出てからは、めまぐるしい変化に戸惑うばかり。
それでも、初めて街へ行ける事に嬉しさを噛み締め。
**
オリビアは窓ガラスに両手をつけて、どんどん変わる景色に夢中になる。
森を抜けると、のどかな牧草地帯が広がり、民家がポツポツと見え始める。 小麦畑を過ぎると集落が増え、街の中心に向かっていくにつれて賑やかになっていく。
道幅が広がると、すれ違う馬車の 数も多くなり、人々が せかせかと歩いている。
いろんな店が立ち並び。
美味しそうな匂いが馬車の中まで漂ってくる。
「あれが、靴屋さん。あそこが、宿屋」
花や果物を売っている露店もある。
話で聞いただけの物が目の前にある。なんだか不思議だ。物語の中に迷い込んだ気分になる。
何一つ見逃すまいと 目を皿のようにしていると 向かいに座っているザイラスが声をかけてくる。
「 なんだ。町は初めてか?」
「はい。生まれて初めてです」
念願の街へ来られて、ワクワクが止まらない。
昔、街に連れて行って ほしいと何度も せがんだが、 みんな困った顔をするだけで、誰も連れて行ってくれなかった 。
初めて城の外に出た時も街に行く途中で、あんな事になってしまったし・・。
「王女なんだ。勝手に出歩けるはずないだろう」
「・・・」
ポポが 私のことを王女扱いするたびに 胸の奥がチクリと痛む。
(ポポが言うような訳じゃないんだけど・・)
「では、色々見て回るか?」
「本当ですか!・・でも、御用があります」
喜んだが、すぐに目的を思い出す。
ザイラスの申し出は、とっても嬉しいけど・・。
街へ来たのは遊びじゃない。助っ人を頼むためだ。
こんなところで子供みたいに、わがまま言っては いけない。 街へ来られただけでも良しとしようと、 諦めかけた時ザイラスが解決策を言う。
「 それなら。用件が終わってから見て回ろう」
「いいんですか?」
「ああ」
念を押して聞くとザイラスが頷く。
(やった!)
珍しく希望を言うオリビアにサイラスは目を細める 。なんでも、してあげたいのに 遠慮ばかりするオリビアが ザイラスには物足りなかった。
男は女の我が儘を叶えて、なんぼという気持ちが ある。
甘やかす口実が見つかりニンマリと笑う。
(さて、何を買ったら喜ぶかな?)
****
「ここだ」
そう言われてオリビアは目を丸くする。
蔦の絡まる鉄の柵の向こうに石造りの立派な屋敷が建っている。その先の庭には、花が咲き乱れ 小鳥つがさえずっている。手入れが行き届いていて太陽の光が降り注いでいる。
とても、バンパイアが住んでるとは 思えない。
もし、私が家を持つなら こんな庭にしたい。
一目で貴族の屋敷だとわかる。
( 貴族のバンパイア?この場合は貴族の家に住んでいるバンパイアが正解?)
しかも、街のど真ん中。
バンパイアに会いに行くんだから、もっと暗くて、ジメジメした人目につかない場所だと決めつけていた。
イメージでは棺桶で寝てる時間なのに起きているのだろうか?
馬車を降りようとステップに足を乗せると ザイラスが私の腰を掴んで外に連れ出すと、何時もの様にお姫様抱っこされる。
ザイラスの 首に腕を回しながら、すっかりザイラスに甘えていると 気付く。
(このままの日々が続けば良いのに・・)
「本当に、ここに、その協力者が住んでいるんですか?」
「そうだ」
「では、貴族の方なんですか?」
「ああ、元貴族だ。 家は既に没落している」
なるほど、それなら納得できる。
呼び鈴を鳴らさずにザイラスが私を抱き抱えたまま肩で門を開ける 。
「勝手に入っていいんですか?」
これぐらい大きければ使用人も多いと思うのだが?誰も出てこない。
「 この家には二人しか住んでいない。だから、待っていたら いつまでたっても入れない」
「二人?こんな大きな家を二人で管理してるんですか?」
「そういうことだ 」
二人・・。一人は協力者として、もう一人はバンパイア?それとも手下の人間? もう一人は誰だろうと考えているうちに玄関ホールに着く。
ノッカーを打つのかと思っていると、ポポがドアを開けて入っていく。
「 えっ、いいんですか?待った方が」
家の外は、ともかく家の中はさすがに 拙いのでは?
「平気だ」
それだけ言うとザイラスも その後に続くので、必然的に私も不法侵入になった。
確かに、本当に二人しか住んでいるなら、私たちを出迎えるのに時間かかるだろう。 もしかしたら私たちが来たことさえ 気づかないかもしれない 。でも、やはり相手の都合というものがあると思う 。見知らぬ人が家に入ってきたら私だったら良い気はしない。
でも、もうすでに家の中。 オリビアは。小さく嘆息する。 ここまで来たら仕方ない。
怒られたらザイラスたちが何とかしてくれるだろうと覚悟を決める。
庭同様 家の中も整理整頓されていて塵一つ落ちていないことに驚く。
オリビアは興味津々で辺りを見回す。
すごい。よほど優秀か、ザイラスみたいに魔法使ってるに違いない。
ザイラスが 立ち止まる。
どうしたのかと、その視線の先を辿ると薄茶の髪を綺麗に見上げた20代初めの 美しい女の人が降りてきた。
顔色を見るからに人間のようだ。脅されているような感じはしない。
私たちを見て驚く。
大変だ、挨拶をしなくちゃ。
ザイラスの腕の中で降りようと慌てふためく。
やっぱり黙って入った行けなかったんだ。
「早く降ろしてください」
ところが、ザイラスにガッチリ抑え込まれておりれない。
仕方なく取り繕うように ザイラスに抱っこされたまま挨拶する。
「こっ、 こんにちは。 開いていたので」
「 いらっしゃいませ」
平静さを取り戻した 女性が挨拶する。
オリビアは 降ろしてくれないザイラスの腕を叩くと耳元で頼む。
『 降ろして下さい。失礼になります』
「 ジョルノは起きてるか?」
「はい」
しかし、私を無視して話が進んでいるし、女の人も私のことを気にする様子も無い。
( 何も言わないところを見ると 変じゃないのかな?)
「 相変わらず本の虫か」
「そうです」
ザイラスが呆れたように言うと 女性の表情が一変して 嬉しそうな顔になる。
「こちらに どうぞ」
女性が案内しようと降りて来た階段を登り始めると ザイラスが止める。
「 そうか、なら案内はいならない」
「・・ かしこまりました」
女性が口を開きかけたが一礼して立ち去っていく。
オリビアは女性の後ろ姿を見送りながら考え込む。
使用人にしては上等な服を着ている。
奥さんにしては態度が変だ。
協力者とはどういう関係なんだろう?
何の迷いもなくポポを先頭に進んでいく。
来たことがあるんだ。 それなら相当仲がいいのかも。 ここに来てやっと安心出来た。
階段を登って2階に上がる。長い廊下を何回か曲がると突然大量の本が行く手を阻む。
***
ドアが開いて中が見える。書斎という図書館のようだ。 そう思っていると奥から、のそりと金髪の長身の男の人が立ち上がる。
たくさんのロウソクの火に照らされているその姿は人形のような無機質な美しさがある。
この人が協力者?
今まで見たバンパイアと明らかに雰囲気が違う。
城では見たことがないタイプの人だ。
貴族でも騎士でも まして商人でも使用人でも無い。
独特な雰囲気がある。 こちらに向かって歩いてくるが、とても機嫌が悪そうだ。
夜に出直した方が良いのでは?
「久しぶりだな、元気にしていたか?」
ザイラスが 気にすること無く気軽に挨拶をするので オリビアは会釈だけしてごまかす。
私はそんなに神経が図太くない 。
ジョルノが 途中で立ち止まると
「 勝手に入ってくるな!」
そう言って本を投げてよこす。
その場所に建っている家のことを調べることにした。 誰一人戻って来ないなど 異常だ。
久しぶりに街を歩きながら 知らぬ間に月日が流れている事を感じる。 昔は三歩先も 見えないほど闇が深かった。 だが今は、鎧戸の隙間から 家の灯りが漏れ、夜だというのに人影がある。
自分から進んでバンパイアに なりたいと言った。 後悔は無いが・・。
指定されたパブに入ると、既に 人間の協力者が来ていた。
生ぬるいエールを飲みながら 報告を聞く。
美味しくは無いが懐かしい味だ。
「あの家はザイラスという男が住んです。 他に使用人の女が二人」
ザイラスという名に聞き覚えがある。
誰に聞いたんだろう? 思い出そうと眉間に皺を寄せる。
「流れ者らしく 詳しいことを知っている者はいませんでした」
「 使用人の方は?」
「 そっちも同じで雇われたのは10日ぐらい前なんで情報がありません。判ってるのは名前だけです」
「 何と言う?」
「娘の方がオリビア。中年の女の方がビジュです」
「・・・」
情報が、なさすぎて判断に困る。 それに、流れ者というのも気になる。
犯罪者で逃げ回っているのか? それとも、ただ旅行しているだけか?・・ 旅行?
そうだ。メローネ様から聞いたんだ。
世界中 旅してる男がいると。
あまりに昔で忘れていた。
*****
ザイラスがバンパイアに協力を求めると知って 断固反対する。 一人で戦うのが大変なのは 百も承知している。 でも、だからと言っても危険すぎる。
「 絶対駄目です。バンパイアは駄目です」
バンパイアに とって人間は 餌だ。
その餌に バンパイアが味方するなど、あり得ない。
「オリビア、心配無い」
「 いいえ、これだけは譲れません」
ザイラスが私の肩に手を置く。しかし、オリビアは その手を払いのける。
下手に情けをかけたら、逆恨みした相手が復讐しに来るかもしれない。
それなのに見逃すなんて。何を考えてるの?
オリビアは不満げに その理由を聞く。
「 どうして止めをささなかったんですか?」
「 強いからだ」
「なっ!・・」
ザイラスの答えに絶句する。
強いから見逃した?そんなのおかしい。
意味不明。 あり得ない。
「男は戦いの中で拳を交えて、初めて相手を理解出来るんだ」
「・・・」
全く、理解できないとオリビアは首を横に振る。私には分からない世界だ。
「 男は拳で語り合うんだよ」
ポポが、そう言って目の前に肉球を突き出してポーズを決める。オリビアは、そんなポポに冷めた視線を向ける。
「オリビア。大丈夫だ」
ザイラスが 私を安心させようと言うが無理なことだ。
「 大丈夫じゃありません。だって、バンパイアですよ」
オリビアはザイラスの手を包み込むと その瞳を見つめる。
(どうか 私の言う事を聞いて)
二人とも無謀なことをしようとしている。私なんかの為に命を無駄にして欲しくない。
しかし、ザイラスが手を引き抜くと 逆に私の手の上から包み込む。
「 オリビア、心配無い。バンパイアになりたくて、なった者もいるが 、大概の者が勝手にバンパイにされたんだ。 その事実を受け入れ者もいれば、 あがらう者もいる。 ジョルノは後者で、バンパイアを憎んでいる」
「・・・」
言いたいことは分かるけど・・。信じるには・・。
もし裏切ったら?そう考えると安心できない。
だからといって頭ごなしに反対しては 何も解決しない。
「 どうして、確信できるんですか?」
「 オリビア。こんなこと言うのも変だが、あいつには正義の心がある。だから、信用して私に任せて欲しい」
「・・・」
そこまで言うのだから、これ以上私がとやかく言えることではない。
「・・ザイラスが信じるなら、私も信じます」
オリビアは分かったと頷く。
人間を襲うかもしれない相手を信じるなど出来ない。
でも、ザイラスを信じることは出来る。
明日の予定を話し始めた二人を見ながら、以前は同じ日の繰り返しだったのに城を出てからは、めまぐるしい変化に戸惑うばかり。
それでも、初めて街へ行ける事に嬉しさを噛み締め。
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オリビアは窓ガラスに両手をつけて、どんどん変わる景色に夢中になる。
森を抜けると、のどかな牧草地帯が広がり、民家がポツポツと見え始める。 小麦畑を過ぎると集落が増え、街の中心に向かっていくにつれて賑やかになっていく。
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いろんな店が立ち並び。
美味しそうな匂いが馬車の中まで漂ってくる。
「あれが、靴屋さん。あそこが、宿屋」
花や果物を売っている露店もある。
話で聞いただけの物が目の前にある。なんだか不思議だ。物語の中に迷い込んだ気分になる。
何一つ見逃すまいと 目を皿のようにしていると 向かいに座っているザイラスが声をかけてくる。
「 なんだ。町は初めてか?」
「はい。生まれて初めてです」
念願の街へ来られて、ワクワクが止まらない。
昔、街に連れて行って ほしいと何度も せがんだが、 みんな困った顔をするだけで、誰も連れて行ってくれなかった 。
初めて城の外に出た時も街に行く途中で、あんな事になってしまったし・・。
「王女なんだ。勝手に出歩けるはずないだろう」
「・・・」
ポポが 私のことを王女扱いするたびに 胸の奥がチクリと痛む。
(ポポが言うような訳じゃないんだけど・・)
「では、色々見て回るか?」
「本当ですか!・・でも、御用があります」
喜んだが、すぐに目的を思い出す。
ザイラスの申し出は、とっても嬉しいけど・・。
街へ来たのは遊びじゃない。助っ人を頼むためだ。
こんなところで子供みたいに、わがまま言っては いけない。 街へ来られただけでも良しとしようと、 諦めかけた時ザイラスが解決策を言う。
「 それなら。用件が終わってから見て回ろう」
「いいんですか?」
「ああ」
念を押して聞くとザイラスが頷く。
(やった!)
珍しく希望を言うオリビアにサイラスは目を細める 。なんでも、してあげたいのに 遠慮ばかりするオリビアが ザイラスには物足りなかった。
男は女の我が儘を叶えて、なんぼという気持ちが ある。
甘やかす口実が見つかりニンマリと笑う。
(さて、何を買ったら喜ぶかな?)
****
「ここだ」
そう言われてオリビアは目を丸くする。
蔦の絡まる鉄の柵の向こうに石造りの立派な屋敷が建っている。その先の庭には、花が咲き乱れ 小鳥つがさえずっている。手入れが行き届いていて太陽の光が降り注いでいる。
とても、バンパイアが住んでるとは 思えない。
もし、私が家を持つなら こんな庭にしたい。
一目で貴族の屋敷だとわかる。
( 貴族のバンパイア?この場合は貴族の家に住んでいるバンパイアが正解?)
しかも、街のど真ん中。
バンパイアに会いに行くんだから、もっと暗くて、ジメジメした人目につかない場所だと決めつけていた。
イメージでは棺桶で寝てる時間なのに起きているのだろうか?
馬車を降りようとステップに足を乗せると ザイラスが私の腰を掴んで外に連れ出すと、何時もの様にお姫様抱っこされる。
ザイラスの 首に腕を回しながら、すっかりザイラスに甘えていると 気付く。
(このままの日々が続けば良いのに・・)
「本当に、ここに、その協力者が住んでいるんですか?」
「そうだ」
「では、貴族の方なんですか?」
「ああ、元貴族だ。 家は既に没落している」
なるほど、それなら納得できる。
呼び鈴を鳴らさずにザイラスが私を抱き抱えたまま肩で門を開ける 。
「勝手に入っていいんですか?」
これぐらい大きければ使用人も多いと思うのだが?誰も出てこない。
「 この家には二人しか住んでいない。だから、待っていたら いつまでたっても入れない」
「二人?こんな大きな家を二人で管理してるんですか?」
「そういうことだ 」
二人・・。一人は協力者として、もう一人はバンパイア?それとも手下の人間? もう一人は誰だろうと考えているうちに玄関ホールに着く。
ノッカーを打つのかと思っていると、ポポがドアを開けて入っていく。
「 えっ、いいんですか?待った方が」
家の外は、ともかく家の中はさすがに 拙いのでは?
「平気だ」
それだけ言うとザイラスも その後に続くので、必然的に私も不法侵入になった。
確かに、本当に二人しか住んでいるなら、私たちを出迎えるのに時間かかるだろう。 もしかしたら私たちが来たことさえ 気づかないかもしれない 。でも、やはり相手の都合というものがあると思う 。見知らぬ人が家に入ってきたら私だったら良い気はしない。
でも、もうすでに家の中。 オリビアは。小さく嘆息する。 ここまで来たら仕方ない。
怒られたらザイラスたちが何とかしてくれるだろうと覚悟を決める。
庭同様 家の中も整理整頓されていて塵一つ落ちていないことに驚く。
オリビアは興味津々で辺りを見回す。
すごい。よほど優秀か、ザイラスみたいに魔法使ってるに違いない。
ザイラスが 立ち止まる。
どうしたのかと、その視線の先を辿ると薄茶の髪を綺麗に見上げた20代初めの 美しい女の人が降りてきた。
顔色を見るからに人間のようだ。脅されているような感じはしない。
私たちを見て驚く。
大変だ、挨拶をしなくちゃ。
ザイラスの腕の中で降りようと慌てふためく。
やっぱり黙って入った行けなかったんだ。
「早く降ろしてください」
ところが、ザイラスにガッチリ抑え込まれておりれない。
仕方なく取り繕うように ザイラスに抱っこされたまま挨拶する。
「こっ、 こんにちは。 開いていたので」
「 いらっしゃいませ」
平静さを取り戻した 女性が挨拶する。
オリビアは 降ろしてくれないザイラスの腕を叩くと耳元で頼む。
『 降ろして下さい。失礼になります』
「 ジョルノは起きてるか?」
「はい」
しかし、私を無視して話が進んでいるし、女の人も私のことを気にする様子も無い。
( 何も言わないところを見ると 変じゃないのかな?)
「 相変わらず本の虫か」
「そうです」
ザイラスが呆れたように言うと 女性の表情が一変して 嬉しそうな顔になる。
「こちらに どうぞ」
女性が案内しようと降りて来た階段を登り始めると ザイラスが止める。
「 そうか、なら案内はいならない」
「・・ かしこまりました」
女性が口を開きかけたが一礼して立ち去っていく。
オリビアは女性の後ろ姿を見送りながら考え込む。
使用人にしては上等な服を着ている。
奥さんにしては態度が変だ。
協力者とはどういう関係なんだろう?
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来たことがあるんだ。 それなら相当仲がいいのかも。 ここに来てやっと安心出来た。
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この人が協力者?
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城では見たことがないタイプの人だ。
貴族でも騎士でも まして商人でも使用人でも無い。
独特な雰囲気がある。 こちらに向かって歩いてくるが、とても機嫌が悪そうだ。
夜に出直した方が良いのでは?
「久しぶりだな、元気にしていたか?」
ザイラスが 気にすること無く気軽に挨拶をするので オリビアは会釈だけしてごまかす。
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