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【更新中】明るい肉体改造計画【電気攻め/SM】
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しおりを挟む「……身が、持たない……」
意識が浮上して、思わず漏れた言葉がそれだった。
え、ち、乳首ついてる? 二の腕爆発してない?
疲労でぶるぶる震える腕を動かして自分の胸をそっと撫でる。よかった、ちゃんとついてる。まだじんじんしてるけど……。
もう、マジで鍛えないと身が持たない。金曜の鬼畜に勝てない。せめて引き分けたい。
半分寝ぼけたままのぼんやりした思考の中でそんな事を考えながらゆっくり瞼を開けると、愕然とした表情のうるうさんと目が合った。
「……そ、れは。そんな、樹くん。嫌なんだが……」
どこか必死な、泣きそうにも見える視線に「?」と眉を寄せて見せれば、うるうさんは息を飲んで、未だに状況の掴めない俺の頭をぎゅうぎゅう胸に抱き込んで「嫌なんだが」と繰り返した。
「確かに馴れ初めこそ行きずりのような形だったが、私はもう樹くんが居ないと駄目だと思うんだ。考え直してくれ。意識の擦り合わせをさせて欲しい」
捲し立てられて、いよいよ意味がわからなくなる。
え、なになに? どうしたの?
うるうさんが何にそんなテンパってるのか訳が分からなくて、問い掛けようにもぎゅむぎゅむに抱き込まれてるせいで声が出せない。腕の中でもがいて見せれば、うるうさんは「あぁ」と泣きそうな声を出した。
「……樹くんが嫌だと言うなら趣味もできる限り改める。──非常に、不本意ではあるが……」
え、改めるって辞めちゃうってこと?! 嫌なんだが?!
しゅん、と肩から力が抜けたのを見計らって、がばっ! と腕の中から顔を上げて見れば、うるうさんはなんとも言えないもどかし気な顔で俺を見下ろしていた。
「え、え、話が見えない。うるうさん、もうオモチャ使ってくれないの?」
混乱したままそう問いかけると、うるうさんは表情を一転、きょとんとした顔で首を傾げる。
いや、使ってくれないの? って、俺も何恥ずかしいこと言ってんだ。
聞いてから気付いてかぁっと顔が熱くなった。失言……。
「しかし、身が持たないと……」
そこまで言われて、初めて会った時のうるうさんの台詞がピシャーン! と脳裏にフラッシュバックした。
『大体私の趣味を気味悪がられて振られる』『それか、身が持たないんだそうだ』
あぁ! 把握!
『身が持たない』って、うるうさんに取っては振られる前フリってことなんだな。それは、申し訳ないこと言っちゃった。
「ごめん。そういう意味じゃなくて」
緊張のせいか焦りのせいか、どっ、どっ、と強く脈打つうるうさんの胸に身を寄せながら背中に回した腕に力を込める。胸も腹もできるだけぴったりくっつけて、足の間に足を差し込んで絡ませると、裸のままの凶器がするりと太ももに触れた。
うわぁ、萎えててこれ? ……が、入ってたの? 俺……。
じゃなくて。
「鍛えないとなぁって思っただけ。折角2人とも休みなのにさ、こんなヘロヘロになってるの、勿体ないんだもん」
相変わらずどくどくと脈動を伝えてくる胸に額を擦り付ける。
てかさ、うるうさん、オモチャやめてもいいくらい俺の事好きになっちゃったの? 今までの人とは別れてたのに?
普段は歳上然とした大人の余裕たっぷりのスパダリが、俺に振られるかもしれないって思っただけでこんなにテンパって情けない事言って心臓どくどくさせてるなんて。
「それなら、よかった」
上擦った声に、きゅぅうと胸が疼いて堪らない気持ちになった。
ちょっと、可愛すぎませんかこの人。
や、俺は俺で、うるうさんの大好きなオモチャ遊びに負けないように鍛えようかなって思っちゃうくらいにはあなたのことが好きですよ。
「ふふ…っ」
思わず笑いが零れる。
気恥ずかしくて、照れくさくて、むずむずしてどうにも落ち着かない。
土曜の朝。身体がぷるぷる小さく痙攣してるのに目を瞑れば、100点満点の幸せな朝だ。
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