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【完結】物実の鏡【冒険の書続編/甘め】
7*
しおりを挟む今日の魔王は、今まで快楽地獄に突き落とされていたのが信じられないくらい優しく俺を抱いた。
「んっ、ぅ、あんっ」
漏れる声も甘くなる。
後ろから抱き込まれて、根元まで飲み込んだ性器で揺さぶられると奥がジンジン痺れてもどかしい熱が募った。
喉が仰け反って、魔王の肩に頭を預ける格好で細い悲鳴を漏らす。
奥に欲しい。熱い魔力が欲しい。いつものようにもっと暴いて欲しい。
気を失うような激しい行為に慣らされた身体は貪欲に快感を求めて、思考が侵された。
「奥が物欲しそうにヒクついているぞ。どうして欲しいか言ってみろ」
耳元で囁かれると、その吐息すら快感になってぞくぞくと背筋が痺れた。
「っ…!!とっとと、終われ…!!」
必死で理性を手繰り寄せて吐き出すと、魔王はまた耳元でクスクス笑った。
ぐち、にちゅ、と柔く奥をこねくり回されて、切ない疼きが駆け上ってくる。
「強情だな。わかっているだろうに」
ぐり、とこじられて甘い快感が背筋を這い回る。
今日はまだ一度もイカされてない。
性器は張り詰めていて解放の時を待っている。もどかしくて、無意識に腰が揺れた。
「身体の方は正直なのにな?」
その反応を楽しむように魔王が腹を撫でながら言う。指先でぬるんと先端を撫でられて、ほんのちょっとの刺激に大袈裟に性器が跳ねた。
「んっ、ぅぅ…」
恨めしげな声が漏れる。
いつもなら悲鳴をあげてやめてくれと叫んでもそこを手放さないというのに。
「どうしたらお前の心が手に入る?」
ぬる、ぬる、と先端を指先で虐めながら魔王が耳元で囁く。
後ろへの刺激も時折揺すられるくらいだ。
焦れったくて、辛くて、でも屈する訳にはいかなくて。
イキたい。あの開放感が早く欲しい。プライドと理性がミシミシと音を立てていた。
全てを否定するように頭を振ると、魔王が後背座位の態勢から俺を前に押し倒した。
腰を高く持ち上げられて、一突き奥を捏ねられただけでとろりと先走りが漏れる。
「うぁんっ…っ」
思わず媚びるような声が漏れて耳をふさぎたくなった。
そのまま激しく抱かれる事を期待して腹がきゅんと疼く。身構えると、予想に反して魔王は俺の身体を呆気なく解放した。
「…っ」
ずるりと熱いままの性器が抜け出て行く感覚に息が詰まる。
なんで…っ
腰を高く掲げた格好のまま振り返ると、意地悪げに口元を引き上げた魔王と目が合った。
「望み通り、終わらせてやる」
そんな。こんな中途半端な状態で。
もどかしさが身体の奥で暴れ回る。太ももがわなわなと震えて、解放して貰えない性器からぽたぽたと先走りが滴ってシーツに染みを作った。
「…っく…!!」
一瞬、口走りそうになった言葉を唇を噛み締めて飲み込む。
何を考えている…!!
力が抜けてしまいそうな身体を叱責して起き上がり、魔王から距離を取って睨みつけながら荒い息を整える。
「本当に仕様のないやつだ」
その様子に魔王は呆れたようなため息をついて、「好きにするがいい」と言いながらローブを纏って部屋から出て行ってしまった。
「…なんなん、だ…」
放り出された身体の熱は腹の中で滞りながらも徐々に下がって行く。
しかし、理解できない魔王の行動に混乱した思考は乱されたままだった。
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