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第2話 親友
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だって、授業中に落ち着いて彼の横顔を見ることが出来なくなるじゃない。
「そっか、ありがとう」
男子にしてはやっぱり高い声がそう答えて去って行く。
その時、みちるは自分の失態に気付いた。
しまった。やらかした。
人生で初めて男の子に告白されたというのに、味わう間もなく、サラッと断ってしまった。それもその横顔はモロに好みの相手だったのに。
授業中に彼の横顔が眺められなくなるかも知れないという、目先の欲に惑わされて、一生に一度かも知れない男の子と付き合うチャンスを棒に振ってしまうなんて。
どうしよう?取り消せないだろうか?
慌てて部室に駆け込み、親友のカッチーに相談する。するとカッチーは事もなげに言った。
「は、榎?ま、彼なら断って当然しょ。だって声高いし吃るし。顔はまぁいいんだけど、ナヨくて頼りないしね。ミッチーとだと『逆・美女と野獣』って感じ?」
「何それ、私が野獣ってこと?」
「当たり前じゃん。去年の学祭での野獣役はハマってたよね。あんた、いっそ宝塚でも目指したら?タッパもあるし声も低くてカッコイイしガタイいいし、そのまんま男役出来るよ。つか、よくあの榎に、ミッチーに告る勇気があったもんだってびっくりしてるよ。ま、よかったんじゃん?あんたに彼氏は似合わないよ」
「いや、私だって普通に彼氏は欲しいんだけど」
「え、そうなの?あんなに彼女いるのに彼氏まで欲しいとは、あんた贅沢だね」
からかわれ、カッチーを睨みつける。
そう。背も高く、女バスの部長もしていたみちるは中学の時から女の子にモテた。だから高校は絶対に共学に行くぞと頑張って勉強して共学の公立高に入学したのだが、共学だからって高校になって何かが大きく変わることもなく、相変わらず女子に囲まれる生活を送っていた。
「好きです。受け取って下さるだけでいいんです」
可愛いピンクの封筒に可愛いげな上目遣い。受け取るだけでいいなら、と別段拒みもしなかったら、いつの間にか自分の周りにピンクの囲みが出来ていた。散らすのも面倒だから放っておいたら、学祭で男役を押し付けられたのも災いして、ピンクの軍団は増える一方。彼氏が出来るどころではなかった。
そこへ降って湧いたような告白。つい動転してしまったのだ。
あー、もったいないことした。もし付き合っていたら、その横顔だって眺め放題だったはずなのに。
でも、何で私なんだろう?
背だって私の方が高いんじゃない?
いや、さっき森で並んだ時には同じ辺りに目線があったなぁ。でも、教室で座ってる時には自分の方が彼を見下ろしてる気がする。
ん?ちょっと待て。それって私の方が胴長短足ってことじゃん。
なんか、ムカつく。やっぱ断って良かった。
その時ふと、榎くんに言われた言葉が蘇った。
「俺が護りたいのは、お前だから」
——護る?
「どっちかって言うと、私の方が守ってあげたい感じだけどねぇ」
にしても、チルチルミチルとは懐かしい。昔、そう呼び合った幼馴染がいたことを思い出して、みちるは開いた部室のドアの向こうに広がる薄青い空に目をやった。
どこまでも青い空の向こうで、あの子はまだ青い鳥を探してるのだろうか?
「そっか、ありがとう」
男子にしてはやっぱり高い声がそう答えて去って行く。
その時、みちるは自分の失態に気付いた。
しまった。やらかした。
人生で初めて男の子に告白されたというのに、味わう間もなく、サラッと断ってしまった。それもその横顔はモロに好みの相手だったのに。
授業中に彼の横顔が眺められなくなるかも知れないという、目先の欲に惑わされて、一生に一度かも知れない男の子と付き合うチャンスを棒に振ってしまうなんて。
どうしよう?取り消せないだろうか?
慌てて部室に駆け込み、親友のカッチーに相談する。するとカッチーは事もなげに言った。
「は、榎?ま、彼なら断って当然しょ。だって声高いし吃るし。顔はまぁいいんだけど、ナヨくて頼りないしね。ミッチーとだと『逆・美女と野獣』って感じ?」
「何それ、私が野獣ってこと?」
「当たり前じゃん。去年の学祭での野獣役はハマってたよね。あんた、いっそ宝塚でも目指したら?タッパもあるし声も低くてカッコイイしガタイいいし、そのまんま男役出来るよ。つか、よくあの榎に、ミッチーに告る勇気があったもんだってびっくりしてるよ。ま、よかったんじゃん?あんたに彼氏は似合わないよ」
「いや、私だって普通に彼氏は欲しいんだけど」
「え、そうなの?あんなに彼女いるのに彼氏まで欲しいとは、あんた贅沢だね」
からかわれ、カッチーを睨みつける。
そう。背も高く、女バスの部長もしていたみちるは中学の時から女の子にモテた。だから高校は絶対に共学に行くぞと頑張って勉強して共学の公立高に入学したのだが、共学だからって高校になって何かが大きく変わることもなく、相変わらず女子に囲まれる生活を送っていた。
「好きです。受け取って下さるだけでいいんです」
可愛いピンクの封筒に可愛いげな上目遣い。受け取るだけでいいなら、と別段拒みもしなかったら、いつの間にか自分の周りにピンクの囲みが出来ていた。散らすのも面倒だから放っておいたら、学祭で男役を押し付けられたのも災いして、ピンクの軍団は増える一方。彼氏が出来るどころではなかった。
そこへ降って湧いたような告白。つい動転してしまったのだ。
あー、もったいないことした。もし付き合っていたら、その横顔だって眺め放題だったはずなのに。
でも、何で私なんだろう?
背だって私の方が高いんじゃない?
いや、さっき森で並んだ時には同じ辺りに目線があったなぁ。でも、教室で座ってる時には自分の方が彼を見下ろしてる気がする。
ん?ちょっと待て。それって私の方が胴長短足ってことじゃん。
なんか、ムカつく。やっぱ断って良かった。
その時ふと、榎くんに言われた言葉が蘇った。
「俺が護りたいのは、お前だから」
——護る?
「どっちかって言うと、私の方が守ってあげたい感じだけどねぇ」
にしても、チルチルミチルとは懐かしい。昔、そう呼び合った幼馴染がいたことを思い出して、みちるは開いた部室のドアの向こうに広がる薄青い空に目をやった。
どこまでも青い空の向こうで、あの子はまだ青い鳥を探してるのだろうか?
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