perfect divide

丸ニカタバミ

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対抗戦編

おもしろい人みっけ

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 夏季休暇もあけてひさびさの登校日だった。さすがに、修行していたことは学校中に知れわったっているようであまりいい雰囲気ではなかった。それが気に食わなかったということもあるが、久々に気楽に実践練習ができるということでテンションが上がってしまいさやを隣の演習場まで吹っ飛ばしてしまった。私自身としてはいつもの半分ぐらいの力でしたつもりだった。
 それでも、指導教員の目にはやりすぎに見えたらしく小一時間ほど説教を受けた。
 私は今時間を持て余している。さやは医療クラスの説明会に行っていてまだまだ終わらない、修行も学校が休みの日のみとなったので今日はない。何か面白いことはないだろうか。
 することを考えながら歩いていると教室に見覚えのある男子生徒がいた。
「あっ、面白い人みっけ」
「どういう意味だよ」
 この反応が久しぶりでうれしかった。それに「だって、幼馴染で機械馬鹿で話していてあきないから」とは、さすがにいえなかった。今話している鍛示拓実は武器屋の次男で私の数少ない友人の一人だった。これまでに幾度となく愚痴や最新技術についての話をしてきた。今日は、最近忙しくて会えなかったのでこうして顔を見せに来たのだ。
 すると奥から茶髪のポニーテールの女性が出てきた。
「あらあら、面白い子がいるわ」
 どういう意味だろう?と思いながら、私はその女性に手をひかれて教室の奥の席に案内された。
「拓実くん、お茶入れて」
 拓実は「はいはい」と言いながらめんどくさそうに電気ケトルに水を入れスイッチを押す。
コップや急須を準備しているので手伝おうとしたが止められたのでお言葉に甘えることにした。
「いやあ、クラブ活動とかあんまり盛んじゃないからさ。後輩の情報ってあんまり入ってこないけど、数少ない情報の中の話題の後輩に会えるとはこんなにうれしいことはないね」
 私は適当に相槌を打ち、たった今出されたお茶を一口すすった。
 正直、あまり気にしないようにしていても私のうわさは聞いていて気分のいいものは一つもなかった。
「私のうわさはあまりいいものはなかったように思いますが・・・」
「そうだね・・・。でも、あたしも知っているうわさって一つしかないんだよね。それはね・・・」
 少し、空気が張り詰める。
 私が思い当たるうわさは三つしかない。龍の契約権を持っているはずなのに契約ができなかった落ちこぼれといううわさや実は養子だといううわさ、最近では無駄なあがきをしているといううわさこれぐらいしかおもいつかない。
 この三つのうちどれかであるのは間違えないが、どれを聞かれるのかわからないので緊張して口が乾く。どんな質問が来てもいいようにお茶をすする。
「それはねえ。君が実戦演習中に友人を隣の演習場まで吹っ飛ばしったってうわさだよ」
「ふぇ?」
 予想外の回答に気の抜けた声が出た。
「あはははっ、そんなに驚いた顔しなくてもいいじゃないか」
「先輩、あんまりこいつのこといじめないでくださいよ。冗談通じないやつなんで」
「いやあ、ごめんごめん。あまりにかわいいからついからかいたくなっちゃって」
「はぁ・・・」
 まったく、事態を飲み込めない。完全に脳が停止していて、今何が起こっているかもわからない。
「もう、ごめんってば。ほら、お茶を飲んで落ち着いて」
 すすめられるままにお茶を飲んで落ち着こうとする。やっと頭が回り始めたようで事態をゆっくりゆっくりと理解していく。
「そういえば、なんで先輩は今日私がさやを吹っ飛ばしたことを知っているんですか!」
 思考停止したせいで音量調整が馬鹿になっているようで強くいってしまった。
でも、先輩はあまり気にしていないようで平然と話を始める。
「あの飛んできた子さやちゃんっていうんだ。なぜって、あのとき演習場を使ってたのあたしのクラスだし」
あっ、そういえば説教中にそんなことを言われていた気がする。
「なんか、すいません」
「いいよいいよ。むしろ、そのおかげでうちの部に依頼が来たから。暇だったからちょうどよかったんだ。ねえ、それよりもこれからもここによっていきなよ。今度はそのさやってこも連れてきていいからさ」
 不思議な人だなあというのが、この時私がこの先輩に抱いた正直な感想だった。変な人というよりひどいことをされてもついつい許せてしまうようなそういう人だった。
 だからだろうか、私は次の日すぐにその先輩に会いに行ってしまった。名前も知らない先輩のところに。
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