156 / 300
【単話】SS
ツーリスト【お気に入り400人記念SS】
しおりを挟む
「…うるうさんてさ、他にまともな趣味ないの?」
シャワーで身体を清められている最中、気になった俺は素直に聞いてみた。今日はまだそのくらいの余裕は残して貰えた。あちこちじんじん疼いてはいるんだけど。
ローションがしつこくぬめる腹にお湯を落としながら、閏さんが「心外だ」と言わんばかりに片眉を上げて俺を見た。
「樹くんはそのまともじゃない趣味が随分お気に入りのようだが?」
腹を撫でる手がつぅ、と胸を滑り上がって、乳首を指先でゆるゆると撫でる。
しまった、失言だった。
「っう、ぁっ…」
さっきまでクリップで押しつぶされていたそこはまだじんじん痺れていて、少し触られるだけで電気が走るような痛みと快感を生み出した。
背筋にぞくぞくと痺れが走って肩が竦む。
あんなに滅茶苦茶に泣かされたのに身体は全然懲りてない。苦しいのと痛いのの中にある快感を、砂金を拾うみたいに一粒一粒確実に拾い上げてしまう。
「…綺麗にしてあげているのだけなのに気持ち良くなって、悪い子だな」
俺の身体の反応を敏感に掬い取って、閏さんの目が暗い色に光った。口元が意地悪気に引き上げられる。
「おしおきして欲しいのか?」
あ、この顔、ダメなやつ。
「や、ごめんなさ…んっ」
謝っても、遅かったみたいだ。
ゆっくりと意識が浮上していく感覚に、「あ、目が覚めるんだな」と自覚した。
微睡んだ意識のまま傍にある温もりに擦り寄ると背中に回された腕に優しく抱き寄せられた。
「目が覚めたか。身体におかしいところはないか?」
頭の少し上から閏さんの声がして、安心感に大きく深呼吸するとすっかり意識が覚醒した。
「おはよ、うるうさん。…、うん、大丈夫…」
いつも、最中は何度も限界を感じてぼろぼろに壊されていると感じるのに、過ぎてしまえば致命的に不調を感じる場所はない。滅茶苦茶にされてるけど、俺の限界を見極めて気を使ってはくれているらしい。
だからまたされたいと思っちゃうんだけど。
「よかった。それなら、少し付き合って欲しい」
額やこめかみに優しくキスをしながら閏さんが耳元で囁いた。
今度は何をされるっていうんだ。
一瞬身体が強張ったけど、落ちてくるキスの心地よさですぐにまた力が抜けた。
閏さんになら全部預けて大丈夫。そう思うと、これから何をされるのか楽しみですらある。
ちょっとの不安と、期待を込めて頷いた。
閏さんに従っていると、おはようとキスをして身支度を整えてから、朝食も食べずに外出する流れになっていた。
豪邸の裏手にあるこじんまりとしたガレージに案内される。
ガレージがあるなんて知らなかった。いつも閏さんと出かけるときは徒歩かタクシーだったし、車を持ってるような話も聞いたことない。
恐怖の趣味部屋に次いでこんな設備まであったなんて。その内地下室とか言い出さないだろうな。
俺が芝生敷の足元をじっと眺めていると、閏さんはガレージのシャッターをがらがらと引き上げた。
「私の「まともな」ほうの趣味だ」
やっぱり根に持ってる。早々に意識を逸らさないと俺の身体がまた玩具の遊び場になってしまう。
危機感を覚えつつ覗き込んだ中には、ぴかぴかに磨かれて鏡面みたいに光っているバイクが一台停められていた。
仮面ライダーみたいなごついのじゃない、どちらかと言うと華奢でちょっとクラシックなデザインの。まん丸なライトがくりっとした一つ目のようで可愛らしい。
「わぁ、バイク!俺全然わかんないけど憧れはあるんだよね」
意外だ。部屋に籠ってヤバイ玩具とばっか会話してる超インドア派かと思ってたのに、こんなアクティブな趣味があったなんて。
「…失礼なことを考えているだろう」
わぁと驚いた顔のまま閏さんを見つめていると、思考を読まれてニッコリと微笑まれた。一番怖い顔だ。
「そ、んなこと。ねぇ、これなんてバイク?後ろ乗せてくれんの?」
誤魔化すようにバイクへと視線をやると、閏さんは笑顔のまま小さくため息をついてガレージの中へ俺を案内した。
「SR400。今日は少し遠出して遅めの朝食にしよう」
でたよスパダリ。
超意外な趣味でギャップ萌えさせといて、タンデムツーリングからの非日常な朝食なんてギャルゲーかよ。じゃあそれにしっかりときめいた俺はチョロインか。
こんな趣味ならいくらでも付き合う。まぁあっちの趣味も嫌いではないんだけど…。
閏さんにリードされるまま意気揚々とバイクに跨る俺はまだ知らない。
目的地に着いたころには尻がぼやけてるんじゃないかってくらい痺れて、上手く立てなくなっていることを。
シャワーで身体を清められている最中、気になった俺は素直に聞いてみた。今日はまだそのくらいの余裕は残して貰えた。あちこちじんじん疼いてはいるんだけど。
ローションがしつこくぬめる腹にお湯を落としながら、閏さんが「心外だ」と言わんばかりに片眉を上げて俺を見た。
「樹くんはそのまともじゃない趣味が随分お気に入りのようだが?」
腹を撫でる手がつぅ、と胸を滑り上がって、乳首を指先でゆるゆると撫でる。
しまった、失言だった。
「っう、ぁっ…」
さっきまでクリップで押しつぶされていたそこはまだじんじん痺れていて、少し触られるだけで電気が走るような痛みと快感を生み出した。
背筋にぞくぞくと痺れが走って肩が竦む。
あんなに滅茶苦茶に泣かされたのに身体は全然懲りてない。苦しいのと痛いのの中にある快感を、砂金を拾うみたいに一粒一粒確実に拾い上げてしまう。
「…綺麗にしてあげているのだけなのに気持ち良くなって、悪い子だな」
俺の身体の反応を敏感に掬い取って、閏さんの目が暗い色に光った。口元が意地悪気に引き上げられる。
「おしおきして欲しいのか?」
あ、この顔、ダメなやつ。
「や、ごめんなさ…んっ」
謝っても、遅かったみたいだ。
ゆっくりと意識が浮上していく感覚に、「あ、目が覚めるんだな」と自覚した。
微睡んだ意識のまま傍にある温もりに擦り寄ると背中に回された腕に優しく抱き寄せられた。
「目が覚めたか。身体におかしいところはないか?」
頭の少し上から閏さんの声がして、安心感に大きく深呼吸するとすっかり意識が覚醒した。
「おはよ、うるうさん。…、うん、大丈夫…」
いつも、最中は何度も限界を感じてぼろぼろに壊されていると感じるのに、過ぎてしまえば致命的に不調を感じる場所はない。滅茶苦茶にされてるけど、俺の限界を見極めて気を使ってはくれているらしい。
だからまたされたいと思っちゃうんだけど。
「よかった。それなら、少し付き合って欲しい」
額やこめかみに優しくキスをしながら閏さんが耳元で囁いた。
今度は何をされるっていうんだ。
一瞬身体が強張ったけど、落ちてくるキスの心地よさですぐにまた力が抜けた。
閏さんになら全部預けて大丈夫。そう思うと、これから何をされるのか楽しみですらある。
ちょっとの不安と、期待を込めて頷いた。
閏さんに従っていると、おはようとキスをして身支度を整えてから、朝食も食べずに外出する流れになっていた。
豪邸の裏手にあるこじんまりとしたガレージに案内される。
ガレージがあるなんて知らなかった。いつも閏さんと出かけるときは徒歩かタクシーだったし、車を持ってるような話も聞いたことない。
恐怖の趣味部屋に次いでこんな設備まであったなんて。その内地下室とか言い出さないだろうな。
俺が芝生敷の足元をじっと眺めていると、閏さんはガレージのシャッターをがらがらと引き上げた。
「私の「まともな」ほうの趣味だ」
やっぱり根に持ってる。早々に意識を逸らさないと俺の身体がまた玩具の遊び場になってしまう。
危機感を覚えつつ覗き込んだ中には、ぴかぴかに磨かれて鏡面みたいに光っているバイクが一台停められていた。
仮面ライダーみたいなごついのじゃない、どちらかと言うと華奢でちょっとクラシックなデザインの。まん丸なライトがくりっとした一つ目のようで可愛らしい。
「わぁ、バイク!俺全然わかんないけど憧れはあるんだよね」
意外だ。部屋に籠ってヤバイ玩具とばっか会話してる超インドア派かと思ってたのに、こんなアクティブな趣味があったなんて。
「…失礼なことを考えているだろう」
わぁと驚いた顔のまま閏さんを見つめていると、思考を読まれてニッコリと微笑まれた。一番怖い顔だ。
「そ、んなこと。ねぇ、これなんてバイク?後ろ乗せてくれんの?」
誤魔化すようにバイクへと視線をやると、閏さんは笑顔のまま小さくため息をついてガレージの中へ俺を案内した。
「SR400。今日は少し遠出して遅めの朝食にしよう」
でたよスパダリ。
超意外な趣味でギャップ萌えさせといて、タンデムツーリングからの非日常な朝食なんてギャルゲーかよ。じゃあそれにしっかりときめいた俺はチョロインか。
こんな趣味ならいくらでも付き合う。まぁあっちの趣味も嫌いではないんだけど…。
閏さんにリードされるまま意気揚々とバイクに跨る俺はまだ知らない。
目的地に着いたころには尻がぼやけてるんじゃないかってくらい痺れて、上手く立てなくなっていることを。
11
あなたにおすすめの小説
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる