南海トラフ大地震

第一章 地震の始まり。

午前11時過ぎ   東京

 皆働いているその時間、主婦は昼食を作り、学生は勉学に励んでいた。

壊される日常など知らずに。

つまらない授業を放棄し夢の世界に旅立っていたら連れ戻された。
あの空の鳥は自由に羽ばたいている。
あんな風に解放されたい。
そんなことを考えながら窓の外を見つめていた。


昨日は豚肉だったから今日は鶏肉。
さて、葱と玉葱。被るか。キャベツで巻くかな？主婦はそんな事を考えていた。

その五分後に大きな揺れが東京を中心に襲うことになる事など誰も知るよしがない。

しかし予兆はあった。

教室の外の鳥が大量に飛んで行く。まるで何かから逃げる様に。

普段料理をする時は、その事だけを考えるその主婦は珍しく昨日の散歩の事を考えてた。
そう言えば渋谷川が普段より濁っていたわね等と。

その濁りを、気に止めていた人間が何人いた事だろうか？