銀髪美少女を探してたらようやく見つかったので守ろうかと思います。

忍原富臣

文字の大きさ
47 / 50
第七話「ま、まさかのお家でご飯!?」

7-1

しおりを挟む
「ねぇ、彩香……」
「ん? 彩芽どした?」

 心理学の講義を受けている中、右側に座る銀髪姉妹がコソコソ話をしだした。

「なんで銀治が居るのよ……」
「えっとー、まー成り行きで♪」

 こうなっているのは本当に成り行きだった。
 サークルの先輩たちを断った晩、彩香からメールが届いた。

『やっほー、今日はありがとうね!』
『こちらこそありがとうございます』
『えっとね、大学の講義ってまだ修正できるらしいんだけどさ』
『それがどうかしましたか?』
『私たちと同じ講義を受けないかなーって思って……!』

 そんなお誘いのメールに俺はすぐに返事を返す。

『ついていきます』
『え、えっと……ついて来られても困るんだけど(汗)。とりあえず受けてる講義の名前メールに送るねー』

 やはり女神様だったらしい……。俺は次の日大学の講義を全て変更した。そもそも、特にやりたいこともない。銀髪美少女を探す旅が終了した今となっては彩芽のそばに居たいというだけ。
 そうして今に至る。

「はぁ、最悪……」

 隣で机に突っ伏してぺちゃんこになった彩芽を見つめながら、可能な限り脳内カメラに保存していく。出来ることなら動画で保存したい……。

「フフフ……♪」

 その向こう側には嬉しそうに微笑む彩香の姿。
 俺は彩芽の隣に居られて幸せで満ち溢れているのだが、向こうはそうではないらしい。
 出来ることならこの幸せを分けてあげたい。

「……」

 机に伏せたままの彩芽と目が合った。青い綺麗な瞳に整った顔立ち、なのにもかからわずあどけなさが残るようなパーフェクト天使。守らなければという使命感に駆られる……。

「はぁ……なんでこんなやつ……」
「彩芽さん大丈夫ですか」
「だ、大丈夫よっ……! っていうか近付いてくんなバカ……」

 彩芽は小さく言い放つとプイッと反対を向いてしまった。彩芽を挟んだ向こう側には待ってましたと言わんばかりの彩香の姿。彩芽がナデナデされている。可能であれば俺も混ぜて欲しいが、さすがに周囲の目が怖いのでやめておこう。

 ……ん?
 彩香が指差しでジェスチャーをしてくる。彩芽の頭を指差したあとに撫でる行動を空中で行っている。
 つまり、「今なら彩芽の頭を撫でられるよ」と物語っていた。

 ごくりと自然に喉が鳴る。触っていいのか……、本当に触ってもよろしいのですか……。
 彩香はどうぞどうぞと言わんばかりに促している。
 右手をゆっくりと彩芽の頭へと持っていく。彩香の手が離れて「撫でていいよ♪」とオッケーサイン。
 だがしかし……、本当にこんな触り方をして許され――
 ぽふっ……。

「……ッ!」

 な、なん……だと……。顔を上げようとした彩芽の頭が自然と手に触れてしまった。

「ん……?」

 違和感に気付いてしまったのか、彩芽は動かない。
 早く手をどけなければならないと思いつつ、丁度いいフィット感に手が離せない……。彩香はしてやったり顔でにんまりとニヤけている。

「……」

 彩芽がそっと違和感の正体を確認するべく両手を頭の方へ動かした。小さい手が右手に触れる。小さい両手で掴まれた。
 動作がすべて可愛いのですが俺は一体どうすればいいんだろう。

「……?」

 掴まれた手が頭から離れてそのまま彩芽が顔を上げていく。彩香の手ではなく、俺の手を握っていたことに気が付いた彩芽は――

「なっ……銀っ!? ん、ん~!」

 驚いた彩芽の口を瞬く間に彩香が手で塞いだ。彩芽が口を押さえられているのを見ると何か犯罪の匂いが漂ってしまう……。
 動揺している彩芽が手を握り締めたまま目を丸くする。

「んーっ! ん~っ!?」

 彩芽の手が冷たくて気持ちがいい――が、言うと嫌われそうなのでやめておこう。


 午前の講義が終わって昼休み――俺は図書館の屋上のテラスで天国を満喫していた。正面にはサンドイッチを食べる彩香。シンプルなシャツの上から羽織ったジーンズジャケット、その閉じていない間からは大きな胸が見える。

 右手には、小動物のようにこじんまりとしながらサンドイッチを両手で食べる彩芽。この間着ていた水色のワンピースに白いカーディガン、麦わら帽子がとってもお似合いでございます。

「……」

 あの地下の図書館で過ごしていたことを想えば、本当に天と地の差だな……。

「銀治君はごはん食べないの?」

 誰かと過ごす大学ってこんなにもホッとするのか……。

「銀治くーん!」
「あ、ああ、すみません」
「ごーはーん、食べないの?」

 目の前の光景に幸福を感じていた最中、サンドイッチを頬張る彩香が俺に問いかけていた。

「今日は幸せでお腹が一杯なので大丈夫です」
「ん、どういうこと?」
「今、こうして銀髪美少女たちと昼休みを過ごせることが幸せということです」
「……?」

 彩香は「なにを言っているんだろう?」という視線を向けている気がするが、特に気にすることはないだろう。

「もう、なんであんたなんかと食べなきゃいけないのよ……」

 なぜか不機嫌な彩芽がサンドイッチを少しだけかじりながら呟いた。それに対して彩香がニヤニヤしながら――
「そんなこと言って、嬉しいくせに~♪」
 と彩芽の脇腹をつつく。なんですかねこの天国は。

「うぐっ……ゴホッゴホッ……!」
「あわわっ、彩芽ほらお茶飲んで!」
「ん……んぐっ……んぐっ……ぷはぁ!」

 ペットボトルを勢いよく机の上に置いた彩芽の口元に垂れ落ちる水滴が落ちそうになっていた。

「失礼」

 一言、声をかけてから軽く腰を浮かせて立ち上がる。ハンカチを取り出して彩芽の口元に触れて水滴を拭きとった。

「な、なにっ!?」

 彩芽があわあわとぎこちない動作をしながら言う。

「綺麗な服にお茶が零れ落ちそうだったので……、嫌でしたかね……」
「そ、その、急にそういうことされると……困るというか……なんというか……」

 俯いた彩芽が椅子ごと移動して彩香の方へと寄っていく。やはり拭かなかった方が良かったんだろうか……。男性が苦手と言っていた相手に出過ぎたことをしてしまったかもしれない。

 彩香の隣に移動した彩芽が帽子を、顔を隠すように角度を下げていく。

「ムフフ……♪」
「な、なに笑ってんのよっ!」
「照れてるな~って思っ――」

 ガタンッと椅子が後ろ向きに倒れた。立ち上がった彩芽が帽子の下で顔を赤くしている。

「う、うっさい! 照れてなんかないわよ!」
「でも、顔が真っ赤だよ~?」

 彩香は立っている彩芽をニヤニヤしながら見つめていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

小さい頃「お嫁さんになる!」と妹系の幼馴染みに言われて、彼女は今もその気でいる!

竜ヶ崎彰
恋愛
「いい加減大人の階段上ってくれ!!」 俺、天道涼太には1つ年下の可愛い幼馴染みがいる。 彼女の名前は下野ルカ。 幼少の頃から俺にベッタリでかつては将来"俺のお嫁さんになる!"なんて事も言っていた。 俺ももう高校生になったと同時にルカは中学3年生。 だけど、ルカはまだ俺のお嫁さんになる!と言っている! 堅物真面目少年と妹系ゆるふわ天然少女による拗らせ系ラブコメ開幕!!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

まずはお嫁さんからお願いします。

桜庭かなめ
恋愛
 高校3年生の長瀬和真のクラスには、有栖川優奈という女子生徒がいる。優奈は成績優秀で容姿端麗、温厚な性格と誰にでも敬語で話すことから、学年や性別を問わず人気を集めている。和真は優奈とはこの2年間で挨拶や、バイト先のドーナッツ屋で接客する程度の関わりだった。  4月の終わり頃。バイト中に店舗の入口前の掃除をしているとき、和真は老齢の男性のスマホを見つける。その男性は優奈の祖父であり、日本有数の企業グループである有栖川グループの会長・有栖川総一郎だった。  総一郎は自分のスマホを見つけてくれた和真をとても気に入り、孫娘の優奈とクラスメイトであること、優奈も和真も18歳であることから優奈との結婚を申し出る。  いきなりの結婚打診に和真は困惑する。ただ、有栖川家の説得や、優奈が和真の印象が良く「結婚していい」「いつかは両親や祖父母のような好き合える夫婦になりたい」と思っていることを知り、和真は結婚を受け入れる。  デート、学校生活、新居での2人での新婚生活などを経て、和真と優奈の距離が近づいていく。交際なしで結婚した高校生の男女が、好き合える夫婦になるまでの温かくて甘いラブコメディ!  ※特別編6が完結しました!(2025.11.25)  ※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録、感想をお待ちしております。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

手が届かないはずの高嶺の花が幼馴染の俺にだけベタベタしてきて、あと少しで我慢も限界かもしれない

みずがめ
恋愛
 宮坂葵は可愛くて気立てが良くて社長令嬢で……あと俺の幼馴染だ。  葵は学内でも屈指の人気を誇る女子。けれど彼女に告白をする男子は数える程度しかいなかった。  なぜか? 彼女が高嶺の花すぎたからである。  その美貌と肩書に誰もが気後れしてしまう。葵に告白する数少ない勇者も、ことごとく散っていった。  そんな誰もが憧れる美少女は、今日も俺と二人きりで無防備な姿をさらしていた。  幼馴染だからって、とっくに体つきは大人へと成長しているのだ。彼女がいつまでも子供気分で困っているのは俺ばかりだった。いつかはわからせなければならないだろう。  ……本当にわからせられるのは俺の方だということを、この時点ではまだわかっちゃいなかったのだ。

クラスのマドンナがなぜか俺のメイドになっていた件について

沢田美
恋愛
名家の御曹司として何不自由ない生活を送りながらも、内気で陰気な性格のせいで孤独に生きてきた裕貴真一郎(ゆうき しんいちろう)。 かつてのいじめが原因で、彼は1年間も学校から遠ざかっていた。 しかし、久しぶりに登校したその日――彼は運命の出会いを果たす。 現れたのは、まるで絵から飛び出してきたかのような美少女。 その瞳にはどこかミステリアスな輝きが宿り、真一郎の心をかき乱していく。 「今日から私、あなたのメイドになります!」 なんと彼女は、突然メイドとして彼の家で働くことに!? 謎めいた美少女と陰キャ御曹司の、予測不能な主従ラブコメが幕を開ける! カクヨム、小説家になろうの方でも連載しています!

黒瀬部長は部下を溺愛したい

桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。 人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど! 好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。 部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。 スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。

処理中です...