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1.ヒーローになりたい
1.ヒーローになりたい~その後~
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仕事を辞めてから、僕はcafé Dearへ入り浸っていた。
毎日カウンターのマスターの目の前に座る。
最初は怖そうなおじいさんというイメージだったが今では近所のお爺ちゃんのような感覚だ。
だが、最近はマスターはうっとうしそうに僕のことを扱ってきているが。
そして、娘さんとも仲良くなり、今では『ミツキさん』『長谷川さん』と呼び合う仲になっている。
まあ、ただの店員さんとしてしか見ていないといえば嘘になる。
しかし、絶対にこの想いをばれないように細心の注意を払っている。
ミツキさんの仕事姿を見た後、僕はマスターの顔を見てため息をついた。
「人の顔を見てため息とは何事だ。」
「いや~そろそろ僕も次の職見つけないとと思ってるんですよね~」
「それ何回目だ?本当に探す気あるのがどうか…」
「ありますよ~だけど、特にやりたいこともないし…」
そうやって自分でもこれ何回目?と思う会話をマスターとしているとミツキさんが話しかけてきた。
「じゃあ、昔は何がやりたかったんですか?昔の夢。」
「昔の夢かあ…」
正直、中学生の頃には親から洗脳のようにいい大学に行って大企業に就職をするか公務員になれといわれていたので、夢などあった記憶がない。
何ならそれが夢だった。
昔の記憶をたどると、
小学生の頃に限られたテレビを見る時間、日曜日に戦隊ヒーローを見ていたことを思い出した。
その赤レンジャーにドはまりしていた僕は、家で変身ごっこをしたり、
夏祭りに行くとその赤レンジャーのお面を泣きながらねだって買ってもらったりした記憶がある。
人よりも早く大人びた僕だったが、あの時は他の子と同じように子供らしい子供だった。
「ヒーローでしたね…」
「え?」
「あ!いや!なんでもないです!いっやー覚えてないですね~はは~」
自分でも気づかないうちにポロっと『ヒーロー』という単語が出ていたことに驚いた。
流石にこんなことミツキさんには話せないと思い、どうにかごまかした。
その後も少し恥ずかしくなってしまい、いつもよりも早めにカフェを出た。
いつもはバスの時間を確認してからカフェを出るが、今日は焦って出てきてしまったため、
バス停で座って待っていた。
バス停には屋根が付いた待合室のような場所があるため、そこで待っていた。
ぼろぼろのいつから貼っているかもわからないポスターの中から、
一つだけ新しそうなポスターが目に止まった。
『あなたもヒーローになりませんか~この町を救いたい~』
それは移住者支援のポスターだった。
5人の若者が立ち、屈託のない笑顔を浮かべている。
「ヒーロー…」
先ほどヒーローの話をしていたため、余計にヒーローという言葉が心の奥をつついた。
ポスターの下には移住者・移住支援協力者募集と書かれていた。
僕はそのポスターごと引きちぎってまたカフェに走って戻った。
そして、マスターの目の前で先ほどのポスターを勢いよく見せた。
ポスターのヒーローたちと一緒の屈託のない笑顔で。
「僕。ヒーローになります!」
すると、マスターは驚いていたが、隣にいたミツキさんはぷっと吹き出して見たことがないくらい笑っていた。
僕は自分の言ったことがとてもあほらしかったことに気づき、一気に顔が熱くなるのを感じた。
しかし、ミツキさんは「いえ、馬鹿にしているとかではなくて」と言い、
笑いが落ち着いたところに僕をいつもの包み込むような笑顔で見つめきた。
「今の長谷川さんとっても素敵です。」
毎日カウンターのマスターの目の前に座る。
最初は怖そうなおじいさんというイメージだったが今では近所のお爺ちゃんのような感覚だ。
だが、最近はマスターはうっとうしそうに僕のことを扱ってきているが。
そして、娘さんとも仲良くなり、今では『ミツキさん』『長谷川さん』と呼び合う仲になっている。
まあ、ただの店員さんとしてしか見ていないといえば嘘になる。
しかし、絶対にこの想いをばれないように細心の注意を払っている。
ミツキさんの仕事姿を見た後、僕はマスターの顔を見てため息をついた。
「人の顔を見てため息とは何事だ。」
「いや~そろそろ僕も次の職見つけないとと思ってるんですよね~」
「それ何回目だ?本当に探す気あるのがどうか…」
「ありますよ~だけど、特にやりたいこともないし…」
そうやって自分でもこれ何回目?と思う会話をマスターとしているとミツキさんが話しかけてきた。
「じゃあ、昔は何がやりたかったんですか?昔の夢。」
「昔の夢かあ…」
正直、中学生の頃には親から洗脳のようにいい大学に行って大企業に就職をするか公務員になれといわれていたので、夢などあった記憶がない。
何ならそれが夢だった。
昔の記憶をたどると、
小学生の頃に限られたテレビを見る時間、日曜日に戦隊ヒーローを見ていたことを思い出した。
その赤レンジャーにドはまりしていた僕は、家で変身ごっこをしたり、
夏祭りに行くとその赤レンジャーのお面を泣きながらねだって買ってもらったりした記憶がある。
人よりも早く大人びた僕だったが、あの時は他の子と同じように子供らしい子供だった。
「ヒーローでしたね…」
「え?」
「あ!いや!なんでもないです!いっやー覚えてないですね~はは~」
自分でも気づかないうちにポロっと『ヒーロー』という単語が出ていたことに驚いた。
流石にこんなことミツキさんには話せないと思い、どうにかごまかした。
その後も少し恥ずかしくなってしまい、いつもよりも早めにカフェを出た。
いつもはバスの時間を確認してからカフェを出るが、今日は焦って出てきてしまったため、
バス停で座って待っていた。
バス停には屋根が付いた待合室のような場所があるため、そこで待っていた。
ぼろぼろのいつから貼っているかもわからないポスターの中から、
一つだけ新しそうなポスターが目に止まった。
『あなたもヒーローになりませんか~この町を救いたい~』
それは移住者支援のポスターだった。
5人の若者が立ち、屈託のない笑顔を浮かべている。
「ヒーロー…」
先ほどヒーローの話をしていたため、余計にヒーローという言葉が心の奥をつついた。
ポスターの下には移住者・移住支援協力者募集と書かれていた。
僕はそのポスターごと引きちぎってまたカフェに走って戻った。
そして、マスターの目の前で先ほどのポスターを勢いよく見せた。
ポスターのヒーローたちと一緒の屈託のない笑顔で。
「僕。ヒーローになります!」
すると、マスターは驚いていたが、隣にいたミツキさんはぷっと吹き出して見たことがないくらい笑っていた。
僕は自分の言ったことがとてもあほらしかったことに気づき、一気に顔が熱くなるのを感じた。
しかし、ミツキさんは「いえ、馬鹿にしているとかではなくて」と言い、
笑いが落ち着いたところに僕をいつもの包み込むような笑顔で見つめきた。
「今の長谷川さんとっても素敵です。」
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