お人好しアンデッドとフローラの旅は道連れ世は情け。骨まで愛してる。

あべ鈴峰

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アンデッドの解放

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罠にかかり囚われの身となっていたジャックだったが、フローラとリンダの協力で助けられる。

ジャックは、リンダと一緒に父親探しに付き合っているフローラを見てまるで女神のようだと、その存在を奇跡だと思っていた。
今まで、俺の人生に、こんなことなど、無かった。何時だって運命は、俺に厳しい。
俺が、こんな幸運に恵まれるたのはフローラのおかげだな。この恩は何倍にでもして返す。

そんなフローラは、見ながら、きっとリンダの父親だけではなく、皆を助け出したいと言い出すだろう。
自分と同じように、家族がバラバラになっているんだ。見逃す事なんて無理な事だ。
ジャック自信も自分だけ助かれば良いとは考えていなかった。
リンダの父親だけを助けるのではなく。同胞全員を助けたいと考えていた。

ジャックは棚に積まれている同胞たちを見上げる。どういう理由で集められているか知らないが数の多さに驚く。

俺が捕まっていたのは半日だったが、それでも絶望に突き落とされた。それが、他の者は少なくとも数ヶ月、長いものでは数年は囚われている。
アンデッドは人間のように死なない。
つまりそれは絶望も永遠。
だったら1日でも早く家族の元に返してあげたい。
ここにいる全員を助けるなど無理なことだ。ちょっと前の自分ならそう思っていた。でも私には女神がいる。

しかし、助けると言ってもフローラとリンダの3人だけ。全員同時に助けたいが、どうしたものか唸る。
本気て助けるなら計画をちゃんと練らないと。

分けて救出したら残った者たちを見殺しにすることも当然だ。
逃げられたことへの報復。復讐しに来るかもしれないとの恐怖。人間たちは自分のためならどんな残酷なことでもする。

たが我々が一斉に動き出したら気配や音で人間に気づかれる。
体を元に戻すだけでなく。村から脱出するとなると緻密に作戦を練らないと。
（足音なくす方法があれば、いいんだか・・）

ジャックは窓から入る日の光の角度を見る。もうすぐ夕方になる。時間もないことだしまずは自分より情報知っている2人に話を聞く事しよう。
「フローラ。リンダ。二人は他の物の体がどこにあるか知ってるかい？」
「知ってます。ねっ」
「うん！」

同意を求めるようにフローラがリンダの顔を見ると元気よくリンダが返事を返ってきた。二人とも今日村に来たばかりなのに、もう事情知っているのか？
驚いて二人を見ると余裕の表情している。二人のその顔を見てそういえば、どうやってここを探し当てたか聞いていなかった事を思い出す。
「・・・」
しかし、聞くのが怖い。

ジャックはリンダが書いてくれた地図を見ながら胴体がある倉庫までの最短ルートを考える。頭と胴体が別々に保管されてるだろうということはなんとなく予想していたが・・問題は、思ったより胴体が保管されている倉庫が人間たちの住居に近い。
頭全部を連れていくのは一目をひく。やはり、数を絞って連れて行った方が良い。

三人で力を会わせて明かり取りの窓の下へ机を運んで行く。
ジャックは、机に乗ると窓枠を壊す。これから、自分でも出入りできる。ロープをつたって外で出ると回りの状況を確認する。
幸いな事に、この倉庫は村のはずれにあるから壁を挟んで森と隣接していて簡単に逃げ込める。

脱出計画

倉庫に戻ったジャックはフローラとリンダとともに同胞を前に自分の気持ちを伝える。
「今から皆を助ける。でも、約束して欲しい。恨みを晴らしたい気持ちはわかるが、今は我慢して欲しい。この中には女子供も含まれているし、助けてくれたフローラとリンダの安全のためにも勝手な行動は慎んでくれ。そうしないと他の者を危険にさらすことになるから軽率な行動は控えてくれ」

この計画を成功させるには皆の協力が必須だ。
「全員助けるには時間が足りない。そこで先に救出された者
は、胴体が入った袋を持って戻ってくれ」
ジャックはそう思いながら大人の顔を探すと目で訴える。
そうすれば、胴体を探しに行く時間が半分に短縮できる。
『・・・』

フローラはともかくリンダと同じ村の者もいるだろうから言うことを聞いてくれるだろう。返事は無いが承諾を得たと仮定して話を進める。
「注意事項はこれくらいだ。それで始めよう」
ジャックは手を叩くと二人に向かって頷く。
フローラが片手を上げて注目をひく。
「私が体のある倉庫まで案内します」
「私は、みんなを外に出してあげる」
続いてリンダがフローラの横に並ぶ。

ジャックは、フローラと一緒に先に外に出ると木箱を階段じょうになるように塀にそって積み上げた。
第一段階の準備は完了した。

明かり取りの窓のしたに行くと既に先発隊ようと頭が集まっていた。

リンダに、胴体が揃ってた者から森へ逃がすように指示を伝えると自分たちも次の行動に出る。

アンデッド達の解放

フローラは自分の後ろを飛び跳ねながら、ついてくるアンデッドたちの頭を見て口が緩む。恐ろしいはずなのに、どこかユーモラス。

ジャックと合図を取り合いながら誘導する。音を立てないように動くと
どうしても時間がかかってしまう。
そのうえ夕方ということで人の出入りが多い。村人の姿を見つけるたびに物陰に隠れて息を潜める。

こういうジリジリとする時間は我慢が肝心だ。人がいなくなるのを待ってから次の場所へ移動する。
問題は思いのほかペースが上がらない。これで全員助け出せるんだろうか？

ジャックを見ると、焦っている様子はない。想定内なのかな？
最初の先発の人が倉庫にはいると、まるで呼ばれているかのように、どんなに遠くにあっても胴体が頭に向かってやってくる。
不思議だ

間に合うのかと心配していたが、額に番号の書かれているアンデッドが手伝ってくれるようになるとスムーズに事が運び始めた。
一人で４袋も担いたりする。
3番のアンデッドが、どこから見つけてきたのかは藁を持ってくると 7番と5番が通りに藁を敷く。すると藁に足音が吸収されて聞こえなくなる。

倉庫の奥にある袋をもち出しやすいように出入り口まで持ってきてくれたりと連携ができている。手慣れた感じに驚く。一体、彼らはどんな仕事をしてるんだろう？

塀に木箱を積んで外へ出られるように設置すると体が元に戻ったんでもたちは女子供老人たちを優先して体を越えさせた。

間に合わないと思ったけれど見事やり遂げた最後の一人が村の外に逃げる

頃には一番鳥が鳴いていた。
フローラは明けきったばかりの空を見る。フローラはジャックに押し上げられて壁の上に登ると、そのまま水に塀にまたがってジャックに向かって手を差し出す。

二度とそばを離れないと決めている。今回の作戦が失敗してお尋ね者になっても絶対だ。
一瞬ためらったのジャック私の手をつかむ引っ張り上げるとジャックが私の腰を掴んで一緒により
「行こう」
「はい」
人間に見つからないように森の中を通って村に戻ることになっている。

フローラはジャックと手を繋いで森の中を歩く。長かった1日が終わる。自分たちの前をたくさんのアンデッドたちが並んで歩いているのを見ると本当に自分達か、大仕事をやり遂げたんだも満足感がある。

ジャックと一緒なら何でもできる気がする。フローラジャックの手をぎゅっと握るとジャックも
ぎゅっと握り返してくれた。その事が私と同じ気持ちなんだと伝わってきて嬉しさに微笑む。
「フローラ。大丈夫か？疲れただろう」
「平気です」

しばらく歩いていると休息をとることになった。先を急がないといけないのか分かっているが、正直ありがたい。少しでも寝ないと頭がふらふらする。
疲れた足を叩いているとリンダが男の手をつないで、こっちに来た。
優しそうな人だ。リンダを愛しそうに見ている。
（もしかして、お父さん？）
無事にお父さんと再会できたんだ。
よかった。
「お姉ちゃん」
私を見つけるとリンダが手を振って駆け寄ってくる。もうすっかり元気だ。

フローラは、立ち上がって二人を出迎える。

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