王様とただのおっさん。 入れ替ったら断頭台でした。異世界はキャットGPTとともに。

PYON

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第3章 ビリジアンテ連邦国

比留間明夫18

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「もう一つ問題がある」
 ダオウルフさんは難しい顔をする。
 そう、ギオルグ族をはじめとする遊牧民は、誇り高き民だ。
 もし、彼らを利用して戦争に勝ったとしても、そのあと彼ら自身が脅威となる。
 それを防ぐためにビリジアンテは族長やそれに近しい者の家族を人質にしている。
 それも、どこに幽閉しているのか彼らにもわからないようにしている。
 武器を持った彼らが取り戻せないようにだ。
 キャットGPTはその場所もわかっている。
 そこには特殊部隊を行かせてある。
 銃などの兵器と剣の達人を集めた最強部隊だ。

 ぼくはダオウルフさんにそのことを告げ、安心するように伝える。
 それに納得してくれたようだ。
 あと戦争のあとのことも聞かれる。
 それについては、ビリジアンテの北側の草原をもらい。
 そこを治めてもらおうかと思っている。
 彼らの騎馬隊は我が国の戦力になる。
 それから、王国は畜産が弱い。
 遊牧民は狩りと遊牧のプロフェッショナルだ。
 その技術は王国に取り入れたい。
 ぼくはダオウルフさんにそれを伝える。

「わかった。
 ただ、キャルロッテ王、あとひとつ条件がある。
 これは我がギオルグのしきたりだ。
 我らギオルグ族は弱きものの傘下には入れない。
 わたしと相撲で力比べをしようではないか。
 それに勝ったらあなたの傘下に入ろう」

 え、相撲?
 子供のとき、よく遊びでとってたけど。
 ぼくがミドル級だとしたら、ダオウルフさんはヘビー級だよね。
 それは無理げーだろ。

「では、戦争に勝ったら、ギオルグ族を独立させます。
 そうすれば、ぼくと同盟関係になるだけです。
 傘下にはいるわけではないです」

「いや、これは形式的なものだ。
 手を結ぶ儀式みたいなものだ」
 そう言ってダオウルフさんは上着を脱ぐ。
 筋肉質な岩のような身体。
 腹筋は六つに割れている。
 
「わかりました」
 ぼくも上着を脱ぐ。
 こっちはぶよぶよの白い身体だ。
 どう見ても勝てる感じじゃない。

「ではいつでも来てくれていい」

「じゃあ、お言葉に甘えて」
 ぼくは地面に手をつき低く構えると、そのままの姿勢でダオウルフさんのところに飛び込むのだった。



 
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